シカゴ発: DJ、生ジャズ、一泊体験。 博物館の“裏メニュー”から目が離せない。

シカゴ発、前回は意外な場所にあふれる音楽のお話でしたが、今回も意外な場所で催される意外なイベントの組み合わせについてご紹介します。

みなさんはどれくらいの頻度で美術館や博物館に行きますか?美術館や博物館というと、少しアカデミックで敷居が高くもあり、よほど興味がある特別展示が開催されるときにしか訪れる機会がないのではないでしょうか?いざ長蛇の列を覚悟して行ったけれど、混雑で結局ゆっくり鑑賞できなかった、という苦い経験は誰にもあるはず。

シカゴは、アメリカの3大美術館のひとつである「シカゴ美術館」をはじめ、「シカゴ現代美術館」、「科学産業博物館」、「フィールド博物館」、「アドラー・プラネタリウム」、「シェッド水族館」といったミュージアムが充実していることでも有名ですが、これらの博物館では、定期・不定期にととてもユニークな催しが行われています。

先日、アドラー・プラネタリウムの月例イベント「アドラー・アフター・ダーク」という催しに潜入してみました。毎月第3木曜日、閉館後の午後6時から午後10時まで行われているプライベートパーティーで、宇宙やサイエンスにまつわるトークイベントや、トリビア(雑学)ナイト、プロム(ダンスパーティー)など、毎月さまざまなシークレットテーマで行われているのですが、1か月前のチケット発売時にはたちまち売り切れとなる人気イベントなのだとか。

今回のテーマは、「UFOとエイリアン」。DJがターンテーブルを回し、ハウスミュージックがガンガン流れ、ビールを片手に楽しそうに展示物を見て回る若者やエイリアンコスプレーヤーでごった返す様はとても博物館内部とは思えず、度肝を抜かれました。一方、講堂では研究者による「B級映画に見るエイリアンと人類の歴史」というレクチャーが行われ、実験ルームではボランティアのサイエンティストたちが来場者の質問に答えるなど、とてもまじめな内容でした。

イベント担当のマーラさんによると、「21歳以上(お酒が飲める年齢)の人たちをもっと呼び込んで気軽にサイエンスに触れてもらいたいという目的で、お酒を片手に展示を楽しめるようにと考え出されたイベントです。特に宣伝もしていないのに1500枚のチケットは過去30か月以上売り切れが続くほどの人気です。適度にまじめで、適度におバカな内容がポイントです」とのこと。

とはいえ、来場者が飲み物をこぼしたり、酔っぱらって展示物を傷めたりしたらどうするんだろう、とこちらのほうが気をまわしてはらはら。アメリカはその辺りが日本と比べて非常に緩く、「性善説」に基づいている気がします。リスクを怖がるより、楽しむほうが先。対策は走りながら考えようという姿勢にはとても力づけられます。このほかにもファミリーを対象としたものなど多くのユニークなプログラムが月例で行われていて、しかも通常の入場料よりも安いとは驚き!

アドラー・プラネタリウム http://www.adlerplanetarium.org

 

Photo /www.fieldmuseum.org

他にも「フィールド博物館」では、小学生を対象にしたスリープオーバー(寝袋一泊体験)なども行っていて、まるで映画『ナイト・アット・ザ・ミュージアム』の世界。子供の頃にこんな体験をすると、“博物館は楽しい場所”という刷り込みができるのかもしれません。

フィールド博物館  http://www.fieldmuseum.org/

また、「シェッド水族館」でも6月から9月の毎週水曜日の午後5時から10時まで、「ジャジン・アット・ザ・シェッド(Jazzin’ at the Shedd)」という催しが開かれています。ロビーではジャズ・トリオが素敵なジャズでお出迎え、館内ではボランティアの説明を聞きながら海の生物を触ったり観察したりしつつ、外のテラスでは高層ビル群に沈む夕陽を眺めながらカクテル片手にブルースバンドの生演奏でダンス三昧、といった内容。

シェッド水族館   https://www.sheddaquarium.org/

 

また、「シカゴ現代美術館」でも6月から9月の毎週火曜日には、外のテラスを解放したジャズイベント「チューズデイ・オン・ザ・テラス」が開かれています。

シカゴ現代美術館   https://mcachicago.org/

若い層や初めての人たちにも気軽に来てもらいたい、という博物館の目論見と、もっとプライベート感覚で博物館を楽しみたいという来場者の希望がうまくはまった、このような博物館の「裏メニュー」。シカゴのみならず、こんな楽しみ方を探ってみるのも手かもしれません。

シカゴの最新アート&エンタメ情報はこちらも参考に:シカゴ侍(Chicago Samurai)http://www.ChicagoSamurai.com

Text /長野尚子

シカゴ郊外在住、フリーライター、編集者、週末ジャズ・シンガー。(株)リクルートの制作マネージャー&ディレクターを経て、早期退職。アメリカ(バークレー)へ単身“人生の武者修行”に出る。07年よりシカゴ。著書に『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。facebookのコミュニティ「Chicago Samuraiシカゴ侍」管理人。「阿波踊りシカゴ」リーダー。http://www.shokochicago.com/

 

 

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