冬が長いシカゴでは、住民にとって夏は一日たりとも無駄にできない季節。6月から9月の毎週末には、市内各所で無料のミュージックフェスティバルやBBQの煙漂うストリート・フェスティバルが花盛り。
ところで、そんな「見るだけ」のイベントにもそろそろ飽きてきたアクティブ派に今一番お勧めしたいのが、シカゴ川でのカヤック体験。摩天楼発祥の地として知られるシカゴの高層ビル群を一度でいいから水面から仰ぎ眺めてみたいという一心で、カヤック初体験をしてみました。
まず、カヤックとは?よくカヌーと間違われるのですが、カヌーのパドルには片方だけブレード(水かき)がついているのに対し、カヤックは両サイドにブレードがついているのが大きな違い。この1本のパドルを両サイドに∞の字のように動かしながら進みます。
今回参加したのは地元で人気の「Urban Kayaks (アーバン・カヤックス)」の「ヒストリック・シカゴツアー」、午後4時からの90分コース。参加者は私を入れて7人。受付を済ませ、ライフジャケットを借りたら各自乗り場へ。
「あの・・地上で練習とかしないんですか・・?」と問いかける間もなく、私が滑り込んだ一人乗りのカヤックはお兄さんに押されてシカゴ川にドボン。これにはびっくり、さすがアメリカ。カヤックに全く触ったことのない私は、インストラクターの見よう見まねで必死にパドルを漕いで行きます。
このツアーで漕ぐ距離は片道約2.5マイル(約4キロ)。まずインストラクターが先頭を行き、見どころポイントで約5~7分間の歴史説明をしてくれます。畜産業で栄え、急激な発展を遂げた1800年代のシカゴ川がいかに汚く異臭を放っていたか・・・そんな解説を聞くのもこのツアーの楽しいところ。
このシカゴ川では大型の建築ツアーボートやレジャーボートが激しく往来するため、そのたびにその横波を受けてカヤックが大きく揺れ、相当あわてました。それでも滅多なことでは転覆することはないと聞き、ひたすら漕いでいく。そんな私をおいてけぼりにして、あとの6人(とインストラクター)は無情にもどんどん進んでいくのでした。
それでも、こんなに素晴らしいシカゴの景色を見ていると、少しくらいの遅れなんてどうでもよくなります。
今までは橋の上からぼんやり眺めていたカヤックをこうして実際にやってみると、なかなか楽しくやみつきになりそう。少し慣れたところで次回は是非、夜のツアー(夜景&花火を見るツアー)にも参加してみようと思っています。
」
疲れましたが最後はこんなきれいな放水とダブルレインボーに迎えられてゴール。
なぜかここで心に浮かんだのが万葉の?この一句。
「ミシガンに 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」(額田王のもじり)
シカゴにお越しの際は是非このアドベンチャーを試してみてください。
■カヤック体験注意点
1)夏場は日焼けに注意。サングラスや帽子、サンスクリーンクリームで日焼け対策を。(日焼けクリームは受付にも置いてあります。)
2)カヤックの中は限られたスペースしかありません。貴重品などはロッカーに預けましょう。
3)濡れてもいい恰好で。夜はひんやり感じることもあるのでウィンドブレーカーがあるとGood!
4)自信のないときは無理をせずにインストラクターから離れない距離を保ちましょう。
■Urban Kayaks アーバン・カヤックス
今回利用したツアー「HISTORICCHICAGOTOUR ヒストリック・シカゴツアー」
料金:一人乗り/70.85ドル 二人乗り/141.7ドル (いずれも税込)
このほかにも、「ミシガン湖花火ツアー(夜間)」、「サンセットツアー」などもあり、料金は内容によって異なります。全くの初心者には1時間の「RIVERWALK INTRO PADDLE リバーウォーク・イントロ・パドル」がおすすめ。
詳しくはWeb: https://urbankayaks.com
Text /長野尚子
シカゴ郊外在住、フリーライター、編集者、週末ジャズ・シンガー。(株)リクルートの制作マネージャー&ディレクターを経て、早期退職。アメリカ(バークレー)へ単身“人生の武者修行”に出る。07年よりシカゴ。著書に『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。facebookのコミュニティ「Chicago Samuraiシカゴ侍」管理人。「阿波踊りシカゴ」リーダー。