京都で美術品に囲まれて眠る 美術商の審美眼が作りあげたホテル

トラベルアクティビスト真里です。四季折々に訪れたい京都に昨年11月オープンしたとびきり素敵なホテル「ART MON ZEN京都(アールモンゼンきょうと)」に滞在してきました。場所は、祇園や四条河原町など繁華街にほど近い古門前と呼ばれる、古美術商や骨董品屋さんが軒を連ねるエリアです。

 

ART MON ZEN京都の最大の特徴は、ホテルのプロデュースをされたのが老舗の美術商・中西松豊軒(なかにししょうほうけん)ということ。中西松豊軒は、元は茶道具を扱う古美術商ですが、近年は古美術全般、中国の美術品、さらにコンテンポラリーアートまで扱っています。そのため、ロビーのみならず各客室など、ホテルの中の随所に美術品が飾られています。

間取りや広さ・趣が異なる客室がわずか15室。天井までの高さが3メートルありますので、どのお部屋も広々している印象です。私が選んだお部屋は、「コーナープレミア」。数寄屋建築で使われる技法「なぐり」で床が仕上げられているのが選んだ理由。靴を脱いで一段高くなった無垢板の床に上がると、一面にさざ波が立ったような細工が施されています。裸足で歩くと、細かい凹凸を足の裏で感じられて、気持ちがいい!

私が宿泊したお部屋には二つの美術品が飾られていました。一つは中国・明時代の皿がケースに入れられて。もう一つは色や形も様々な金属製の平たいものが五つ、額に入れられていて……刀の鍔(つば)かと思いきや、なんと襖の引き手だそう。時代とともに、そして部屋の意匠とともに、襖の引き手も様々なデザインがあるのですね。引き手に俄然興味が湧いてきました。

 

お部屋を含めた館内の美術品は、例えば葵祭の時にはそれにちなんだものというように、季節に合わせて随時入れ替えされるそう。同じお部屋に泊まったとしても、次回はどんな美術品に出会えるかとワクワクします。美術品と一緒に眠れるなんて、最高!

 

ホテルステイで需要なベッドマットレス・リネン類にも良質なものをとことん追求しています。ベッドマットレスは、高級ホテルで大きなシェアを占める米国シーリー社の最高級レベルのもののオーダー品。固すぎず柔らかすぎず、無重力状態のように体を包み込むという眠り心地を実感できました。リネン類は、イタリア製の最高級のコットン。「これはシルクではないの?」と思うほどの糸の細さ、織り上がりの柔らかさに驚くはず。数年前、イタリア・フィレンツェの老舗リネン店で触らせてもらった最高級レベルのコットン生地を思い出しました。高品質なマットレスやリネンに包まれて、ベッドに入った途端に朝までぐっすりという2泊でした。

その他、ソファはデンマーク製、ミニバーに置いてあるお茶のティーバッグは創業三百年・丸久小山園のものと、古美術商としての審美眼ですべてにおいて最高級品を選び抜いた結晶がこのホテルと言えるのではないでしょうか。

 

朝食は、1階レストランで「ル・パン・コティディアン」が運営するワンプレートの軽めの朝食。「京都は美味しいものがたくさんありますから、朝食は少なめに」とのプロデューサーのお心遣い。

 

ART MON ZENのある古門前界隈をぜひお散歩してみてください。古美術商が軒を並べ、飾られている古美術品を眺めるだけでも楽しめます。ホテルのすぐ斜め前にある「てっさい堂」という小さな骨董品店に入ってみました。江戸時代以降の豆皿や蕎麦猪口等が所狭しと並べてあります。一つ数千円のものからありますので、気に入ったものを見つけて旅の思い出にするのもいいですね!

ART MON ZEN京都 http://www.amz-kyoto.jp

Text/トラベルアクティビスト 真里  

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

 

 

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