メキシコシティから飛行機で1時間、ミチョアカン州の州都モレリアに行って来ました。メキシコの各州に全土にある魔法の村のフェスティバル「Feria Pueblos Magicos」を見に行くためです。
魔法の村といっても魔法使いがいるわけではありません。メキシコ政府観光局が「魔法がかかっているように魅力的な村」と認定した村々で、年に1度その魅力を知ってもらうためにフェスティバルを開催し、各地が物産、観光、祭事や歴史などをブースを出してアピールします。
今年は、世界遺産の歴史地区がある美しい街モレリアで、2018年10月11日〜14日と4日間にわたって開催。11日のオープニングセレモニーでは、新たな魔法の村の認定が発表されます。大きな経済効果をもたらせるとあって、各地から応援団もかけつけて固唾を飲んで発表を見守っていました。2018年は、9つの魔法の村が加わり、魔法の村は計120になりました。
フェスティバルの会場は入場無料。ブースでは、それぞれの土地柄が出た雑貨や工芸品、食品などが即売されています。まさにメキシコ全土を歩いた気分になるフェスティバルです。
魔法の村フェスティバルでも、モレリアでもメキシコ料理の味付けがとてもシンプルでヘルシーなのに驚き。フェスティバルのフードコーナーでは、トルティーヤを焼く窯も設置されていて本格的。そして、スパイシーなチレを使ったサルサなどは必ず出て来ますが、メインの肉や魚の味付けは薄いかなと思うぐらいで、とてもナチュラルだったこと。
モレリアのお洒落な「ZahaCocina」というモダンミチョアカン料理レストランでは、サラダは、りんご、パイナップルなどフルーツとツナ、アボガドのパッションフルーツのソース和え(揚げトルティーヤが添え)。メインのチキンは、マイルドなパンプキンのソースでという具合。
また、メキシコの地酒であるメスカル(アガべと呼ばれるリュウゼツランを主原料とする蒸留酒)の種類の多さにも驚き。モレリアにある「Tata Mezcaleria」というお店は、メスカルをいろいろと楽しめるバー。日本ではテキーラが有名ですが、これはメスカルの中で原料の産地と生産地が特定されたもの。このTataのオーナーであるFermin氏によるとメスカルの味は、原料になるアガべや蒸留所によって味が異なるそうで、ミチョアカン州で造られたメスカルを8種類、オアハカ州のものを4種類、計12種類試飲。
アガベの種類や蒸留方法によって全部味が異なっていて、度数も異なります。マイルドなものからストロングなものという順に左から一口ずつ。右端は、確かにストロング!そして、私にはミチョアカン州のものはすっきり、オアハカ州のには独特の風味(例えていうなら芋焼酎のような)が感じられました。レモンのように見えるオレンジをかじり、チリソルトをなめながら、メスカルを飲むのが本式。
Tata Mezcaleria http://tatamezcaleria.com
文化も食もお酒もバラエティに富んだメキシコ。魔法の村をもっと訪れたくなる旅でした。
Text /小野アムスデン道子
「人生のガイドブック W LIFE」編集長。世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。https://twitter.com/ono_travel