「ソーシャルデザイン」という言葉をメディアでもよく耳にします。「モノやカタチだけでなく、社会をデザインする仕組みのこと」で社会の課題を解決する方法の一つとして、ここ数年注目されています。2018年度のグッドデザイン賞の大賞もモノやカタチではなく「おてらおやつクラブ」という貧困問題に取り込むお寺の社会活動だったのです。
2018年度グッドデザイン賞審査委員の岩佐十良氏が編集長を務めるライフスタイルマガジン「自遊人」の最新号2019年2月号(12/26発売、1,111円税別)は、そんなソーシャルデザインの最前線の数々や公益財団法人日本デザイン振興会矢島進二氏による「日本におけるソーシャルデザインの軌跡」などを掲載。ソーシャルデザインとは何か、その今とこれからが分りやすくまとめられた1冊です。
発刊を記念して、公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)と株式会社自遊人が主催する「未来を変えるソーシャルデザイン」というトークショーが開かれました。
登壇は、岩佐編集長、ソーシャルデザインのキーマンの一人でもある一般社団法人Think the Earth理事の上田壮一氏、そして公益財団法人日本デザイン振興会矢島進二氏が司会進行役。岩佐氏と上田氏はともにグッドデザイン賞審査委員を務めた経験を持っておられます。
「カタチのないものがグッドデザイン賞を取る」ということにも驚かされたのですが、「生活を豊かにするために」「よりよい社会や世界を創るために」というグッドデザインの目的を考えれば、うなずける流れです。
今お二人が注目するのが教育。
上田壮一氏はThink the Earthが編集・発行した「未来を変える目標SDG’s アイデアブック」(1,800円税別)は、持続可能な未来をつくるために学ぶことの楽しさを届けようと始めたプロジェクトの第一弾として制作したもビジュアルブックですが、学校等から大きな反響もあり、Amazon売れ筋ランキングの都市開発・都市問題1位も取ったそう。
この2冊とも見て楽しみながら、ソーシャルデザインを自分のこととして考えられる興味深い本です。
Think the Earth http://www.thinktheearth.net/jp/
デザインの力やその目指すものについて考えさせられたトークショー。レセプションでは、自遊人の運営する南魚沼市にある「里山十帖」からオーガニックなどこだわりの里山の食材で作られたおにぎりが出ました。そのおいしさを噛みしめながら、未来とデザインについて思いをはせたイベントでした。
Text /W LIFE編集部