没後350年レンブラント特別展「All the Rembrandts」で あの名画と出会う (2)

トラベルアクティビスト真里さんのレンブラント特別展のレポート第2回は、あの名画「夜警」が夜警でなかったというお話。さて、その知られざる理由は…。

アムステルダム国立美術館のレンブラント作品といえば、「夜警」。縦3.6メートル・横4.4メートルの、壁一面の大きな集団肖像画はあまりにも有名です。当時、裕福な一般市民が増え、ギルド(職業別組合)で集団肖像画を画家に依頼し組合の建物に飾っておくことが流行しました。この「夜警」は、実は夜の場面ではなく、市民自警団が昼に出動する様子が描かれていると言われています。これは以前の修復で表面の汚れを取り除いた時にわかったことです。中央の2人に当たるスポットライトのような光は日光。絵画にタイトルがつけられるようになったのは近年のことで、美術館に飾られている絵画のタイトルの多くは、画家自身ではなく、後世の誰かがつけたものなのです。でも、「夜警」というタイトルの方が勇敢な印象を持てて、この絵にぴったりな気がします。

一枚の絵の中で、画面の中の光の濃淡、人物の描かれ方が大きく違うせいで、この絵のどこに視点を向けるべきか、注目すべきは誰なのかがわかります。一方で、この絵に統一感を出しているのが、槍や銃の向き。並行に描かれた槍や銃がこの巨大な絵にハーモニーを生んでいます。

「夜警」は、今回のレンブラント特別展終了後の本年7月より、長期の修復に入り、年単位で展示から外されます。インターネットで修復の進捗状況を公開するとのことですが、本物を見たい方は今がラストチャンスです。

 

その他、デン・ハーグにあるフェルメール「真珠の耳飾りの少女」で有名なマウリッツハイス美術館では「レンブラントとマウリッツハイス」展が開催中(9月15日まで)。

 

また、アムステルダム市内のレンブラントが実際に住んでいた「レンブラントの家」では「Rembrandt’s Social Network: Family, Friends and Acquaintances(レンブラントのソーシャルネットワーク: 家族・友人そして知人)と題して、レンブラントと交流があった人々との関係を展示しています(5月19日まで)。これほど大規模なレンブラント関連の展示は、次は50年後の没後400年までないかも!?

レンブラント特別展「All the Rembrandts」

https://www.rijksmuseum.nl/en/all-the-rembrandts

場所:アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum Amsterdam 会期:2019年2月15日〜6月10日

Text/トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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