旅の魅力は、旅先の土地ならではの魅力を味わうこと。その地の特長的な文化を楽しめるように「ご当地楽」というアクティビティを設けたり、地域の工芸作家さんの作品をしつらえに取り入れたり。どうやってご当地魅力を作っているのかといつも感心させられる温泉旅館「星野リゾート 界」を巡って、その舞台裏を【STORY 】でお届けしす。
第1回は、2018年12月にリニューアルし、星野リゾートで初めて3世代家族にお勧めという8名定員の客室「特別和室」が出来た「星野リゾート 界 伊東」の魅力開発担当の赤川 真美さんに、「温泉づくし花暦の宿」というテーマでこだわった四季を感じさせる設えを創る作家(クリエイター)たちとの出会いや伊東市の花”椿”を使ったご当地楽などについてお聞きしました。
「界 伊東」のご当地楽は、椿油づくり。ちょっと理科の実験室のような「ご当地楽ルーム」で、椿油づくりにトライしながら、赤川さんにお話をうかがいます。
くるみ割りをつかって、椿の種の中身を取り出しますが、これがなかなか固くて難しい。
搾油機で椿の油を搾りとるのにもコツがいります。「少しずつじっくり圧をかけて」と丁寧に教えてくれる赤川さん。搾りとった椿油は小さな容器に入れて持って帰ることができます。
赤川さんに「界 伊東」がリニューアルでどう変わったをうかがうと、
「リニューアル後は、全室がご当地部屋『伊豆花暦の間』になりました。椿だけではなく四季の花をテーマにしているので、お部屋からの眺めだけではなく、しつらえで四季を感じてもらえるよう工夫しています。掛け軸も季節ごとに掛け替えます。」
この掛け軸や、客室入り口に置かれた木漏れ日行灯、廊下の壁を飾る切り絵のアートなどを手がけたのは、伊豆在住の水口千令さん。また、伊豆に生息する約20種類もの植物を染めあげた糸で作った花暦スクリーンは、染織家の石丸みどりさんによるもの。
こうした地元伊豆のクリエイターとの出会いは、ネットで調べるところから始めて、作家の集まるお店に通ったり、一から築いたものだそうです。おしぼり置きや瓶敷きなど、とても素敵な木工の小物が使われています。そんなクラフトは、作家から作家へと紹介が繋がったり、静岡を拠点に日本全国のクラフト作家をプロデュースする「パピアパペルPapier Papel」と出会ったことも大きかったとか。人との人との繋がりからクラフトが集めることができたとのこと。
また、湯量豊かな伊東温泉の源泉を4本使った温泉で、女性の着替え処には椿の季節限定の「椿アメニティ」として「生の椿油」や椿油とハーブエキスなどが入った「ミストローション」が置かれていたのも心遣いを感じました。
おみやげコーナーでは、椿油の老舗「かづら清」のスキンケア商品をかわいいポーチに詰め合わせたポーチや、オリジナルのティーバッグ入りボトルなどどれもかわいくてついつい散財してしまいます。充実したおみやげコーナーのセレクションも赤川さんはじめスタッフがあちこち探したり、オリジナル品をと考えて作ったものが多くて驚かされました。
リニューアルに際してスタッフが地元を歩き、地元の人と繋がってできた「温泉づくし花暦の宿」は、スタッフ自身の目線が生きた素敵な宿でした。
星野リゾート 界 伊東
住所:静岡県伊東市岡広町2-21
電話:0570-073-011(界予約センター)
Text /W LIFE編集部