日本民藝館「藍染の絞り 片野元彦の仕事」 藍染め絞りの第一人者のスタートは57歳!

民藝運動の主唱者として知られる柳 宗悦(インダストリアルデザイナーとして有名な柳 宗理のお父様)が創設した日本民藝館は目黒区駒場にあって、日本国内外の民藝品を主に収蔵展示する美術館です。今、2019年6月16日(日)まで開催されているのが「藍染の絞り 片野元彦の仕事」。

ジャパン・ブルーにも採用されている藍色や藍について以前にご紹介しましたが、天然の藍の染め物はなんとも言えず美しい。https://wlifejapan.com/2019/03/02/tokushima-ai/

そんな藍染め絞りの第一人者であり「片野絞」と呼ばれる独自の技法を確立した片野元彦(1899-1975)の展覧会です。

藍と白が織りなす美しいパターンを作り上げるまでには、途方もない労力がかかっています。「天然藍は毎日の世話が必要不可欠であり、熟練の技も要します。また、糸で縫絞り、あるいは折り畳んで紋様をつける絞りの技法も、非常に手間暇がかかる仕事です。」(同展パンフレットより)

何がすごいって、片野元彦が藍染め絞りの道に専念したのはなんと57歳の時なのです。

パンフレットに「若い頃は、画家の岸田劉生に師事し洋画家を目指していました。岸田の急逝後には染物を学ぶようになり、藍染絞りの道に専念したは57歳の時」とあります。

伝統工芸と言えば身につけるのに何十年と時間がかかりそう。片野元彦は57歳から始めて、以降76歳で亡くなるまで「絞染職人」としての道を極め、波が重なった美しい文様の「青海波(せいがいは)」など「片野絞り」という染め方を確立しています。

そのきっかけは「当館創設者の柳宗悦に、産地である有松・鳴海の絞りの仕事を再興するよう託されたのがきっかけ」だったのだとか。物を作る心は河井寛次郎に、染色の道は芹沢銈介から学ぶように柳から助言を与えられ、絞りの仕事に精進していきます。

 

民藝への思いの相続と自らの仕事にかける情熱に打たれます。それだけ人生をかけて追求できるものがある幸せもまた感じられました。

道路を挟んだ向かい側は柳 宗悦の旧邸でもあり、国の有形文化財でもある日本民藝館は、建物も見応えがあります。日常の生活から生み出された日本の美「民藝」に触れてみては。

Text/W LIFE編集部 *片野元彦が祖父であるシナリオ作家 大安佐智さんから情報と画像(撮影は日本民藝館の許可を得ています)をいただきました

日本民藝館「藍染の絞り 片野元彦の仕事」  http://www.mingeikan.or.jp/events/special/201904.html

2019年6月16日(日)まで

所在地 :東京都目黒区駒場4丁目3番33号  電話: 03-3467-4527

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