NY メトロポリタンで出会う源氏物語の数々 あのレジェンドな漫画の原画も!

ニューヨークにある世界で最も有名な美術館の一つ、メトロポリタン美術館(The Met)。現在、特別展【The Tale of Genji (源氏物語展)】が開催中です。

日本人なら誰でも知っている紫式部の「源氏物語」。光源氏を中心として恋愛や宮中の栄華と没落を描いた平安中期の長編小説です。20ヶ国語以上に翻訳されているとのこと。今年2月に亡くなった日本文学の大家ドナルド・キーン氏が日本文学を志すきっかけになったのも、第二次世界大戦中、ニューヨークの古本屋で英訳版源氏物語を手に入れ、千年前に書かれた美しい世界観に感動したからだとか。

メトロポリタン美術館2階のアジア美術の一角、日本美術の常設展示が全て入れ替えられて、本展覧会の会場になっています。入り口には漆黒の壁に金色の雲、そして金色の文字で”Tale of Genji”と書かれています。どんな世界が広がっているのかワクワクしながら入場しました。

  

絵巻・書・屏風・着物・貝合わせ・かるた・香道のお道具・浮世絵・能面 ……源氏物語をモチーフにした様々な美術品が120点以上も展示されています。紫式部が源氏物語を起稿した滋賀県・石山寺からの出品も仏像を含め十数点あり、源氏物語における仏教の重要性も感じることができます。サンフランシスコ・アジア美術館やボストン・ハーバード大学美術館などアメリカの美術館からもかなりの出品がありました。

圧巻だったのは、メトロポリタン美術館所蔵「源氏物語図屏風」。源氏物語の全五十四帖が、一帖につき一場面、一隻六扇の屏風二隻いっぱいに描かれています。源氏物語に詳しい方ならば、どの絵がどの帖なのか言い当てることができるでしょう。残念ながら、私がその場でわかったのは、第十帖「賢木」の巻のみ。現在も京都・嵯峨野にある野宮神社の黒い鳥居が描かれている事でわかりました。

「賢木」野宮神社のシーン

嫉妬に狂った六条御息所が光源氏の正妻や恋人に取り付いて呪い殺し、そんな自分を嫌い、とうとう光源氏に別れを告げ、伊勢に旅立つ場面です。

 

平安時代以降の「大和絵」は、「吹き抜け屋台」と呼ばれる代表的な絵画技法が使われています。これは建物の屋根を取り払い、室内の様子を空中の斜め上から見下ろすように描く手法です。この屏風は17世紀、江戸時代に描かれたものと思われますが、作者不詳です。描かれている室内の襖絵の唐獅子などの描き方から狩野派の手によるものとされています。

 

会場の最後の部屋には、「源氏物語」をマンガ化した大和和紀作あさきゆめみし」の原画展示および作画の様子のビデオ上映もありました。私は中学生の頃にこのマンガで源氏物語を知り、高校時代に古文で源氏物語を読んだ時には登場人物は全て「あさきゆめみし」の顔でイメージしていました!The Metでのマンガの展示。マンガも日本文化を伝える重要な担い手なのだと再認識しました。

メトロポリタン美術館特別展「The Tale of Genji (源氏物語展)」

https://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2019/tale-of-genji

会期:2019年6月16日(日)まで。

Text/トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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