2020年も間近に迫り、東京では趣向を凝らした個性的なブティックホテルのオープンが続いていますね。東京住まいの私でも、その空間で過ごす時間を楽しみに、宿泊をしたいホテルが数軒あります。
その中の1軒が、文化人に愛されてきた創業110年の老舗旅館をリニューアルした「ホテル龍名館東京」。
8年連続してミシュランガイドのパビリオンを獲得しています。日本文化をテーマに和モダンにこだわったインテリア、「日本一の朝食シェフ」が監修した朝食ビュッフェなど、海外からの観光客以外に日本人でも興味をひかれる要素が満載です。
一週間不在の対策に追われた日々が続いた海外出張の前日、一息つきたいと思い部屋をとりました。ダブルベッドの奥に、ちゃぶ台が配された小上がりの畳スペースがある「TATAMI ROOM」。広さは20㎡ほどですが、旅館の要素がギュッと詰まったレイアウトです。
到着したらまず靴を脱いで畳にあがり、お着き菓子とミニバーのお茶で旅館のくつろぎを体感。
部屋に備えてあるけん玉と輪投げで遊び、江戸文化の図録を眺めていると、前日までの仕事のあれこれが些末事に思えてくるから不思議です。「間取りがコンパクトで景観がない」という要素が、逆に独特の雰囲気の空間を生み出しているように感じました。ミニマルを追求した江戸の粋といったところでしょうか。
客室に備えられたお茶は、日本茶インストラクターが入浴後、就寝前、起床後にあわせてブレンドしたオリジナル。生姜をブレンドした和紅茶は入浴で温まった身体を保温、玄米ブレンドのほうじ茶は低カフェインで就寝前のリラックス、抹茶ブレンドの深蒸し煎茶は目覚めの身体を覚醒してくれるそう。普段何気なく口にしているお茶ですが、ハーブティーのようにブレンドによって身体を整えることができるのですね。
そしてお目当ては、15階「花ごよみ東京」が提供する手作り本格和食と野菜料理がいただける朝食ビュッフェ。「日本一の朝食シェフ」と称される矢吹淳男氏が監修しています。本格的な日本料理だけでも15種類。ビュッフェは少量ずつ盛られていて、こまめに出来立てが運ばれてくるようです。焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物、お刺身を選んでみました。出汁の繊細さ、素材の美味しさを引き出す適切な火入れなど、老舗旅館の伝統の踏襲を感じる朝食です。シャルキュトリーやチーズ、パンなど洋食にも対応しています
とてもユニークで面白いと思ったのが「野菜しゃぶしゃぶ」。好みで選ぶ36種の野菜の中には希少価値の高い江戸東京野菜も並んでいます。昆布出汁にくぐらせてより鮮やかに味わい深くなった温かい野菜を、もろみのドレッシングでいただきました。高級旅館で朝食に美味しい湯豆腐が出てくるのと同様、とても贅沢に感じます。
お味噌汁とごはんを加えこれだけの種類のお料理をいただいても、身体がとても軽い感じです。クオリティーが高い朝食は、元気な一日をスタートさせてくれることを再認識できました。これで10時間以上のフライトも乗り切れます!
東京駅から徒歩3分の立地とは思えないほど「江戸」と「和」を享受できた滞在でした。スモールラグジュアリーホテルの名の通り、コンパクトな空間で心と身体を甘やかすことができました。東京の中心地で体験できる1ナイトリトリート。頑張った仕事の節目のご褒美など、手軽な日常のリフレッシュにも訪れたいホテルです。
ホテル龍名館東京 https://www.ryumeikan-tokyo.jp/
Text /草間 由紀
食、美容、インテリアの外資ブランドを経て独立。ライフスタイル系ブランドのブランディング&PR会社「Fabcomm ファビュコム」 (https://www.fab-comm.com/)を設立。ブログでは、都会型ライフスタイル、食べ歩きに関する情報を更新している。Blog https://ameblo.jp/cuisine-3137301