【美食を求めて】スペイン、バスクとリオハの旅 1

スペイン、バスク地方は、フランスとの国境近く大西洋側のエリアを指します。近年、美食の街と知られるサン・セバスチャン、NYグッゲンハイム美術館分館を有するビルバオなど、見どころいっぱい、楽しいことがいっぱいのエリアです。バスクの人々はスペイン語以外にバスク語という由来が不明な独特な言語を話し、血液型は多くの人がO型しかもRhマイナス。スペイン内戦後の1939~1975年のフランコ将軍圧政時代には、バスク語の使用やバスク風の名前を禁止されるという悲しい歴史もあります。

私が初めてバスク地方を訪問したのは、なんと25年前。海辺を散歩していると、小舟で漁をしているおじさんが手を振ってくれたのがとても嬉しかった思い出が。観光客はまだまだ少なく、のんびりした田舎という印象でした。スペインワインを代表する赤ワインの生産地リオハ地方と合わせて久しぶりに訪問してきました!

今回はフランス側からスペインバスク地方に陸路で入国。EU圏内なので、パスポートのチェックなどはありません。バスク地方滞在ひとつ目の街・オンダリビアに到着。丘の上の旧市街と海岸沿いの新市街をぐるりと歩いても小一時間ほどの小さな街です。

この街に宿泊する一番の目的は、パラドールに泊まること。パラドールとは、城・修道院など歴史的建造物を改装した国営のホテルで、スペイン全土で100カ所ほどあります。国営なので同じレベルの一般のホテルに泊まるより価格が安く、水周りなどはきれいにリノベーションしてありますので、とても快適に歴史のある建物に宿泊することができます。スペイン旅行では外せない宿泊先です。

オンダリビアのパラドールは、「カルロス5世城」と呼ばれる要塞だった建物。海を見下ろせる高台にある立地、1メートルはあるかと思われる石の分厚い壁、建物の外壁には砲弾の跡が。到着して荷物を部屋に置いたら、早速バーへ。白ワインを頼むと、「Chacoli?」とスタッフに微笑みかけられました。チャコリは、バスク地方名産の微発泡の白ワイン。グラスに注ぐ時、少し高いところからさらに空気を混ぜるように注ぎます。アルコール度数がやや低めなので、喉越しが良く、ついついお代わりを頼んでしまいます。パラドールの隣にあるサンタ・マリア教会は、17世紀、フランス・ブルボン王朝の最盛期を築いた“太陽王”ルイ14世が、スペイン王女マリア・テレサとの結婚式を挙げたと言われています。

海沿いの新市街、レストランやバルが立ち並ぶエリアへ夕食に出かけてみました。記憶を頼りに、25年前に入ったレストランへ。当時は、メニューも最初にバスク語、次にスペイン語の二言語のみ。店員さんも英語を全く話しませんでしたので、身振り手振り、隣の人のテーブルの料理を指差したりとオーダーにかなり苦労した記憶が。今回入ってみると、なんと、日本語メニューが!店員さんもみんな上手な英語を話します。バスクの美味しいお料理につられて、世界中の人々が来るようになり、すっかり国際化したのですね。魚介のスープが旨味たっぷりで、美味しかった!

オンダリビアから西へ20キロ。サン・セバスチャンは、きれいな半月型のコンチャ湾に沿って広がる美しいリゾート地。「ビスケー湾の真珠」とも呼ばれています。湾の入り口あたりにサンタ・クララ島という小さな無人島があり、そのおかげか湾内は波が穏やかなビーチが広がっています。私が訪問したのは1月下旬にも関わらず、暖冬の影響で20度近くまで気温が上がり、水着で海に入っている人が何人もいました。

サン・セバスチャンは美食の街。ミシュラン三つ星レストランが3軒、合計の星の数は18個もあるのです! その中の一つ【ARZAK】に行ってきました。親娘2代、30年もの間ミシュラン3つ星を保っているお店です。

そんな名店であるにも関わらず、サービスはアットホーム。お料理は食用花や果物のソースなどを多用し、見た目もとても美しいです。酸味や旨味・塩味のバランス良くて、一品一品すばらしい。和のテイストもたくさん!30年前から伝統を保ちつつ、日々変化を続けているのでしょう。

翌朝、市場を見に行きました。色とりどりのフレッシュな野菜やチーズ、そしてイベリコ豚のハムなど、全部買って帰りたいぐらい!そして、日本でも今ブームになっている“バスチー”ことバスク風チーズケーキも発見。一切れ買って、その場で食べてみると・・・・外は軽く焦げ目がついた香ばしさ、中はしっとり、材料に使っているチーズの味が日本のものとは違っているようで、口当たりの軽さと味の奥深さと相まって、「バスクに来て、良かった〜!」と感激です。

次は高級ワインの産地・リオハに向かいます。2に続く。

Text/トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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