森美術館再開!輝く6名が大集結【STARS展:現代美術のスターたち−日本から世界へ】

アートが好きな人に朗報!東京・六本木の森美術館が再開「STARS展:現代美術のスターたち-日本から世界へ」が、2021年1月3日(日)までの会期で開催されています。(入場は、オンラインによる日時指定事前予約制)

日本の国際化が推進された戦後の高度成長期には、オリンピック、万国博覧会など国家規模のイベントが続き、現代アートの世界でも、脱植民地主義、多文化主義などさまざまな議論が重ねられ、ビエンナーレやアートフェアなど新たな場が広がりました。

本展では、この間に日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得ている現代美術の代表的アーティスト、草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司の6名を選出し、その軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介されています。

解説はこのくらいにして、6名のアーティスト各々が、自身のキャリアや自作について語るという、ユニークな解説を聞くことのできる音声ガイドを手に持ち、早速中へ。さすが日本の現代アートを代表する6名の展示会。どれも素晴しい作品ですが、その中から私が特に心動かされた3つをピックアップしてご紹介します。

©2020 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

最初は、一番楽しみにしていた村上隆の展示室。富士山をモチーフにした、縦5m、横21m強の巨大アート「チェリーブロッサム フジヤマJAPAN」を背景に立っている、「KO²ちゃん(プロジェクトKO²)」に迎えられて、そのままオタクアニメの幻想的な世界へ吸い込まれていくよう。二次元のアニメが立体化して三次元に飛び出してきたようなリアルな感覚で、不思議の国のアリスのように、まるで自分がアニメのファンタジーの世界に迷い込んでしまったようで、ワクワクして一気に気分が上がります。

展示風景

次は、世界中で絶大な人気を誇る「水玉の女王」草間彌生の作品「ピンクボート」。アイコン的な作品である「南瓜」を含め、水玉・網目模様をモチーフにしたデザインの印象が強い中で、ひと味違う作品として気になりました。ボートを覆っているピンクの突起物は、草間彌生の作品に繰り返し登場する“増殖するファルズ”の象徴。じっとピンクのボートを見つめていると、多くの突起物が一つ一つの生き物のよう見え、目が回って船酔いのような感覚に陥りました。身体感覚に訴えてくる、不思議且つパワフルな作品。


宮島達男《「時の海―東北」プロジェクト(2020東京)》

最後に、数字が変化するデジタルカウンターのインスタレーションを発表する宮島達男の展示室。作品「時の海」は、暗い部屋の中で、水中にLEDの数字「1」から「9」が各々異なるスピードで点滅している不思議な静寂の空間。生命の永遠性を表すという数字一つ一つの、点滅するカチカチという音がまるで心臓の鼓動のように聞こえてきます。私がこの作品に特に惹かれたのは、死を意味する数字「0」をあえて入れないことで、永遠に続いていく生命(輪廻転生)を表現し、「死」を次の「生」への準備期間と捉えているところです。

この「時の海」という作品は、3.11の大震災をきっかけに、宮島達男が構想した東北の人々と一緒に作品を作り上げる現在進行形のプロジェクトの一部です。実際は、東北の海の見える場所に設置予定で、東北の被害を受けた地域の方々を中心とした3000人に参加して行ってもらい、その他サポーター含め皆で一緒に一つの作品にする予定。参加者は、自分で数字のLEDがカウントするスピードを自身の想いとともに決められ、資金支援者の名前は、作品とともにプレートに名前が永遠に記録されます。

興味のある方は、「時の海―東北」プロジェクト実行委員会のホームページ(https://seaoftime.org/ )より申し込みが出来ます。

大型のインスタレーションや迫力の映像を含め、体感型で心が動かされる展示が多くありました。「百聞は一見にしかず」、数々の不思議な空間に実際に身を置いて、自分がどう感じるか、体験してみてはいかがでしょうか。

そのほか、1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示し、展示写真や当時の批評などから、日本発信の現代美術が、海外にどのように受け入れられていったのかを見て取ることができるようになっています。

現代美術好きにも、初心者にもお勧めできる展覧会です。

STARS展:現代美術のスターたちー日本から世界へ
会期:2020年7月31日(金)〜2021年1月3日(日)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)  ※会期中無休
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30) ※9/22、11/3(火・祝)は22:00まで


料金:一般 2,000円、学生(高校・大学生) 1,300円、子供(4歳~中学生) 700円、シニア(65歳以上) 1,700円 ※事前予約制
TEL (ハローダイヤル):03-5777-8600

https://www.mori.art.museum

Text /トラベルプロモーター 中島優子

国際協力の仕事をする傍ら、仕事・プライベート共に世界中を旅する、トラベルプロモーター。訪問先は僻地も多く、今まで訪れた国は65ヵ国以上。JALF(財団法人宿泊施設活性化機構)参事。

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