「上等舶来」という言葉は近年あまり使われなくなってしまった言葉かもしれませんが、「海外から届いた品のように上等で素晴らしいもの」という意味。東京都港区白金台の小さなお菓子屋さん【上糖舶来】のオーナーパティシエ・小島和美さんは、おじいさまが何かを褒める時によく使われていた「上等舶来」という言葉をもじって店名にしたそう。「最上級の美味しいスイーツ」というイメージが湧く店名ですが、まさにその通りの素敵なお店です。
私が【上糖舶来】のお菓子を初めて食べたのは、昨年、親しい友人の誕生日を祝うために少人数で集まった時。一人の友人が「美味しいお菓子屋さん知っているから、ケーキは私に任せて!」と。当日、ケーキをみてびっくり!主役の誕生日の友人のFacebookのプロフィール写真がデコレーションされたプレートがケーキの上に載っていたのです。オーダーしてくれた友人曰く「このお店にフードプリンターがあるから、写真を送ればそれをケーキのデコレーションにしてくれるのよ」。そして切り分けて食べたケーキがとても美味しい。甘さ控えめで、私好みです。ビジュアルにもお味にもインパクトがあり「そのお店、ぜひ教えて!」というのは美味しいものに目のない私には当然の成り行きでした。
小島和美さんは、印刷物のデザイナーやWEB制作会社を起業されるなど多彩な経歴をお持ちの方。料理コンテンツを手がけたことをきっかけに、ご自身もお菓子作りを習い始め、洋菓子・和菓子の師範・デコレーションのディプロマ・フードコーディネーターなど資格を取られ、お菓子教室を主宰。その後、フリーランスの菓子職人としてイベントやパーティー・メディアなどのお仕事で活躍されていました。コロナ禍でそのようなお仕事が減ってしまう中、実店舗を構えてお菓子を作り続けることを決意、2020年6月に東京都港区白金台の住宅地の一角にお店がオープンしました。
お客さんが二人入ると店頭がいっぱいになってしまうほどの小さなお店。でもショーケースには色とりどりのお菓子がいっぱい。今の季節だと、台湾パイナップルを使ったタルトが一押し。タルト生地にカットされたパイナップルが円錐状にてんこ盛りです。バナナやイチゴなどの季節の果物を使ったフルーツサンドは、生クリームではなくカスタードクリームを使っているのが特徴。
しばらく前に私が購入したスミレのパンナコッタは、パンナコッタの上に薄紫色のゼリーが載せてあり、ブルーベリー・生クリームそして食用のすみれの紫の花がデコレートされていて、春が感じられる一品でした。
私が必ず買う定番商品は、ブルーチーズとはちみつのクッキー。ブルーチーズの塩味とはちみつのほのかな甘味がサクサクのクッキーの中に入っていて、赤ワインのお供にいただくこともあります。青い琥珀糖も私のお気に入りの一つで、さまざまな濃淡の青いかけらを見ていると、モルジブやタヒチの青い海を思い出します。小島和美さんがつくるお菓子は、どれも美味しい上にとても美しい。カラフルな色は見るだけで「わ〜、可愛い!」と心を明るくしてくれます。
近日発売予定の新作・紫陽花を模したパンナコッタは、本当に紫陽花の花がお皿の上に咲いているかのよう。このビジュアルのセンスの良さは、和美さんがお菓子の道に入る前にされていたデザイナーやWEB制作のスキルが活かされているように感じます。しかも和菓子の師範の資格をお持ちの和美さんだけあって、紫陽花の花の部分は和菓子の上生菓子の手法を使われるそう。「デザイナー×パティシエ」「洋菓子×和菓子」の組み合わせで、お菓子のアイデアが次々に溢れ出る和美さん。6月の父の日に合わせて塩やチーズ系のおつまみにもなるお菓子セットも企画中とのこと。ワイン好きな私は、こちらにも期待しています!
今年、お友達と集まって誰かのお誕生日を祝う機会があれば、フードプリンターを使ってのデコレーションケーキをお願いしてみようかなと思っています。フードプリンターは性能が良いようで、お子さんの好きなアニメキャラクターのクッキーをオーダーする方もおられるようです。お店のインスタやHP経由でご相談なさってみてください。オンラインショップもありますので、遠方の方もぜひお試しください!
上糖舶来
営業日:原則 木曜日〜日曜日 13時〜18時30分。Uber Eats などデリバリー可能。
http://kopple.net/jotohakurai/index.html
https://www.instagram.com/jotohakurai/
Text /トラベルアクティビスト真里
世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。