星野リゾートと言えば、最上級ブランドの「星のや」を筆頭に、いつかは泊まりたい憧れ宿のイメージが強いのですが、実は1万円以下で泊まれるカジュアルな宿もあります。そんな都市観光ホテルブランドの「OMO」が2021年4月に京都の東寺と三条に開業。秋には祇園にもと、3軒がいずれも便利な立地にできます。京都市内中心地に3軒も?どういう違いがあるのだろうと思われるかもしれません。その答えは、OMOの特徴でもある「Go-KINJO」と言われるホテルの”ご近所”を深堀して、その魅力をゲストに伝えるサービスにありました。
ご近所の面白そうなスポットが満載の「ご近所マップ」と「ご近所アクティビティ」の2つのサービスがそれ。そして、京都市内といってもそれぞれご近所のキャラクターには違いがあるのです。
たとえば1200年もの歴史があり、五重塔が美しい東寺から歩いてすぐの「星野リゾート OMO3京都東寺」は、真言宗総本山の密教寺院である東寺の魅力や仏教に楽しいアプローチで親しめるホテル。エントランスを入ると東寺の立体曼荼羅をテーマにした「まんだらアート」や仏様が優しく微笑む「ほほえみウォール」が壁を飾ります。中心には、弘法大師が書の達人だったことから着想したという砂に書を描ける「写経テーブル」が。スタッフがそれぞれの仏様や密教の話などをフレンドリーに教えてくれるので、ぐっと東寺に親しみがわきます。
また、OMOレンジャーが案内してくれる「東寺まんだらさんぽ」という1時間半の無料ツアー(1日2回開催、前日までに予約、別途拝観料が必要)では、OMOで見たまんだらアートで教えてもらった如来、菩薩や明王がずらりと並ぶ立体曼荼羅にあらためて感激。曼荼羅を立体で見せようと考えた弘法大師(空海)の天才エピソートもいろいろ聞けて楽しい。国宝五重塔や御影堂などを回り、京都駅にも近いのにじっくり拝観したことがなかった東寺の魅力を再発見できる宿です。
さて、すでに開業しているもう一軒「星野リゾート OMO5 京都三条」は、活気のある繁華街にあって商店街もすぐ近く。こちらは「京町らんまん川歩き」をコンセプトに2つの無料のご近所アクティビティを催しています。”京町らんまん川さんぽ(以下川さんぽ)”(1日2回)では今は静かな高瀬川が京都の町の発展に果たした重要な役割と歴史を聞き、”京町らんまん老舗さんぽ(以下老舗さんぽ)”(1日1回)では風呂敷や匂い袋に扇子や数珠など京都ならではの老舗を巡ります。(ともに前日までに予約)。
”川さんぽ”では、京都の豪商で物資の運搬のために高瀬川を開削した角倉了以の屋敷ががんこ寿司のお店になっているのに驚いたり、”老舗さんぽ”では400年の歴史のある「三條本家みすや針」の素晴らしい庭のあるお店を訪れたり、風呂敷専門店「むす美」でいろいろな風呂敷の包み方を教えてもらったり、それは楽しいツアーなんです。
OMO5京都三条は、OMOベースと言われるパブリックスペースにも昔の舟での運搬風景を描いた高瀬舟テーブルがあって、木がふんだんに使われたスペースは材木の町「木屋町」を思わせます。朝食には生湯葉と漬物などを使ったオリジナルのリゾット、カフェ&バータイムもメニューにも生麩や抹茶が使われていたりと京都らしいメニューのOMOカフェもあってゆったり過ごせます(コロナの状況により、OMOカフェの営業時間や提供内容は変更がありえます)。
「星野リゾート OMO3京都東寺」は4,500円〜、「星野リゾート OMO5京都三条」は6,000円〜(ともに2名1室利用時1名あたり、税込、食事別)と超お手ごろな宿泊料金。京都新発見の”さんぽ”はとてもお値打ちだと思います。
星野リゾート OMO3京都東寺
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo3kyototoji/
星野リゾート OMO5京都三条
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5kyotosanjo/
Text/小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。