海外旅行は我慢の今。時には今度に行く時のことを夢見て、またかつて行った旅先に思いを馳せてエア旅をしませんか?海外観光局に、日本からエア旅に行くためのとっておきの方法と、観光局だから聞けるレアな現地情報をうかがってきました。それではエア旅でフランスへGO !
トップ画像:カフェのテラスでアペリティフ(プロヴァンス地方アヴィニョン)
©Atout France/Daniel THIERRY
回答:フランス観光開発機構 在日代表およびアジア・太平洋、
中近東地区統括責任者 フレデリック・マゼンクさん
1.これ観たらもう気分はフランスっていう映画は?
僕は普段そんなに映画を見る機会はないのですが、映画に限らずフランスを感じられる映像作品はたくさんあると思います。たとえばNetflixオリジナル作品の『エミリー、パリへ行く』、『ルパン』。この二つはどちらも実際にロケ地に観光地としての魅力があり、フランス観光開発機構でもその紹介記事を出しています。
エミリー、パリへ行く/ Emily in Paris
https://jp.france.fr/ja/paris/list/why-emily-in-paris-strikes-a-chord
ルパン/Lupin
https://jp.france.fr/ja/news/list/lupin-lieux-serie
ちょっと古い映画になりますが、『アメリ』で見たパリの風景にも反響があり、多くの旅行者がパリを訪れるきっかけになりました。
また、ゲームを通してもフランスをバーチャルで旅することもできます。
じつは私、ゲーム世界を散歩するというYouTubeシリーズでコメンテーターを務めたことがあります。フランス革命時代のパリを舞台にしたアクションゲーム『アサシン クリード ユニティ』で、パリの街をトラベルライターの坂井彰代さんと解説しました。火災前にある前の大聖堂の中や、サント・シャペルの高所にあるバラ窓など、普通なら絶対アクセスできない場所までゲーム内なら接近できます。
https://www.youtube.com/watch?v=vQI7M2ysmx8
2.お酒を飲みながらフランスへのエア旅にふけるなら…?
お酒を飲むというより、人との会話を楽しむためのアペリティフの習慣はフランスらしいかもしれません。人を家に招いた時も食事と同じくらい大事にするのが、その前のアペリティフの時間です。
ちょっとした飲物とおつまみがあればすぐにアペリティフになります。フランスのアペリティフの定番はオリーブ、チーズ、ドライソーセージなどです。
日本ですとコロナになってからベランダを活用することが多くなったと聞きます。フランスの家庭では、初夏から夏にかけ、ベランダや庭にテーブルを置いて食事をしたり、外の空気を大事にする人が多いのですが、日本でも夕ご飯の前にベランダでアペリティフを楽しみリラックスしてみてはいかがでしょうか。
3.お茶しながらフランスへのエア旅にふけるなら…?
日本だと手みやげの習慣がありますよね。実際僕もオフィスにお客さんが来られる時、嬉しいことに様々なお菓子をお土産にいただきます。今はコロナでその文化が一時ストップしている状態ですけれども、早く復活しないかな。笑。
そこで、提案なんですけれど、皆さんが手土産を持っていかれる時、フランスのスイーツを持っていかれたらどうでしょう。相手にもフランス通をアピールできますし、珍しいお菓子は自分でも食べてみたいじゃないですか。もちろん自分用にも買うんですよ!
幸いなことに日本には本当に多くのフランスのお菓子が手に入ります。それこそ日本に居ながらにしてフランス一周できるくらい。
きれいなマカロンはもちろん、最近はカヌレブームが復活していますし、ごつめのクイニーアマン、ガレットブルトンなんかも手に入ります。最近はガトーバスクが流行っているみたいですね。リール発のメルヴェイユ (Aux merveilleux de Fred Tokyo) というお菓子の店も神楽坂にできました。昔ながらのエクレア、ババオラム、クレーム・ブリュレなんかもあります。
ただね、まだまだ知られざるお菓子がたくさんあるんです、フランスには。ぜひ現地に行かれて、僕も知らないお菓子を発掘してきてください!
あと、小麦粉とバターの美味しさはフランスならではだと思います。日本のパティシエは技術がしっかりしているから本当に美味しいお菓子を作るけれど、素材の美味しさを楽しむにはやっぱりフランスに行かないとね。ショーウィンドーの飾りつけなんかもきれいですよ。
4.知られてないけどエア旅でトライしたいフランスの飲み物は…?
フランスはワインっていうイメージがありますけれど、もっと気軽に飲める飲物がたくさんあるんですよ。たとえばシードル。ノルマンディーやブルターニュのブドウの栽培が難しい産地で作るリンゴのお酒です。シードルなら軽い口当たりの発泡酒なのでアペリティフにもぴったりです。日本でもビオのものや様々な生産地のシードルが手に入りやすくなりました。甘いだけでなく辛口のシードルもあるので、料理の最初から最後までずっとシードルで合わせてもいいですね。
もっと意外性があり強めのアルコールとして、フランス産のジンやウィスキーもあります。どれも素晴らしいクオリティーです。もっとローカルなものだとカルヴァドス、シャルトルーズ、アルマニャックなどがありますね。
5.日本にいてフランスが感じられる場所はどこですか?
僕もまだ行ったことがないのですが、高知県北川村にクロード・モネが作ったジヴェルニーの池をモデルにしたそっくりの池(北川村「モネの庭」マルモッタン)があり、人気の観光地になっていると聞きました。この前もテレビの『世界ふしぎ発見!』で紹介されていましたが、確かに瓜二つでした。うちのSNSで高知県の池とジヴェルニーの池の写真を並べて投稿してみたところ、僕もまったくわかりませんでした。笑
6.パリでいま注目の新しいスポットは?
歴史ある街パリでは、2021年に パリっ子にも注目のスポットがオープンラッシュです。たとえば:
ブルス・ド・コメルス
現代アート収集家フランソワ・ピノーが、パリ商品取引所跡を大改築した美術館。修復と改築に携わったのは日本の建築家、安藤忠雄です。
www.boursedecommerce.fr/en/
オテル・ド・ラ・マリーヌ
建築家アンジュ=ジャック・ガブリエルにより1774年に完成した歴史建築が今年から一般公開。当館は王室が所有し、宮廷の家具調度の管理・保管や美術工芸活動の場となった後、フランス海軍の拠点となりました。見事な家具調度を備えた居室や迎賓室などご覧下さい。
www.hotel-de-la-marine.paris
サマリテーヌデパートが再オープン
パリの老舗デパートでアールデコ、アールヌーボー建築が美しい「ラ・サマリテーヌ」をラグジュアリーブランドで知られるLVMHが取得。大規模修復を経て16年ぶりにオープン。建物内には5つ星ホテル「シュヴァル・ブラン」も。改築は日本人建築家ユニットSANAAが担当。
www.lvmh.com/houses/other-activities/samaritaine
そのほか、シャネルの新しいファッションアトリエ「Le 19M」などまだまだ楽しみなスポットも!
https://jp.france.fr/ja/paris/list/ces-nouveaux-lieux-deja-iconiques-a-ne-pas-manquer-a-paris
7.旅行者もフランスでやってみてほしいことといえば?
フランス人にとっては食事の基本ですが「パン屋での買い物」。パン屋はどんな町にもありますから、ぜひ本場のフランスパン(バゲット)やクロワッサン、パン・オ・ショコラなどを、スーパーでなくパン屋さんで買ってみてください。
お店の人とのやりとりも楽しいですよ。全部パンは目の前に並んでいるので指をさせば買えるし、バゲットをどういうふうに持って帰るのかなど、お客さんの人間観察もできる。よく「暮らすように旅する」って言いますけど、パン屋の買い物は、ホテル滞在の旅でもフランス人の生活体験ができる最も簡単な方法だと思います。ガイドブックに載ってる最低限のフランス語会話を試せる機会ですから頑張って!現在、フランスはバゲットをユネスコの無形文化遺産に登録申請中です。
確かにNetflixの番組を見てフランスに行きたくなっている人も多そうです。改めましてフランスの基礎情報と、最近の状況など教えてください。
日本から直行便の飛行機でパリまで12時間。人口6,700万人、約55万km2(海外領土を除く)。時差は8時間(夏は7時間)です。日本と同様に四季がありますが、梅雨はなく過ごしやすいです。最近は、フランスの顔であるパリに新施設が増えたほか、「フランスの美しい村」など魅力ある地方の村やワイナリー、印象派めぐりの旅など、楽しみの幅はとっても広いです。フランスではパリを中心に、新施設のオープンラッシュが続いていますので、ぜひWebで情報をチェックしてください。様々な施設が、施設内の画像を見られる仕組みをオンライン上に設けていますので、旅行のシミュレーションも十分にできますよ。
フランスでは日本の観光客をお迎えする準備が整っています。美術館、博物館、レストランは5/19より営業を再開し、入店に関する人数制限も6月30日以降は撤廃されました。
フランスへの入国に関しては、日本からの渡航者はワクチン接種証明かPCR検査の陰性証明で入国でき、自主隔離はありません。8月以降は、飲食店への入店の際に、ワクチン接種済や陰性証明を示す衛生パスポートの提示が求められるので、最新情報のチェックをお願いいたします。
回答:フランス観光開発機構 在日代表およびアジア・太平洋、
中近東地区統括責任者 フレデリック・マゼンクさん
1995 年パリ政治学院にて政治学修士号取得卒業後、1997 年慶応大学日本語研修課程を修了。その後、フランス政府観光局(当時)日本事務所IT、マーケティング・マネージャー、副局長を経て、2006 年フランス観光開発機構/アトゥー・フランス、中国事務所に副代表として着任、2011 年~2015 年代表を勤めた後、2015 年7 月より日本事務所在日代表およびアジア・太平洋、中近東地区統括責任者となり現在に至る。
フランス観光開発機構 https://jp.france.fr/
Text/小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。