神集う処、よき温泉とよきお酒を満喫する宿へ

11月は、全国の八百万の神々が出雲大社にお集まりになって、様々な縁結びの神議り(かむはかり=会議)をなされる月。そんな神集う処、出雲は神々を祀るお社、日本百景の一つ「宍道湖(しんじこ)」、緑に囲まれた美肌の湯「玉造温泉」など、自然のパワーと美しさを感じる場所でもあります。玉造温泉にある温泉旅館「界 出雲」では、神話を題材にした伝統芸能「神楽」を楽しみ、地元の美酒の飲み比べや茶室体験など、出雲の魅力を様々に体験できます。

 ロビーから客室へは、日本庭園を望む赤い太鼓橋を渡っていくのが、出雲の宿らしい雰囲気。美肌の湯として有名な玉造温泉にあって、全室露天風呂付きなので、大浴場だけでなく、お部屋でプライベートに温泉を堪能できるのも魅力です。「ご当地部屋」と呼ばれる地域の工芸品が生かされた客室には、出雲に古くから伝わる刀剣技術を継承する出雲鍛造の燭台や緻密な組子細工の行灯や天井照明、美しいフォルムの吹きガラスの作品など匠の作品が置かれています。

 食事は、宍道湖の名物である旨みたっぷりのしじみや山陰の美味のどぐろなど、これからの季節には名物の「松葉蟹」を様々な調理法で楽しむ蟹会席も登場します。杉板で挟んだタグ付きの松葉蟹を奉書で包んで蒸しあげた「活蟹奉納蒸し」は冬の名物料理。山陰ならではの味。

 

界 出雲では、地元の日本酒の魅力を伝えるべく30蔵を回ったスタッフが、辛口好みならコレ、マイルドな飲み口ならこちらというように、おいしい日本酒をおすすめしてくれます。お料理に合わせた6種の日本酒やワインのペアリングも。また、おつまみセットとともに日本酒を部屋に届けてもらって味わうこともできます。(日本酒3種とおつまみセットで1000円~)

 夕食後には、神様に奉納する「神楽」を目の前で鑑賞できるご当地楽が開催されます。スタッフが演じる石見神楽のハイライト「大蛇(オロチ)」は迫力満点。娘の稲田姫が大蛇に食べられてしまうと老夫婦から聞いた須佐之男命(すさのおのみこと)が姫を救うべく、強い酒を大蛇飲ませて退治するというお話。闘いの場面は、目を爛々と光らせた大蛇が須佐之男命に巻きついて大変な迫力です。最後に、須佐之男命が天の村雲の剣(のちの草薙の剣)を取り出して、天井に突き上げて勝利した瞬間には、思わず拍手かっさい。

 朝には、島根で行われる「奉納相撲」にちなんで摺足や四股などの動きも取り入れた「奉納相撲体操」をして爽やかに目覚め、朝食はふぐからとった出汁に葛でとろみをつけた伝統食「うず煮」など含む和食膳。朝から出雲の元気をもらった気分です。

神在月の11月、これからは松葉蟹の季節にもなります。美肌の湯につかり、おいしい島根の幸をいただいて、来年の運気上昇も望めそうな出雲の旅です。

界 出雲 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kai-izumo/

Text/小野アムスデン道子

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。

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