この数年、ホテルの新規開業ラッシュが続く京都。コロナ禍でのダメージもあったかとは思いますが、人出が回復するにしたがって徐々に混み合いはじめましたね。4月にオープンした個性的なホテルをご紹介します。
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京都駅からも徒歩圏内、鴨川近くに建つ《丸福楼(まるふくろう)》。入り口前の道路に立つと、オフホワイトのタイル張りの建物がレトロチック。「丸に福」のロゴが建物の正面に。「丸福」とは、任天堂の前身である山内任天堂が、花札・かるた・トランプなどの製造・販売をする会社として1947年に設立した「丸福株式会社」の屋号にちなんだもの。そう、ここは、任天堂の旧本社社屋だった建物なのです!
花札などの製造・販売の場所であったのはもちろんのこと、創業家・山内家の居住する建物でもあったとのこと。日本を代表するゲーム会社となり、世界中に熱烈なファンを持つ任天堂のオリジンである歴史的建物。世界に名だたる著名な建築家・安藤忠雄氏が設計・監修し、既存の歴史ある建物と新築の建物とを融合させたホテルです。全18室。同じカテゴリーの部屋でもそれぞれインテリアが異なります。
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そしてこの丸福楼のもう一つの特徴は、チェックインからチェックアウトまでディナー・朝食・ランチの三食が付いていること、そしてアルコール・ノンアルコールのドリンク類がレストラン・ラウンジ・お部屋のミニバーを含めて全て宿泊代に含まれているオールインクルーシブのスタイルということ。ゆったりと滞在して、ホテルライフを満喫するしかありません!
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丸福樓はトランプの札にちなんだ名前がつけられた四つの建物で構成されています。エントランスの「SPADE」を入ると、レセプション。カウンターの上には昔使っていた「請求書受」と書かれた木箱が。文字が右から左へ書かれているところに歴史を感じます。そのまま続きの「DIAMOND」の棟に進むとダイニングラウンジ。任天堂旧本社社屋では応接室として使われていたとのこと。このラウンジでは、カレーライスやグラタンなどの軽食のランチを頂くことができ、いつでもお茶やワインを片手にくつろぐことができます。「HEART」棟は安藤忠雄氏が新たに設計した建物。モダンでシンプルな客室があります。そして「CLUB」棟は昭和初期の面影を残す客室とレストランがあります。
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私が今回宿泊したお部屋は、既存棟「CLUB」にあります。建物の中に入ると、美しい孔雀色のカーペットに目が惹かれます。そして正面に古い荷物用のエレベーター。扉を手で開け閉めする旧式のもの。エレベーターは乗れないので、階段で2階へ上がり、60平米のジュニアスイートへ。グレーのカーペット、同系色の家具、そして扉や壁の木材の茶色の組み合わせがとても落ち着きます。ベッドはキングサイズが2台。バスルームも広くて、大きなバスタブに加え、通常のシャワーとカラン、そして別途レインシャワーも付いています。洗面所のボウルも2つあって、女性二人でも広々と身支度ができますね。このホテルは住宅街の中にありますから、とても静かな環境でホテルステイを楽しめます。
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レストラン《carta(カルタ)》は、レセプションから一番遠い場所にあります。コの字型のカウンターとテーブルが2つ。お料理の監修は、料理家・細川亜衣氏。和食・洋食というカテゴリーにとらわれず、季節の食材そして発酵食品を多用して、体にやさしいお料理を提供しています。素材の味を大切にしつつ、わさびや山椒、麹など和のテイストの隠し味とのコンビネーションが素晴らしい。レストランのワインの品揃えはかなり攻めています。京都・丹波ワイン、滋賀・ヒトミワイナリー、大阪・河内ワイン、広島・三次ワイナリーなど個性的な日本ワインのみがリストに。ワイン好きな私でも初めて飲むワイナリーのものがあり、お食事との相性もよく、大満足でした。
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レセプション上の2階は、バーカウンターとライブラリー。夕食後に行ってみました。バーにはウィスキーがずらり。ライブラリーには、“遊び”や“数字・数学”などをテーマにした本がたくさん揃っています。そして、本棚の所々に、任天堂の歴代のゲーム機がインテリアとして置いてあるのにはびっくり。ゲームファンではない私でさえも、「これ、懐かしい!」と思わず声を上げてしまいます。きっとファンの方には垂涎ではないでしょうか。私は本棚にあった一冊、森田真生著「計算する生命」という本に目が留まり、ウィスキーのロックを片手に深夜まで読み耽ってしまいました。
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朝食は再びレストランで。和食・洋食を選べる上に、フルーツオープンサンドなどアラカルト料理を追加できます。私は和食のセットを頂いた上に、ソーセージの追加をしてしまいました。
旧社屋のレトロな雰囲気、窓枠やステンドグラス、荷物用のエレベーター、壁面のタイル…レトロ建築好きにはたまらないホテル。そして、任天堂のゲームファンには「聖地」のようなホテル。国内はもとより、海外からも任天堂のファンが泊まりに来るのでは。インバウンドで混雑する前に、ぜひ滞在してみてください!
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Text /トラベルアクティビスト真里
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世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。