シャブリワインを音楽で表現すると…究極のウェルビーイングを体験

ブルゴーニュワイン委員会は国の重要文化財である池袋の自由学園明日館にて、音楽とシャブリワインのペアリングイベント「シャブリ・シンフォニー」を開催しました。シャブリのA.O.C(アペラシオン・ドリジヌ・コントローレ)の個性を音で表現し、聴覚と味覚で味わうという主旨。

レカン・グループ飲料統括マネージャーでソムリエの近藤佑哉氏による解説からはじまりました。

ブルゴーニュ地方の北に位置するシャブリは、一つの品種シャルドネで白ワインを生み出しています。シャブリワインは、4種のアペラシオンを通して表現されます。その4種とは「プティ・シャブリ」、「シャブリ」、「シャブリ・プルミエ・クリュ」、「シャブリ・グラン・クリュ」です。

それぞれのアペラシオンが、シャルドネ、テロワール、それぞれに異なる醸造方法を明確に反映し、際立つ個性を持つワインを生み出していています。そして、シャブリのアペラシオンの個性、豊かさ、多様性を反映したのが新曲「シャブリ・シンフォニー」です。

「シャブリ・シンフォニー」を生み出したのは、作曲家の松波匠太郎氏。ソムリエ・近藤佑哉氏ナビゲートによるテイスティングからインスピレーションを受け、プティ・シャブリの爽やかさから、シャブリ・グラン・クリュの深みまで音楽で表現したそうです。

シャブリの味の繊細さを表現するには四重奏が相応しいということで、クラリネットの吉田誠氏、ヴァイオリンの川久保賜紀氏、チェロの上村文乃氏、ピアノの佐野隆哉氏の国内外で活躍する演奏家が集結しました。

生誕160年を迎えるドビュッシーのようなハーモニー =シンフォニーを奏でるという発想からドビュッシーの「ベルガマスク組曲」のように、4つの独立した曲で構成される組曲「シャブリ・シンフォニー」。それぞれのアペラシオンがどのように表現されるのか胸が高鳴りました。

▪️プティ・シャブリ

ヴァイオリンメインの演奏で他のアペラシオンの「末娘」の位置付けで軽やかで明るく溌剌とした印象。

▪️シャブリ

ピアノメインの演奏でテンポのはモデラートでよりクラシックな雰囲気で親しみやすい印象でした。

▪️シャブリ・プルミエ・クリュ

クラリネットがメインの演奏で落ち着いたテンポの中、複雑に絡み合う弦を背景に、しなやかな印象です。

▪️シャブリ・グラン・クリュ

チェロがメインの演奏で落ち着きの中にも威厳があり、力強く、組曲全体のフィナーレを華々しく飾っていました。

紹介されたシャブリ

「プティ・シャブリ2019ドメーヌ・ビヨー・シモン」 プティ・シャブリらしいフレッシュ感のあるレモンのような香りが感じられしっかりとした酸で生き生きとした印象。

「シャブリ・サンマルタン2019ドメーヌ・ラロシュ」ドメーヌ・ラロッシュは最も歴史あるドメーヌです。ドメーヌがシャブリに所有する畑から最良の区画を厳選、多くの区画のブドウをブレンドすることにより、ワインには芳醇さや複雑さが与えられます。新鮮さとフィネスと共にエネルギーを持ち合わせており、シャブリのテロワールのもつ独特なミネラルが感じられます。フレッシュなフルーティさとエレガントさがたまらなかったです。

「シャブリ・プルミエ・クリュ コート・ド・レシェ2019ドメーヌ・ダニエル・ダンプ・エ・フィス」150年続くワイン生産者の家系に生まれたダニエル・ダンプ。義理の父であるジャン・デフェとともに、ドメーヌを創設しました。現在、シャブリに16ha、シャブリ・プルミエ・クリュに14haを所有し、醸造は自ら行い、ワインにユニークな個性が光ります。最良の日当たりや土壌などの特有のテロワールを表現した、最もシャブリらしい酸とミネラル感を兼ね備えた、長期熟成のポテンシャルも高いワインです。

「シャブリ・グラン・クリュ ヴォーデジール2019 ドメーヌ・ジャン=ポール・エ・ブノワ・ドロワン」ジャン=ポール ・エ・ ブノワ・ ドロワンは、1620年にまで遡る歴史的なドメーヌです。1866年にナポレオン三世がオーセロワ地区を訪れた際に、当時の当主エドム オーギュスト ドロ湾がワインを献上し、帝国の紋章が刻まれた銀のダストヴァンを授けられたというエピソードがあります。強いミネラルを感じるクラシックな味わい口に含むとナッツや石灰、粘土のリッチさがあります。

演奏を聴きながらシャブリとフレンチのマリアージュも楽しみました。

茄子のテリーヌ 蝦夷アワビのコンフィには「シャブリ・サント・クレール ヴィエイユ・ヴィーニュ2020ジャン=マルク・ブロカール」を合わせて

しっかりとしたグリップ、シャブリらしいヨード感が強く感じられ、目の細かい緻密な質感。蝦夷アワビの素晴らしい磯の香りが口の中に広がりシャブリとよく合います。

低温調理した仔牛のロースト 夏野菜のピューレ 山椒ソース モスタルダ添え

「シャブリ・プルミエ・クリュ・フルショーム2018ドメーヌ・ジェラー・デュプレシ」の厚みのある、アンズを思わせる香りと適度な酸味のすっきりした味わいがホールフルーツをシロップ漬けしたモスタルダと相性が良く感動しました。

ホウボウのポワレ 万願寺唐辛子のグリエ 磯香るプールブランソース

「グラン・クリュ レ・クロ2018、ドメーヌ・ウィリアム・フェーブル」はピュアでエレガントな味わいでほかのグラン・クリュの長所を集めた複雑味のある味わいでカリッと焼き上げたホウボウの皮目の香ばしい味わいに合っていました。

四重奏の重なりとシャブリのアペラシオンが織りなす音楽は素晴らしかったです。まさに、音楽と食を通して幸せを感じる…ウェルビーイング。

シャブリ・シンフォニーのサイトで視聴できるので目と耳でシャブリを感じてみてはいかがでしょうか。

https://www.chablis.jp/discover/chablis-in-sounds-and-images/chablis,2114,8331.html

Text /佐保田 香織

総合商社→流通コンサルタントを経て幼い頃から親しんだ和の世界へ。きものサロンを主宰し、着付けのマンツーマンレッスンや着物イベントを企画。着物で食べ歩きをするなかでフードアナリスト資格を取得し、フードアナリストとして商品開発やメニュー開発、メディアでの情報発信など食の分野でも活動している。 

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