「自由に、自分らしく」生き方も教えてくれるマリー・クワント展 1 月 29 日まで

本展は、マリー・クワントがデザインした約 100 点 の衣服(ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館より)が来日、会場の「Bunkamura ザ・ミュージアム」に並び、1955 年から 1975 年にか けてのマリー・クワントのデザイナーとしての活動、時代を切り開いた起業家としての歩み を辿ることができます。60 年以上前と思えないほどモダンな衣服、アクセサリーや小物、 写真や雑誌、関連資料がずらりと並ぶ様は圧巻で、ワクワクと心が弾みます。

ウール素材のジャージードレス。ベレー帽やタイツなども合わせている

展示は時系列になっていて、若干 25 歳で若者向けのブティック「バザー」を立ち上げ、ロ ンドンのファッションシーンに彗星のごとく登場した 1955 年から始まります。ミニスカー ト、タイツ、女性のためのパンツスタイルなど、今日当たり前になっているアイテムを広く 浸透させていきます。⻄洋の伝統や階級文化に縛られた旧来の価値観とは異なる、若々しさ や躍動感にあふれるデザインを世に送り出しました。

また衣服から化粧品、インテリアまでのライフスタイル全般までアイテムを広げ、アメリカ やオーストラリア、アジアまで事業を拡大する世界的なブランド展開も時代を先導しまし た。ビジネスの先見性も半端ありません。

そして何よりその生き方は、新しい女性のロールモデルでした。大英帝国勲章受勲の時にも、 自身が手掛けたジャージー素材のアイテムで式典に臨んだり、女性にふさわしくないとされ ていたパンツやジーンズなどをラインナップに加えたり、ジェンダーや階級意識などステ レオタイプに果敢に立ち向かったのです。

細身のシルエットや中性的な装いなどが特徴のミニドレス。1950~1960年代に流行
従来の市場になかった素材を使った快適かつサポート力のあるアンダーウェアを発表

会場では、マリー・クワントのメッセージを映像が伝えます。
「退屈なファッションなんて意味がない。(中略)洋服は自分自身やなりたい自分を表現す るための手段です。多くの女性は、その振る舞いや服装・役割が男性の求める理想の女性像 に当てはめられ、自分らしい装いは許されませんでした。自分らしく生きる人や若者のため に、私は服を作りたかったんです」

そしてヴィクトリア・アンド・アルバート博物館のトリストラム・ハント館⻑は言います。
「彼女の最大の偉業は、新しい生き方や考え方を伝える手段としてファッションを捉えて いたことかもしれない。それまでのルールをちょっと変えて、性別による役割や個性の新し い在り方を想像しながら、着ると楽しくなって自信が生まれ、既成概念から解放される服をつくる。マリー・クワントは、未来の人々が手にするチャンスと自由を、力強く、明確に表現していたのだ」(本展公式図録より)

ドレスや遊び着など。デイジー人形にもお揃いの服を着せています

柔軟な発想とパワフルさでそれまでの既成概念を打ちこわし、「自由に、自分らしく」と多 くの女性をエンパワーメントしたマリー・クワント。改めてその魅力に触れ、元気になれる 展覧会です。今年、92 歳を迎えたマリー・クワント、いつまでもお元気で!!

マリー・クワント展
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷区道玄坂2-24-1)
会期:2022 年 11 月 26 日(土)〜2023 年 1 月 29 日(日)
※1月1日(日・祝) 休館
開館時間:10:00〜18:00 毎週金・土曜日は 21:00 まで。12月31日(土)は18:00 まで。
観覧料:一般 1,700 円 大学・高校生 1,000 円 中学・小学生 700 円

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_maryquant/

マリー・クワントといえばデイジーマーク。かわいくて全部ほしくなるグッズコーナー


Text / 糸藤友子

リクルート→ベネッセ→ミズノを経て、現在は脳科学ベンチャーで、脳の可能性を最大化するためのサービス開発(【Active Brain CLUB】https://www.active-brain-club.com/)などを担当。認知症の知識や予防の技術を学び「認知症予防専門士」と、発酵の原理・歴史・効果などを学び「発酵マイスター」の資格を取得。脳腸相関に基づき、脳活と腸活による健康寿命の延伸をミッションとして活動中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です