圧倒的非日常にいざなう「星のや」から居酒屋以上旅未満の「BEB(べぶ)」その他の個性的な施設を含めて約60施設ものラインナップを誇る星野リゾートのほぼすべてを取材しているWLIFE編集長がお届けするトリセツならぬ「タビセツ」。今回は、冬しか見られない青森県奥入瀬渓流の絶景を見に「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」を訪れる旅を案内します。
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十和田湖八幡平国立公園内にあって、十和田湖から清らかな水が唯一流れ出す奥入瀬川。苔に覆われ緑に包まれた渓流美はよく知られていますが、雪に包まれた冬にはまったく異なる自然が生み出す絶景を見ることができます。渓流のところどころに出現する神秘的な氷瀑や白い世界での静かなせせらぎは冬だけの贅沢な美しさ。そんな奥入瀬渓流沿いの唯一のリゾートホテル。「星野リゾート 奥入瀬渓流」で、冬季独特の渓流美を楽しむためのアクティビティやレストラン、2022年12月にできたばかりの「渓流スイートルーム」をご紹介したいと思います。
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冬の渓流を見に行くアクティビティは、朝から12:30までに4回催行の「冬の奥入瀬渓流バスツアー」と夜にLED搭載のライトアップカーで名所が照らし出される「氷瀑ライトアップツアー」の無料ツアーのほか、その日のコンディションに合わせてベストな場所をネイチャーガイドが案内する「国立公園プライベートツアー」(1名13,200円、防寒スノーウェアのレンタル、スノーブーツ・スノーシュー、ティータイム含む)があります。
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「国立公園プライベートツアー」では、ネイチャーガイドに足場を確保してもらって、冬だからこそここまで間近に寄れる雲井の滝の迫力が格別でした。装備や案内があってこそのルートや、奥入瀬の木々や動物の足跡、春までの移ろいなどの話を聞きながらのツアーは、奥入瀬の美しさをより満喫するのにおすすめです。
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ホテルに戻って、奥入瀬にゆかりのある岡本太郎の作品「森の神話」の大暖炉のあるロビー、とろりとした八甲田山の温泉が楽しめる大浴場でくつろぎのひと時を。大浴場の露天風呂では冬季限定で奥入瀬の自然を思わせる「氷瀑の湯」を楽しむことも。
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ダイニングは、名産りんごをモチーフにしたビュッフェレストラン「青森りんごキッチン」と渓流を望むフレンチレストラン「Sonore(ソノール)」。ソノールでは、渓流沿いのテラスで四季折々にアペリティフを楽しめますが、冬はかまくらのようなプライベートなシートでアミューズを。薄暮の渓流を眺めながらのシャンパーニュとラビオリ仕立のイカ真薯や鴨肉のリエットの菊芋包み揚げなど5種のアミューズは独創的で、それぞれ口に運ぶたび驚かされる美味しさでした。室内に席を移してのコースは、主食材だけが記されたメニューに期待の膨らむ全9品が出てきます。私は、まったりした鱈の白子に発酵された鱈の切り身の歯触りとコク。そこに春菊の苦味がいきた温野菜「鱈」がいちばん印象に残りました。充実したセラーがあり、ペアリングもお願いできます。(食事の内容は、仕入れ状況によって変わる場合があります。コース21,780円 / ペアリング12,100円税・サ込、要予約)
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全187室の中でわずか2室、120㎡で渓流を望むテラスや半露天風呂も備えた「渓流スイートルーム」は2022年の12月にできたばかり。入った途端にコブシの林が壁際に立ち、その前には奥入瀬渓流をイメージしたダイニングテーブル、その向こうにテラスからの美しい眺めに圧倒されます。
まるで渓流の邸宅に招かれたような贅沢なつくりで、冷蔵庫にはシャンパーニュやクラフトビールなども無料で入っています。ゲストはチェックインの際に好きな苔玉を選んで部屋に飾り、持ち帰ることも。プラーベート感たっぷりの客室は、2名1室で1名87,990円〜(税込、夕食ビュッフェ、朝食付)。朝食は、インルームダイニングで楽しめます。
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2ベッドルームで最大6名まで泊まることができるので贅沢をシェアするというのも手。「渓流と過ごす、ごほうび」をぜひ体験してみては。
星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/oirasekeiryu/
Text / W LIFE編集長 小野アムスデン道子
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世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。