【6月4日まで】京都市京セラ美術館で開催の「跳躍するつくり手たち」 気鋭の20作家の作品に出会う

5月14日まで開催されていたKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 の興奮も冷めやらない京都のアートシーンですが、もう一つ注目されている美術展が、6月4日(日)まで開催されている京都市京セラ美術館の特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」です。

地球環境への意識の高まりやテクノロジーの進化など、人間社会のあり方が大きく変化する現代は、新たな視点
が求められる時代だからこそ、人間こそがなしうることの重要性が改めて問い直されています。

京都市京セラ美術館 特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」展示風景 撮影:来田猛
A–POC ABLE ISSEY MIYAKE 《TYPE-Ⅱ 004》2023年 作家蔵 京都市京セラ美術館 特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」展示風景 撮影:来田猛


企画・監修は、デザインを 軸としてリサーチと思索を重ねてきた川上典李子氏(武蔵野美術大学客員教授)。人間や 地球の歴史を意識しながら、柔軟な発想でめざましい活動を展開する日本のアート、デザイン分 野の気鋭の 20 作家(個人・チーム)を取り上げています。

1970 年代、1980 年代生まれを中心とした参加作家による新作や初公開作品を多数紹介する本展では、過去と未来、自然と人工、情報環境と実社会といったさまざまな関係性を軽やかにつないで再解釈する彼らの作品や活動から、世界が直面する激動の時代に求められる「創造へ向かう跳 躍するエネルギー」が鮮やかに浮かび上がることでしょう。

京都市京セラ美術館 特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」展示風景 撮影:来田猛

本展の見どころ

◾️世界が感嘆! 日本のものづくりが示す先見的な「サバイバルと創造」のヒント

活発な動きを見せる、本展参加アーティストやデザイナーの活動形態は、 アート、デザイン、ファッション、建築、映像など、ひとつの枠に収まりません。出展作品は、 新作を多数含み、個人から、コレクティブ、異分野のメンバーとのプロジェクトまで、多岐にわ たる制作過程から生まれました。作品の数々からは、激動期のサバイバル、未知の受容、未来に 向けた創造などへの先見性を読み取ることができるでしょう。

◾️ 京都のものづくりのバトンをうけとる後継者たちが探る「100 年後」

歴史と伝統を継承しつつ、京都を拠点に革新的な活動を展開するチームにも目を向けます。細尾 (1688 年創業)の細尾真孝、開化堂(1875 年創業)の八木隆裕を始め、6社(細尾、公長齋小 菅、中川木工芸、開化堂、金網つじ、朝日焼)の未来を担う6名で結成された「GO ON」で す。彼らのテーマは「日常で使われる『もの』の命を 100 年先につなぐためにいま何をなすべき か」。個別にも、科学者・数学者らと共にものづくりの可能性を拡げようとする細尾のリサーチ や、他のメンバーの取組みを紹介されています。

◾️ 注目デザイナーのリサーチを新作や初公開のインスタレーションで紹介

綿密なリサーチを重ねて課題解決を図ることで世界の注目を集めるデザイナーの最新活動を紹介します。革新的な衣服づくりを提案する A-POC ABLE ISSEY MIYAKE のチームは、京都で受け継がれる技術をとり入れた最新コレクションを披露。また、TAKT PROJECT のリサーチに基づ く本展のためのインスタレーションや、人工と自然の関係に着目した《glow ⇄ grow: globe》の 会期中の変化も必見。ニューヨークで活動する田村奈穂の静謐に包まれたインスタレーショ ンも日本初公開です。

◾️ 展示デザインにも「跳躍する」才能が集結!

展示デザインを手がけるのは、数寄屋建築で著名な中村外二工務店での経験を生かし「現代にお ける日本文化」をコンセプトに活動する建築家/美術家の佐野文彦。そして空間演出にはテクニカ ルディレクターとして展覧会や舞台で国際的に活躍する遠藤 豊、グラフィックには野間真吾が参 画。今後の飛躍が期待されるクリエイターがタッグを組んでいます。佐野は参加作家として新作も発表します。

会期終了まで3週間、ぜひお見逃しなく!

企画・監修:川上典李子

デザイン誌「AXIS」編集室を経て 1994 年に独立、ジャーナリストとして活動を続け、2007 年から 21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクターとして展覧会企画にも関わる。同館以外では「現代日本のデ ザイン 100 選」(国際交流基金主催)共同キュレーター、パリ装飾美術館「Japon-Japonismes, Objets inspirés, 1867–2018」(2018 年)共同キュレーター、「London Design Biennale 2016」日本公式展示キュレトリア ル・アドバイザー等を務める。武蔵野美術大学客員教授、多摩美術大学理事。

特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」
主催:京都市、京都新聞、日本経済新聞社
企画:京都市京セラ美術館、川上典李子、米山佳子
会期:2023 年 3 月 9 日(木)~6 月 4 日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
開館時間:10:00~18:00(最終入場は 17:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
料金:一般:1,800(1,600)円 大学・専門学校生:1,500(1,300)円 高校・中学生:1,100 円 (900 円)小学生:600 円(400 円) 未就学児無料

※( )内は前売、20 名以上の団体料金 ※京都市内に在住・通学の小中学生は無料 ※障害者手帳等ご提示の方は本人及び介護者 1 名無料(学生証、障害 者手帳等確認できるものを持参のこと)

https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20230309-20230604

Text /W LIFE 編集部


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