京LIFE:今からワクワク~この秋話題の京都 東福寺展を一足お先に

京都国立博物館でこの秋開催予定の東福寺展。その一部公開が6月から始まっています。報道向け記者会見で得た耳より情報をいち早くお伝えします。トップ画像は、展覧会の圧倒的スケール感を物語る『二天王立像』です。

 京都を代表する禅寺、東山区の東福寺といえば通天橋からの紅葉の絶景で有名ですね。

通天橋 : 紅葉の季節は通天橋からの眺めが美しい

その東福寺の禅宗文化の貴重な品々を紹介する初めての大規模展が、今春の東京展に続いてこの秋 10月7日(土)~12月3日(日)まで、京都国立博物館で開かれます。

 それに先駆けて、重要文化財『二天王立像』の展示が6月13日(火)から始まるとのことで、記者発表会に行って参りました。

記者発表会には東福寺関係者の皆様もお越しでした

 京都国立博物館で先行公開されるのはご本尊を守るこの2体の仁王像で、怒りの表情で邪鬼を踏みつけ、それぞれ阿吽の表情が特徴です。

二天王立像の大きさを人間と比較

 注目したいのがその大きさ。高さはそれぞれ約3メートル30センチ、重さは250キロ余りある巨大な木造の仏像なのです。なぜこんなに大きいのかというと、それは東福寺自体が大きな伽藍(がらん)、巨大建築を持つお寺で、そのスケール感に合わせると自ずと仏像の大きさも大きくなるということなのです。

東福寺 三門 巨大建築からその壮大さを現地でも味わいたい。

 東福寺という寺の名は、奈良の東大寺の「東」、興福寺の「福」にあやかって一字ずつとったといわれ、かつては巨大な大仏様も鎮座していたようです。そのことを実感できる展示『仏手』(片手だけで高さ2メートル超!)はこの秋までお預けです。

重要文化財 五百羅漢図のうち第20号幅 吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示期間:10月24日(火)〜11月5日(日)画聖・明兆の鮮やかな色彩美に度肝を抜かれるかも。

 その他、あの水墨画の雪舟も尊敬し、「画聖」と崇められた東福寺の専門絵仏師・吉山明兆(きっさんみんちょう)による色彩豊かな『五百羅漢図』50幅が14年の修理後初公開されるなど、大変楽しみな展示になりそうです。

 特に明兆の水墨と極彩色とが調和した作品は、近年、江戸時代の絵師・若冲が再認識されブームになったように、改めて彼の画業にスポットライトが当たる予感がしてなりません。

重要文化財 五百羅漢図のうち第40号幅 吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示期間:11月21日(火)〜12月3日(日)画聖・明兆の再認識につながる展覧会になる予感。

 これだけの規模での東福寺の文化財公開は初めてのことで貴重な機会になると思うので、そのスケール感もぜひ体感して欲しいと京都国立博物館 研究員の森道彦さんは仰っていました。

 また、この東福寺展の期間中、11月11日(土)~12月3日(日)にかけて、東山区の東福寺では令和の大修理完成を記念して、縦11メートル、横6メートルもある規格外の大きさの『大涅槃(ねはん)図』の特別公開も予定されているとのことでした。

特別公開 涅槃図 特別公開 2023年11月11日(土)~12月3日(日) 巨大な涅槃図は現地・東福寺で展示

大本山東福寺寺務長の岡根方春さまにもお話をうかがったところ、ちょうど紅葉の見頃を迎える時期にこの展覧会とともにぜひ東福寺にもお越しいただいて、お寺の大きさともども体感していただければとのことでした。

東福寺では、期間中、特別な御朱印も授与される予定もあるそうです。この点はまた近づいたらこのWLIFEでお知らせしたいと思いますので、ぜひ旅の参考になさってくださいね。

 

特別展 東福寺
会場:京都国立博物館 平成知新館 
期間 2023年10月7日(土)~12月3日(日)
開館時間:9:00~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 ※ただし、10月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)休館
観覧料:一般1,800円(1,600円)、大学生1,200円(1,000円)、高校生700円(500円)
※( )内は前売・団体料金
問合せ:075-525-2473(テレホンサービス)
展覧会公式サイト https://tofukuji2023.jp/

Text /倉松知さと 

関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを担当後、京都・歴史ライターへ転向。歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、雑誌で歴史エッセイを連載。京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。

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