マルク・シャガールの魔法~色彩と夢の織りなす版画の世界へ

世田谷美術館(東京都世田谷区)で開催中の「マルク・シャガール 版にしるした光の詩」展が始まりました。マルク・シャガール(1887年~1985年)は、その独特なスタイルと美的感覚で知られる20世紀の代表的な画家の一人。彼の作品は、色彩豊かなパレット、夢想的なイメージ、そしてしばしば神話や民話をテーマにした作品で評価されています。

本展では、神奈川県の鎌倉・葉山現代美術館のコレクションから選ばれた作品を中心に、1950年代から1960年代に刊行された、シャガールの様々な技法を用いた

が紹介されています。


『ラ・フォンテーヌ寓話集』、モノクロームの版画が美しい。
『ダフニスとクロエ』、シャガールの代表的な作品の一つ 。

展示されている6つの版画集:
『ラ・フォンテーヌ寓話集』(1952年刊): エッチング技法を用いた作品が32点(全100点のうち)。

『馬の日記』1952年刊): エッチングとリトグラフの作品が18点全て。

『悪童たち』(1958年刊): エッチングとアクアティントの作品が10点全て。

『ダフニスとクロエ』(1961年刊): リトグラフの作品が42点全て。

『サーカス』(1967年刊): リトグラフの作品が23点展(全38点のうち)。

『ポエム』(1968年刊): 木版の作品が15点(全24点のうち)​。

『悪童たち』自身の少年時代に想いをはせたとか。

シャガールは色彩に対する強いこだわりを持っていて、自身の目指した色彩が出ない場合には版画集の出版を取りやめたこともあったそうです。そのため、本展で展示される作品は、いずれもシャガールが表現したかった絶妙な色彩を当時のままに味わうことができます。

また、シャガールは色彩だけでなく版画技法にもこだわりを持っていて、リトグラフ、エッチング、木版など様々な技法を取り入れて全く違った表情を楽しむことができます。

『ポエム』、木版画のよさがわかります。シャガールの詩も。

特に『ポエム』は、木版画にシャガール自身の詩が添えられている作品です。詩には生まれ故郷の思い出やユダヤ民族への共感、信仰や戦争、愛する人への想いや画家としての道のりなど、自身の半生が謳われています。ロシアでユダヤ人の家庭に生まれたシャガールの宗教的なバックグラウンドは作品に深く影響を与えていることがわかります。

緑深い砧公園にあり、豊かな自然環境に囲まれた世田谷美術館で、138点のシャガールの作品をゆっくりと観てきました。改めて、シャガールの魔法にかかり、夢幻的で詩的なスタイル、恋人や動物、故郷の風景を色彩豊かに描き、独自の視点による表現を満喫することができました。

マルク・シャガール 版にしるした光の詩

開催期間:2023年7月1日(土)~2023年8月27日(日)
休館日:毎週月曜日。ただし7月17日(月)は開館、7月18日(火)は閉館
開館時間:10:00~18:00(最終入場時間17:30)
会場:世田谷美術館
入場料(税込):一般 1,200円、65歳以上 1,000円、大高生800円、中小生500円

詳しくは、https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00214

Text / 糸藤友子

リクルート→ベネッセ→ミズノを経て、現在は脳科学ベンチャーで、脳の可能性を最大化するためのサービス開発(【Active Brain CLUB】https://www.active-brain-club.com/)などを担当。認知症の知識や予防の技術を学び「認知症予防専門士」と、発酵の原理・歴史・効果などを学び「発酵マイスター」の資格を取得。脳腸相関に基づき、脳活と腸活による健康寿命の延伸をミッションとして活動中。

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