コロナ禍前には行きたい国のトップ常連だったタイ。最近、またその人気が再燃。タイ国政府観光庁(TAT) によると2024年は訪タイ日本人客数の目標を当初87万人としていたのを100万人に引き上げたそうです。そんなTAT主催による世界50カ国から400名以上の参加者が集まったトラベル商談会TTM+に招かれて、タイ南部でカオラックを中心にパンガー県を回って来ました。絶景、美食、おもてなしとタイの魅力を再発見することが多かった旅をレポートします。
【カオラック はどこにある?】
タイ南部の島プーケットは知っているという人が多いでしょう。バンコクで飛行機を乗り換えてプーケットまでは1時間半、そこから北に車で約1時間半、自然に囲まれたパンガ ー県のカオラックには、美しいアンダマン海に面してリゾートが点在します。また、ここ を拠点にシミラン諸島やスリン諸島にダイビングに出かける人も多くいるところです。
島であるプーケットから、橋を渡って本土のパンガー県に入ったところで夕食をとりまし た。路面にテーブルがあって、目の前でフライパンが振られどんどんお料理が仕上げります。出てきたのは、空芯菜の炒め物、豚肉ミンチの卵焼き、揚げたスズキのあんかけと、どれもシンプルなのにすごく美味しい !
タイには、スパイスやハーブをいろいろ使う凝った料理もありますが、こん な簡単に食べれる家庭料理のようなメニューも抜群に美味しいのです。しかも一品は150 ~200Bと安い ! 円安でタイバーツのレートが4.31円(2024年6月20日)とはいえ、やっぱりタイはお財布に優しい旅先です。
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【5ツ星ホテルには 全長2.5kmのプール】
TTM+の会場であり滞在先となったのは「JWマリオット カオラック リゾート&スパ」。マリオットのラグジュアリーブランドの5つ星です。
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私の部屋は広さ55㎡のデラックスルー ム。チェアの置かれたバルコニーもあって、モダンな中にもタイの工芸品が美しいアクセ ントになっています。バスルームは、シャワーとバスタブがセパレートになっていて、ゆったりバスタイムが過ごせました。タオルで作られたゾウと草花がWELCOMEのおもてなし。 この時期にはこの客室で日本円にして2万円前後です。
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敷地内を回遊するようなラグーンプール(一階の客室から直接入れます)と海まで続くよ うなインフィニティのメインプールがあって全長は2.5km。水はきれいにメンテナンスされ ていて、日がな一日プールで過ごす贅沢もできます。
【朝市でタイの日常生活に触れる】
翌朝、朝5時から開いているというタラック・バスターミナルにある公設市場へ。8時ぐ らいに着い時にはすでに活気いっぱい。買い物や朝ごはんを食べたり、托鉢のお坊様に朝 ごはんを差し上げたり。
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市場といえば、むっと生鮮食品の匂いが立ち込めてそうですが、ここは新鮮な野菜・果物、肉・魚などとてもきれいに陳列されているのにも驚きました。緑の野菜は、空芯菜、ターサイ、ボクチョイ、パクチーなどとにかく種類が豊富。ただシンプルにニンニクと唐辛子、ナンプラーで炒めるだけで美味しいのです。買って帰れないのが残念ですが、タイで炒め物に使うお醤油を購入。揚げパンの朝食も食べて大満足です。
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【ここは天国?なリゾートでミシュランの美食】
ランチも兼ねて、天使の泊まる場所という名前のリゾート「(Devasom)デバソム・カオラック ・リゾート&ヴィラ」へ。開放的なロビーの向こうにはラグーンと海が広がります。風がそよぎ、鳥のさえずりが聞こえてくるサンクチュアリのようなところでした。もともとカオラック には、長期滞在のヨーロッパの人が多く訪れていたことから、彼らの好みである落ち着いてリラックスできるスタイルに合わせたリゾートも多いそう。
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ホアヒン郊外にあるラーマ6世のマルカッターイヤワン宮殿を思わせるような洗練された建物、瞑想などのウェルネスプログラムからカヤックでのアドベンチャーまでアクティビ ティも豊富です。そして、シーサイド・プール・パラダイススイートは、客室のプールから見える目の前の美しい海にため息。さすがに1室10,000~20,000バーツ(朝食付き)だそうです。
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こちらのメインダイニング「TAKOLA The Restaurant 」は、ミシュランガイド2021〜2024まで連続ビグブルマンに選定されています。タイの宮廷料理で野菜をナンプリックというディップにつけて食べる前菜やタイ南部のハーブとココナッツたっぷりのカニのカレーの美味しさにも驚きました。
タイ料理は甘み、辛味、酸味の3つの味(サムロット)からなっていますが、ここは、ココナッツのまろやかな甘さ、チリのスパイシーな辛さ、そしてタマリンドの酸味とタイ料理の要素が実に洗練されて一皿に昇華していました。
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【世界無形文化遺産!タイ南部の伝統舞踊】
その日の最後はTTM+のオープニング式典と歓迎レセプション。TTMではいつも主催地方が誇る伝統芸能が華やかに披露されます。今回は、500年の歴史を持つタイ南部の伝統舞踊であり、2021年にユネスコの世界無形文化遺産に登録された「ノーラー舞踊」が、参加者を迎えました。見惚れる華やかな衣装や優雅な動きと、可愛いい子供たちの柔軟な体の動きに驚かされる、圧巻のパフォーマンスでした。
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タイ王国政府観光庁副総裁ニティー・シープレー氏の発表では、2024年1~5月の入国者 数約1400万人、観光収入は6820億バーツ(約3兆円)。この数字は、インバウンド絶好調の日本と近いですね。2024年の観光収入目標は3兆バーツ(約13兆円)。一般の観光やビ ジネスに加え、今回のような商談会や展示会などMICE市場でのタイのパワーを感じました。
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翌日からは、最新アトラクションとなる「 Beyond Skywalk Nangshi 」からの絶景やマングローブの林に囲まれた運河でのカヤックなどパンガー県でのさまざまな魅力を体験しました。インドネシアから渡ってきたイスラム教の人々も多く、建物や食、文化も独特なものがあります。プーケットから足を伸ばしてみたいパンガー県、そのユニークな魅力は改めてレポートしたいと思います。
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取材協力/タイ国政府観光庁 https://www.thailandtravel.or.jp/
Text /小野アムスデン道子
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世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。