遥かなる「南極への旅」その3
南極の生き物たちと極地でのアクティビティ

トラベルアクティビスト真里さんの「遥かなる 南極への旅 」の「その3」は、生き物たちとの出会いや極地に向かった船「シャルコー号」でのさまざまなアクティビティについて。これまでの旅はそれぞれ次のリンクから:
南極への旅その1」「南極への旅その2

コウテイペンギン

いよいよ南極の生き物たちに遭遇!まずは、体長は130センチ、体重は45キロに海から離れた内陸部に営巣するコウテイペンギン。つがいでの一羽が卵を温めている間に、もう一羽は数キロ歩いて、海にたどり着き、魚とお腹いっぱい食べ太って、また数キロを歩いてコロニーに戻ります。巣を内陸に作るということは、冬の寒さや数キロの移動を代償に、鳥などの天敵を避けることができます。そんなコウテイペンギンたちが一列になって移動していくのを目の前に見ることができました。黒と白の羽毛とずんぐりしたフォルムを見ていると、サラリーマンの通勤風景を連想してしまいます。

人間など見たことがないペンギンたちにとって、立って歩いている我々は、仲間と勘違いしているのかなと思うこともしばしば。「ウエ〜」と私たちに向かって、何度も鳴き声をかけてきます。「そっちは餌がある海じゃないよ。どこいくの?」と聞かれているようです。南極条約のセッションで学んだように、私たちはただ黙って立っているだけ。こちらに近づいてくることがあれば、私たちは後退りして、5m以上の距離を保たなければなりません。しばらくすると「仲間と思ったけど違ったかな」と思ったのか、また元のルートに戻って、歩いたりお腹で滑ったりして移動を続けます。鳥ですから、見かけの個体差はほとんどないにも関わらず、一羽一羽に個性を感じられて、仕草が可愛らしいです。

南極で見かけた生き物はコウテイペンギンだけではありません。寝そべっていたカニクイアザラシとは、頭を上げた瞬間に目がばっちり合ってしまいました。ポヨンとした目つきが可愛いらしい。撮った写真を後でよく見てみると、鼻の穴から凍った鼻水が・・・思わず笑ってしまいました。

丸い大きな岩だと思ったらゾウアザラシだったことも。しかもお昼寝中で、耳をすますと「ズー…ズー…」といびきの音まで聞こえました。

アデリーペンギン
ジェンツーペンギン
アゴヒゲペンギン

他にも、50-70cm程度の大きさの中型のペンギンである、JR Suicaのモデルになっているアデリーペンギン、顎に紐がついているようなアゴヒゲペンギン、オレンジ色のくちばしと目の上の白い羽毛が印象的なジェンツーペンギンなど、毎日、たくさんのペンギンを見ました。船が移動中の海上では、シャチやクジラなど海の生き物にも何度も遭遇しました。

南極では動物を観察するだけではありません。シャルコー号ではさまざまなアクティビティをゲストに提供しています。例えば、「Polar Hike」、つまり“極地ハイキング”です。マウンテンガイドとともに、敢えてアップダウンがあるコースを3時間かなりのスピードで歩きます。他のゲストがいるエリアからかなり離れて、遠くまで歩きますので、氷の割れ目を飛び越えたり、ちょっとした山を登ったり、かなり大変でした。船に戻ると、パルカの下は汗びっしょり。でも、なんという爽快感でしょう!私はその爽快感が忘れられず、翌日もPolar Hikeに参加してしまいました。

もう一つ挑戦したのは、「カヤック」。波があまりない湾がある陸地に上陸して、準備してあるカヤックに2人一組で乗り込みます。万が一にも海に落ちてしまうと大変なことになるので、海水で体が濡れないようにドライスーツを着込みます。日本で湖や緩やかな川のようなところでカヤックをしたことがあったので、大丈夫と思っていたのですが・・・ここは南極。風もあり、海特有のうねりもありで、なかなか前に進みません。なんとか頑張って、無事岸に辿り着きましたが、ヘトヘトになってしまいまた。しかし、カヤックの上から見た南極の透き通った海は素晴らしかったです!

氷上を歩くのに適さない場所では、「ゾディアッククルーズ」が行われます。ゾディアックとは、海軍の特殊部隊などで使われている硬質ゴムのボートです。海上に浮かんでいる氷の合間を縫って、アザラシやペンギンを間近から見ることができます。機動性が高いので、クルー同士で無線で連絡を取り合い、「あそこの氷にヒョウアザラシがいる!」となると全速力で近づき、近づいたらエンジンを切って、静かに生き物を観察。乗客はゾディアックに乗っているだけで、あちらこちらに移動できるのでとても快適に動物の観察ができました。

実は、私が挑戦しなかったアクティビティが一つだけあります。それは、「Polar Plunge」、海への飛び込みです!事前に心電図をとり、船医に提出して、許可をもらいます。水着に着替え、バスローブを羽織って、船外へ。氷の上に張ってあるテントの中でガウンを脱いで、一人一人順番に南極の海へドボン!私は冷たい海水に飛び込む勇気がなく、参加しませんでしたが、参加した人々を見ているとみんな楽しそう。私より年上の方もたくさん参加していました。感想を聞くと、「飛び込んだ瞬間はあまり寒さを感じなかった。氷の上に上がってきてからの方が寒かった」とのことです。

南極でやはり動物たちとの遭遇は格別ですね。国立極地研究所のサイトによりますと、夏の南極の海水の温度はマイナス2℃ぐらいなのだとか!さて「南極への旅」は、次回が最終回。シャルコー号での豪華な食事や帰途の海路、心に残った思い出などをまとめてお届けします。

Text /トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。



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