以前、鎌倉で訪れて印象的だったホテルの総支配人が新たに仙石原でも2024年2月にホテルをオープン。共にとても素敵なホテルなのでご紹介したいと思います。
その総支配人は松宮大輔さん。いくつものホテルの支配人を経て、鎌倉の地で、喧騒を離れた住宅街に《鎌倉古今》をオープンさせたのは2019年1月。和風庭園の素敵なお庭があるお屋敷をリノベーションし、受け入れる宿泊者はわずか2組。お屋敷の端と端にそれぞれのメゾネットスイートのお部屋があり、お風呂なども全てそれぞれの宿泊エリアで完結しますので、プライベート感満載でした。絹や黒文字・山椒など和の素材を用いたお化粧品一式でのフェイシャルエステも心地よく、終了後はお肌ツヤツヤ。併設のレストランでお夕食はイタリアン、朝食は鎌倉産の食材での和食。いくつもの評価の高いホテルで支配人を勤めてきた松宮さんが始められた宿だけあって、満足度の高いステイでした。
しばらく前に「もう一軒、始めるんですよ」と聞いていたのですが、それが《仙石原古今》。元は、企業の保養所だった建物を完全リノベーション。92平米以上のスイートルーム5室からなる「Small & Luxury」なホテルが誕生しました。
敷地に入るとヤギが2匹、お出迎え。人懐っこくて、餌やりもできるそうですよ。
ロビーやお部屋の家具は、イタリアのEDRA社のもの。憧れの素敵な家具ではありますが、色やデザインの個性が強い分、自宅用にはなかなか購入できないタイプの家具でもあります。ホテルであれば、美しいフォルムとユニークさを持つこの家具たちによって非日常感が演出されて、一気に「旅」に没入できると思います。
お部屋は、リビング・寝室・ダイニングと本当に広い。お風呂は温泉とドライサウナ、そして水風呂。各部屋にサウナ併設のホテルはなかなかありません。ダイニングの冷蔵庫には、ビールやソフトドリンクに加え、シャンパーニュのハーフボトルが。なんと、飲み終わったら補充してくれるそうです。ちなみに、館内には薬草湯などがある大浴場も別にあります。せっかくの箱根での滞在、お部屋の温泉、大浴場と、両方のお湯でゆっくりしたいですね。そして館内レストランに着て行ってもOKなオリジナルの部屋着が、とても心地よいのです。デザインもオシャレ。
「仙石原古今」のHPから購入可能とのこと、自宅用にはもちろんのこと、旅先に持って行ってパジャマや部屋着として使うのも良いなあと思い欲しくなりました。
お楽しみのディナーはフレンチ。横山真也シェフは、伊豆のお生まれで、ずっと伊豆で活躍されていた方です。一皿目は、「五味」。塩味・甘味・苦味などその味覚を感じさせる美味しいものがひと口ずつ載ったプレートです。コース料理のはじめに、五種類の味覚を思い出させてくれ、自分の感覚が優しくリセットされるようです。
伺ったのは春でしたので、ちょうど初鰹が始まった頃。「初鰹 古今スタイル」と名付けた初鰹のお料理は、外側に粉をまぶして軽く揚げてあります。たたきでいただくことが多い初鰹ですが、こういう食べ方がは初めてかも。
そして、このレストランの一番の特徴が薪火。オープンキッチンの一角に薪火のグリルがあります。メインのお料理はこの薪火を使ったもの。テーブルに運ばれてくる料理が載ったお皿には、ドーム状のガラスに蓋が被せてあり、中には真っ白なスモークが。ガラスの蓋を外すと、モクモクと煙が漂い、現れたのが「松坂牛と筍」。演出も楽しいですし、テーブルに届くまでスモーキーさをキープしているので、その香りも食欲をそそります。美味しいことはもちろん、ちょっとサプライズな一品です。
特筆すべきは、ワインペアリングが素晴らしいこと。支配人をはじめスタッフにソムリエ資格を持つ方が4名もいらっしゃるそう。それぞれが、フランスやイタリアなど得意分野をお持ちなので、ペアリングのワインを決める時に「このワインが合うよ」「いやいや、こちらの方が」と意見のバトルがあるそう。こんな素敵なバトル、どんどんやって頂いて、私たちゲストのお食事の楽しみを増やして頂きたいですね。
朝食は、地元の食材を多用した和食です。新鮮やお野菜のサラダやお漬物。土鍋で炊いたご飯に、お味噌汁は豚汁です。だし巻き卵や焼き魚もプリッとしていて美味しい。前夜のフレンチも美味しかったけれど、朝ごはんは、やはりこんなシンプルで滋味のある和食が一番です。
居心地のよさと美食を楽しんだ旅。訪れたのは雲が多い日でしたが、お部屋から雪のかぶった富士山が見えました。
そして、この原稿を書いていたら、ちょうど松宮支配人から「ディナーが秋のメニューに変わります。新米に秋刀魚、柿など秋の食材が満載です」とご連絡が。1か月以上海外での旅を続けている私にとって、心惹かれる食材ばかり。帰国したら、必ず再訪しなければ!
仙石原古今 https://www.sengokubara-cocon.jp/
Text /トラベルアクティビスト真里
世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。