【イベントレポート】和とイタリアが響き合う──「パルミジャーノ・レッジャーノの美学」

去る2025年6月6日、東京・銀座のGINZA SIX内にある観世能楽堂で開催された、イタリア発祥のチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」をテーマにした文化イベントに招待されました。イタリアの食と日本の伝統美を“道”という精神で結びつけるという意欲的な試み!

会場が「静寂と格式をまとった能楽堂」というのに最初は驚かされましたが、チーズと芸術、そして哲学が織りなす奥深い世界を堪能するイベントでした。

オープニングには駐日イタリア大使が登場「食は文化をつなぐ架け橋」

冒頭の挨拶には、駐日イタリア大使ジャンルイジ・ベネデッティ氏が登壇。パルミジャーノ・レッジャーノが地域指定保護(DOP)という厳格なルールのもとで製造されていること、そしてその品質の高さがイタリアと日本の食文化をつなぐ架け橋になっていると話されました。

続いて、書家・中塚翠濤(なかつか・すいとう)氏によるパルミジャーノ・レッジャーノのJapanロゴ「円相」が舞台上に登場。「おいしさ・自然・真実・伝統・喜び」という5つの要素が、禅の象徴でもある“円”のフォルムに込められ、日本語とイタリア語が静かに溶け合うビジュアルです。チーズという食品の奥行きに、新しい物語が添えられている感じ。

能の演出で立ち上がる“円の精神”が美しい

特別パフォーマンスとして、能楽師・辰巳滿次郎氏による創作舞台が披露されました。

書と能、そしてチーズという異なる表現が、ひとつの円の中で調和していくさまは、まさに「静と動」の美学そのもの。“円相”というモチーフを軸に、地球の魂が時空を超えて観る者を“道”へと導くという構成で圧倒されました。

トークセッションで語られたのはチーズが紡ぐ哲学

後半には、協会のブランドコミュニケーションを担当するイラリア・グレコ氏が登壇し、パルミジャーノ・レッジャーノが「職人たちの共同体によって守られてきた伝統」であることを強調。さらに、日本での認知度向上の鍵としてEPA(経済連携協定)とGI(地理的表示)制度を挙げ、両国の食の信頼性を支えていると語りました。

そして、コンセプト設計を手がけるティツィアーナ・アランプレーゼ氏は、「茶道や書道のように、チーズにも“道”がある」そして「命をかけて熟成させる」という営みの尊さを、日本の“型”文化と重ね合わせました。

特別ゲストのMEGUMIさんは、無駄を省くことで本質が浮かび上がるという“禅”の思想と、長期熟成による旨味の深さが重なると語りました。なるほど「日本人の感性にも自然と馴染むチーズ」には哲学を感じますね。

テイスティングで感じた「熟成の哲学」

イベントの締めくくりには、熟成期間24ヶ月と36ヶ月の2種類が用意され、それぞれの“時間の風味”を楽しめるテイスティングが実施されました。

飲み物には、イタリアの上質なスパークリング「フランチャコルタ」と、日本の文化を取り入れた“抹茶モクテル”。ともにチーズの味わい深さを引き立てるドリンクで、伝統と革新、東洋と西洋が交わる体験を堪能しました。

チーズとともに進化する“道”

今回のイベントは、パルミジャーノ・レッジャーノが単なる「料理の材料」にとどまらず、文化や哲学と結びつく存在であることを示していて、今後も「パルミジャーノ・レッジャーノチーズ協会」は、日本の感性に寄り添いながら「価値ある食のあり方」を提案していくそうです。

パルミジャーノ・レッジャーノチーズ協会 https://www.instagram.com/parmigianoreggiano.jp/

Text /W LIFE編集部

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