今年で10周年を迎える【フランスレストランウィーク】の姉妹イベント【フランスパティスリーウィーク2021】が7月2日から18日まで開催されます。都内・近郊52のパティスリー・レストラン・ホテルのパティシエが参加し、フランスの伝統菓子「パリ・ブレスト」をそれぞれ製作・販売します。

パリ・ブレストは、リング状のシュー生地を焼き上げ、水平に切り、間にプラネリ（粉砕したナッツ類をキャラメリゼして固めたもの）を加えたアーモンド風味のバタークリームを挟んだもの。ひと口ふた口で食べ終わる小さな一人用のものから家族で切り分けて食べるような大きなものもあります。1891年に行われたパリとブルターニュ地方ブレストという街を往復する「パリ・ブレスト・パリ」という自転車レースの開催を記念して作られたお菓子だとか。シューの形は自転車の車輪を模しているのですね。今回の【フランスパティスリーウィーク】は東京およびその近郊でのイベントなので、「パリ・ブレスト」を「パリ・トーキョー」と名付けています。

先日、【フランスパティスリーウィーク2021】を紹介するイベントが開催されました。《パティスリーカメリア銀座》遠藤泰介シェフ、《ベージュ　アラン・デュカス東京》ドゥグラス・オベルソンシェフ、錚々たる二人のシェフが発案した「パリ・トーキョー」をライブで製作してくれます。レストランのオープンキッチンなどでシェフのお料理の様子は見る機会がありますが、パティシエの手捌きを目の当たりにするのは、そういえば私は初めてかもしれません。シューの上にクリームを絞り出して載せていく手捌きはあまりにも美しく、芸術的。見惚れてしまいました。

遠藤シェフ作「パリ・トーキョー」は、クリームに砂糖を使わず、メープルシロップで甘さを出しているところが特徴。メープルシロップは液体なのでクリームに入れて使うのはなかなか難しいとのことですが、独特の香りを取り入れたかったとのことで、工夫を積み重ねたそう。シューの最上部に載っているヘーゼルナッツのプラリネのクランチーな口当たりや少し焦げたいい香りは、メープルシロップの香りとよく合います。クリームはメープルシロップに加えマスカルポーネチーズも入っているのでコクがあり、これもヘーゼルナッツと相性がいいですね。こちらのケーキはパティスリーウィーク中、店頭で購入・テイクアウトができます。

オベルソンシェフ作「パリ・トーキョー」の特徴は、千葉県産の落花生、そしてパリ産のウィスキーを使用しているところ。パリでウィスキー作っているの！？興味が高まります。ひと口食べてみると、確かにほのかなウィスキーの香りを感じます。一人用の小さめサイズということと少し柔らかめのシュー生地の焼き加減が食べやすくてとてもいいです。オベルソンシェフがおられるレストラン「ベージュ」では「パリ・トーキョー」はテイクアウトはできず、アフタヌーンティーの際のイートインのみとのこと。またお店で提供する際は、クリームをアイス状のものにするかもしれないとオベルソンシェフ。ベージュでいただくなら、これはシャンパンと合わせていただきたい！

世界的に見てもレベルが高い日本のお菓子業界。どのシェフも、先人たちが築いてきた基礎の上に、素材そのもののみならず、素材の生産者にもこだわり、良い腕・鋭い感性でどんどん進化しています。今回のイベントでお二人のシェフが「パリ・ブレスト」というテーマからそれぞれの発想で作り上げたものは、それぞれの個性が現れていて、似て非なるモノ。遠藤シェフは「この発表イベントの前夜まで試作を繰り返しました」、オベルソンシェフは「20週間ぐらいかかって辿り着いたレシピです」と、どちらのシェフのものも渾身の力作です。

52店のシェフ・パティシエが同じテーマに沿って新たに作り上げるお菓子は、どんなバリエーションになるのでしょう。私も【パティスリーウィーク】の17日間は、できるだけたくさんのお店を廻って、開催期間にしか食べられない「パリ・トーキョー」を食べ尽くしたい！

【フランスパティスリーウィーク2021 】
https://www.francepatisserieweek.com

参加店舗リスト
https://www.francepatisserieweek.com/pastryshops

Instagram
https://www.instagram.com/france_patisserie_week/

Text ／トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、１年の３分の１は旅をする生活へ。ジョージア、バルト３国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。