2021年12月18日(土)から東京ステーションギャラリーで始まった「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展 をレポートします。
「ハリー・ポッター」シリーズの第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』の初刷りは、1997年に発行され、わずか500部だったそうです。そして約25年、これまでに5億部以上を売り上げ、多数の外国語に訳される世界的ベストセラーとなりました。当時シングルマザーで貧困に苦しんでいたという原作者のJ.K.ローリングは、「歴史上最も多くの報酬を得た作家」とされています。「ハリー・ポッター」バンザイ!
今回の「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展は、大英図書館が所蔵する貴重な書籍や資料を中心に、「ハリー・ポッター」の世界の底流にある言い伝えや魔法の歴史をひもときながら、J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチもあわせて紹介されています。
J.K.ローリングは1990年にハリー・ポッターのアイディアを得て、カフェやバーでメモや短い文書を書きなぐりながら、その物語を紡いでいったそう。「1巻目を書いて残りの6巻の筋を考えるのには、5年ほどかかった。1巻目がでるときには、残りの巻の筋書きはもう考えてあった」(J.K.ローリング)というように、その貴重なメモ書きが展示されています。このメモ書きが現代最高といわれるファンタジー文学の元になったと思うと、感動です。
そして展示は、パピルスに記された古代ギリシャの魔法の手引書から、レオナルド・ダ・ヴィンチの天体に関する手稿、魔女を描いた絵画など、魔術や呪文、占い、錬金術、天文学など、人類がこれまでの歴史のなかで記述してきた、さまざまな書物や資料が並びます。選び抜かれた貴重な資料の数々が、魔法の歴史をひもとき、「ハリー・ポッター」の物語の秘密を探っていくのです。
「魔法薬学」「錬金術」「薬草学」「呪文学」「天文学」「占い学」「闇の魔術に対する防衛術」「魔法生物飼育学」、ハリーが学んだホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、展示が展開されています。「ハリー・ポッター」好きにはたまりません。
ホグワーツで必須科目の「魔法薬学」。薬は、病を治したり、人の外見を変えさせたり、また恋に落ちるように仕向けたりすることに利用されてきました。展示を見ながら、物語に登場する「生ける屍の水薬」(強力な眠り薬)、「煙突飛行粉」(暖炉を介して遠く離れた場所へ移動できる薬)、「ポリジュース薬」(変身したい人物とまったく同じ外見になる薬)、「真実薬」(秘密をすべて話させることができる自白薬)などを思い出し、ワクワクします。
「占い学」では、水晶玉、手相、タロット、そして茶葉占いなどの貴重な資料が展示されています。「ハリー・ポッター」の世界では、占いは「魔法の中でもいちばん不正確な分野の1つ」と、マクゴナガル教授に一蹴されます。しかしハリーと思われる「7月の末に生まれる子どもがヴォルデモートを打ち破る」という予言が、物語の不可欠な重要な部分となることは、みなさんもご存じだと思います。
本展は、2017年に大英図書館が企画・開催し、ロンドンとニューヨークで好評を博し、ついに日本で開催される国際巡回展です。「ハリー・ポッター」好きの方はもちろん、子どもの頃、魔法使いにあこがれた方(あ、私!)、今も魔法使いを目指している方(笑)、ぜひおすすめします。ワクワク、興味津々なこと間違いありません。
「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展
会期:~2022年3月27日(日)
休館日:月曜日(1月10日、3月21日は開館)、12月29日(水)~1月1日(土・祝)、1月11日(火)
開館時間:10:00~18:00(金、土~20:00まで)※最終入場は閉館時間の30分前まで
会場:東京ステーションギャラリー(東京)
入館料(税込):一般 2,500円 / 大学・高校生 1,500円 / 中学・小学生 500円
※チケットは日時指定の事前購入制です。
詳しくは:https://historyofmagic.jp/
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Text / 糸藤友子
リクルート→ベネッセ→ミズノを経て、50歳で脳科学ベンチャーへ。母の死をキッカケに健康寿命の延伸をミッションと決める。「人生は1回きりの旅である」から、いろいろな人と出会い、様々な体験をして、豊かに生きたいと願う。ベンチャーでは、脳を計りながら鍛える“最新”脳トレサービスを立ち上げ中。【Active Brain CLUB】https://www.active-brain-club.com/ 【ストレスマネージャー】https://www.neu-active-brain.com/stress-manager/