酒蔵が発信する地方の魅力 日本酒が醸すコミュニティベースが6月17日にオープン

「お酒は人と人をつなぐ重要な存在」。それを体現したいと構想を抱いて10年、黒龍酒蔵の親会社、石田屋二左衛門が提案する『ESHIKOTO(えしこと)プロジェクト』が2022年6月17日にいよいよ始動します。オープン前にその一部を体験させてもらいました!

黒龍酒蔵といえば福井県を代表する酒蔵のひとつ。全国にもその名を知られる老舗です。八代目当主であり、石田屋二左衛門の代表でもある水野直人氏は、かつて欧米のワイナリーを訪ねた際、ワイナリー自体がその土地と観光客、あるいは地元文化の発信基地として機能している様子に感銘を受けたのだそう。同じ醸造酒である清酒もまた、そんなふうに人と人をつなぎ訪れる人を笑顔にすることができるのでは。と構想を抱いたのが約10年前。「良いこと」を意味する「ESHIKOTOプロジェクト」を立ち上げました。

代表取締役の水野直人氏(左)と、杜氏の畑山浩氏。福井県ならではの「笏谷石(しゃくだにいし)」の壁の前で。

福井駅から車で30分ほどの永平寺町は下浄法寺地区にこのほど完成したのは、日本酒の新しいジャンルともいえる泡酒の貯蔵セラーを擁する『臥龍棟』と、レストランとお酒のテイスティングと購入ができる酒ショップがある『酒楽棟』。臥龍棟では地元アーティストや地元のショップなどが出店できるマルシェ風のイベントを開催するなど地元と観光客が触れ合うことができる場にしたいといいます。臥龍棟を入ってすぐに目を引くのは、巨大な杉でできたふたつのロングカウンター。再来年には創業220年を迎える石田屋二左衛門と同じくらいの樹齢の杉の木で、ふたつに切り分けられてもこの大きさ? とびっくり。この杉の木はこれだけでは終わらず、酒楽棟のレストランのテーブルにも使われているというので、その全容を想像するだけで、220年という時が育むものの大きさを実感させてくれます。

スパークリング日本酒、awa酒の貯蔵セラーがスタイリッシュな臥龍棟は英国人の建築家サイモン・コンドル氏によるデザイン。建材にも地元の杉を用いている。
地元アーティスト結城美栄子氏によるアート作品も見所。レストランなどそこここに展示してある。

隣接する酒樂棟に移動。レストランとショップがある2階へと上がりますが、テラス越しに九頭竜川を見下ろす絶景に思わず息をのむことは請け合い。まるで絵葉書のような美しさです。黒龍酒蔵では九頭竜川に流れ出ずる雪解け水を用いてお酒を製造していることもあり、これは黒龍酒蔵の象徴的な景色といえるでしょう。新緑のまばゆい季節に筆者は訪れましたが、春には桜並木、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季折々の楽しみがありそうです。


黒龍酒蔵と縁の深い九頭竜川。清冽な雪解け水は酒造にも用いられている

酒樂棟のレストラン『acoya』ではモーニングとランチ、ティータイムでの展開。食事内容は地元の食材や特産にこだわり、ヘルシー志向。ハーブティーなどを盛り込んだ健康的なドリンクバーつきで、自然景観と土地の恵みを存分に楽しめる内容となっています。ほかにも、パティスリーが充実していて、黒龍酒蔵の梅酒に用いた梅を使ったスイーツなどを楽しむことができます。お好きな時間帯に、気持ちのいい時間を過ごすことができるこのスペースは、お酒を楽しむ大人だけのもの。カップルで、あるいはお友達同士で訪れるのがおすすめです。

お酒を楽しむ、がテーマのレストラン『acoya』では土地の食材を用いた料理を提供。合わせるのは食中酒にぴったりのスパークリング日本酒『ESHIKOTO AWA2019 Extra Dry』。うまみが強く、さすがお米のお酒! 和食にもぴったり。

今後は宿泊施設などの展開も考えているという『ESHIKOTOプロジェクト』、季節を変えて何度でも訪れてみたいですね。

テイスティングルームにはソムリエがいることも。季節ごとに異なるお酒のテイスティングが楽しめる。

レストランacoya(あこや)

住所:福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17 酒樂棟2F-B

電話:0776-97-9396

営業時間:朝8:00~11:00(LO10:00)

     昼12:00~15:00(LO14:00)

     カフェ15:00~18:00(LO17:00)

取材/岩佐史絵

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トラベルジャーナリスト/コーディネーター。人生を豊かにするような旅を! をモットーに、魅力的な旅スタイルをさまざまなメディアに提案。ラグジュアリー、グルメ、子連れ、教育などのテーマでの旅記事執筆が多いものの、北極やアマゾン源流など辺境も大好物のフリーランス。

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