タビセツ⑤「界」花爛漫の春はこれから。伝統文化も堪能の栃木「界 日光」と青森「界 津軽」 

圧倒的非日常にいざなう「星のや」から居酒屋以上旅未満の「BEB(べぶ)」その他の個性的な施設を含めて約60施設ものラインナップを誇る星野リゾートのほぼすべてを取材しているWLIFE編集長がお届けするトリセツならぬ「タビセツ」。GW明けでもまだこれから春爛漫本番の栃木県中禅寺湖畔の「界 日光」青森県大鰐温泉の「界 津軽」をご紹介します。

中禅寺湖と男体山を眼前に日光らしさを満喫

日光からいろは坂を抜けて行く中禅寺湖は、湖(人造湖を含まない面積4㎢以上)では海抜高度日本一の1269mに位置し、一足遅い春を楽しめるところ。青く水を湛える湖と標高2486 mの男体山を目の前に臨む温泉旅館が「界 日光」です。


館内がロビーから広々、客室廊下はなんと畳敷き。和の旅館ホテルの心地よさを楽しめます。温泉大浴場も広く、岩造りの露天風呂に浸かってゆったり。食事は、名産の日光湯波がいろいろと工夫されてメニューに上る会席料理。この日は先付けが素敵な日光彫りの器で出てきました。

星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」では、それぞれの地域の特徴的な魅力を楽しめる、伝統工芸、芸能、食などのおもてなし「ご当地楽」を提供しています。「界 日光」では、400年の歴史を刻む伝統工芸「日光下駄」の成り立ちや魅力をストーリー仕立てで紹介するご当地楽「日光下駄談義」が毎夜、 無料開催されます。まるでタップダンスのような日光下駄を履いてのステップを、ゲストも席で体験。楽しいおもてなしです。


さらに「界」では、地域の文化を継承する職人や作家、生産者の方たちと連携したご当地文化体験「手業のひととき」も実施されています。「界 日光」では、日光東照宮をはじめとする歴史的建造物を修復している伝統工芸士、伊原 実穂氏を講師に迎え、岩絵具などの伝統的な絵の具を使った絵付け体験を行っています。極彩色の絵の具は、確かに鮮やかな日光東照宮の意匠を思わせます。こちらは1名5,000円〜(税込、作成する作品によって料金が異なる)。写真のように自分で「宝の小槌」に色付けや名入れを行い、彩色した小槌を中禅寺立木観音へ持参すると、特別祈祷を受けることができるという宝槌祈願コースは12,800円(税込)。宝槌は持ち帰りますが、なんと1年間は毎日祈願をしてくださるそう。

春をゆっくり楽しみ、日光の歴史や文化を味わえます。

界 日光  https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kainikko/

圧倒的な迫力の津軽三味線と愛らしいこぎん刺し

新青森駅や青森空港から車で約50分、弘前駅から車で約30分。弘前市の奥座敷、鎌倉時代からあるという大鰐温泉にある「界 津軽」。ロビーを岩木山など津軽の風景が描かれた日本画の巨匠・加山又造の「春秋波濤」が飾ります。津軽の春は遅くても、華やかに花開くようです。

青森の伝統工芸「津軽こぎん刺し」の模様が館内のあちこちを彩ります。客室は、すべて地域らしさあふれる界の「ご当地部屋」で、ここでも「津軽こぎん刺し」の模様が現代風にデザインされたモダンな和の空間になっています。


温泉はナトリウム塩化物硫化物泉で、弱アルカリのとろりとした美肌の湯、塩化物も含むのでほっこり体が温まります。そして、内風呂の浴槽が珍しく青森ヒバでできていて、なんとも優しい感じ。食事は、夕食には通年で大間のまぐろが登場。もちろん美味しいのですが、私は朝食の青森名物「貝焼き」が一押しです。貝の風味と卵と味噌のコンビネーションがたまりません。

「ご当地楽」では、毎晩、プロフェッショナルの津軽三味線奏者となんとスタッフによる大迫力の津軽三味線の演奏会が開かれます。真ん前で聞く津軽じょんがら節は、感動間違いなし。また、こぎん刺しでしおり作りを無料体験したり、もっと本格的にやってみたければ、こぎん刺しキットミニフレームでこぎん刺し氏刺し放題というのも。(おひとり1,500円)

力強い響きに魅せられる津軽三味線のプライベートレッスンを受けられるのが「界 津軽」の「手業のひととき」。木立に囲まれた家屋の広さ100㎡の特別室で、まず津軽三味線の歴史や叩き奏法、弾き奏法など演奏技法についての解説を聞きます。そして、津軽三味線を借りて奏で方を教えてもらえるという贅沢な体験。演奏時には近寄りがたい迫力の奏者ですが、とても丁寧に優しく教えてもらい、頑張れば最後には津軽を代表する「津軽じょんから節」にも挑戦することも。

花開く春の津軽に響く津軽三味線は明るく、心から津軽を堪能できます。

界 津軽  https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaitsugaru/

Text / W LIFE編集長 小野アムスデン道子



世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。

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