皇居三の丸尚蔵館が新たに開館 皇室の至宝を展示する開館記念展は11月3日より約8ヶ月・4期

皇居東御苑にある三の丸尚蔵館。昭和天皇崩御後、平成元年(1989年)上皇陛下と香淳皇后から国に寄贈された美術品を、保存・研究・公開する施設です。収蔵庫と展示室を拡大し、「皇居三の丸尚蔵館」として11月3日に新たに開館します。これを記念して、開館記念展皇室のみやび―受け継ぐ美―」が開催されます。来年6月23日までの約8ヶ月の会期は4つに分かれており、国宝を含む皇室に受け継がれてきた多種多様な美術品・工芸品などが展示されます。


第1期「三の丸尚蔵館の国宝」(令和5年11月3日〜12月24日)は、国宝《蒙古襲来絵図》(鎌倉時代 、13世紀)、国宝 《屏風土代》小野道風(平安時代 延長6年、928年)など、近年指定された国宝8件の中から4件を展示。《蒙古襲来絵図》は、13世紀の元寇直後に描かれ、その様子がよく描かれていることで有名。教科書などでも見たことがある絵巻ものですね。明治時代に皇室に献上された国宝《動植綵絵(どうしょくさいえ)》伊藤若冲(江戸時代、18世紀)も前期・後期各4点並びます。

第2期「近代皇室を彩る技と美」(令和6年1月4日〜3月3日)では、重要文化財 《蘭陵王置物(らんりょうおうおきもの)》海野勝珉 (明治23年、1890年)、《日出処日本(ひいずるところにほん)》横山大観(昭和15年、 1940年)など、近代日本の優れた美術工芸品に加え、明治・大正・昭和の天皇皇后ゆかりの品を紹介します。「日出処日本」は縦2.5メートル・横4.5メートルの近くの大作。昭和15年の「紀元二千六百年記念展覧会」に出展されたのち、大観自身から皇室へ献上されたものです。

第3期「近世の御所を飾った品々」(令和6年3月12日〜5月12日)では、近世以前から京都御所や宮家に伝えられてきた品々を展示します。国宝《更級日記》 藤原定家(鎌倉時代 、13世紀)や《源氏物語図屏風》伝狩野永徳(桃山時代 、16~17世紀)など、宮廷文化のみやびに思いを馳せるものが並びます。


第4期「三の丸尚蔵館の名品」(令和6年5月21日〜6月23日)では、明治以降、御慶事や行幸の折に、皇室への献上された美術品が公開されます。三の丸尚蔵館を代表する作品ともいえる国宝 《唐獅子図屏風》狩野永徳(桃山時代、 16世紀)が、この第4期に展示予定です。右隻・左隻、各々縦2.2メートル・横4.5メートル以上という大作であるため、以前は手狭であった三の丸尚蔵館での展示は過去30年間で一度きりだったとのこと。新たに生まれ変わった皇居三の丸尚蔵館は、展示スペースも広くなり、大きな作品も展示できるようになりました。

開催が間近に迫ってきた第1期に合わせて、11月3日〜12月24日には特別展示 「令和の御代を迎えて―天皇皇后両陛下が歩まれた30年】も開催されます。これは天皇陛下ご即位5年・ご成婚30年を記念したもの。ご即位の儀式や「結婚の儀」で用いられたご装束や、愛子内親王殿下が「着袴の儀」でお召しになられたご装束、御即位記念の《ボンボニエール》など、天皇ご一家のこれまでの辿られた歩みや日頃のご活動に触れることができる展示となっています。

8ヶ月にもわたる開会記念展。会期ごとに観覧に訪れ、皇室に受け継がれてきた各時代を代表する名品に親しむ素晴らしい機会です。秋から冬・春・初夏と訪れる度に皇居周辺の自然の移ろいも訪問の楽しみになりそうです。



開館記念展 「皇室のみやび―受け継ぐ美―」
会場:皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内)
会期:2023年11月3日(金・祝)~2024年6月23日(日)休館日:月曜日(ただし月曜が祝・休日の場合は開館し、翌平日休館)、12月25日(月)~1月3日(水)、展示替え期間そのほか臨時休館する場合があります
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)ただし11月7日(火)は午後4時に閉館
入館料:一般1,000円、大学生500円
※日時指定予約制
※「皇室のみやび」展の展覧会図録と一般入館料がセットになった「図録(みやび展)付きチケット」(2.500円)も販売。そのほか、解説付きの鑑賞チケットも提供予定。詳細は後日ウェブサイトに掲載

展覧会特設ページ  https://pr-shozokan.nich.go.jp/miyabi/ 

Text /トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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