遥かなる「南極への旅」その2
いよいよ南極大陸へ上陸

「トラベルアクティビスト真里」さんの記念すべき100本目の寄稿は「遥かなる 南極への旅 その1」に続いて、いよいよ南極大陸に上陸の「その2」が届きました!まだまだ旅は続きます。

「マツコの知らない世界」でその存在を知って、申し込みから数ヶ月間待ちに待った《ル コマンダン シャルコー号》に乗船し、いよいよ「世界一危険」と言われるドレーク海峡を渡って、南極半島まで丸2日間の航海です。“吠える40度、狂う50度、絶叫する60度”と呼ばれる南半球の高緯度地帯を進みます。高さ7~10mの波に船が揺さぶられる様子の動画がYou Tube等にたくさん投稿されています。私も日本を出発前に何種類もの酔い止めを買い込み、ちょっと緊張しながらドレーク海峡に突入するタイミングを待っていました。

ところが・・・・波が全然ない!正確にいうと2-3m程度の波でしょうか。外洋としては大した波ではありません。うねりのせいで、船内の階段上り下りすると少しふわふわした感覚を覚えるだけで、覚悟していた海の荒れ方ではありませんでした。運が良かったのかたも知れません.

南極に着くまでの2日間には、船内で様々なセッションが行われます。南極は、南極条約で守られた、どこの国にも属さない大陸です。環境保全のために様々な決まり事があり、どのクルーズ船の参加者でもセッションに参加して、ルールを理解しないと上陸できません。例えば、「ペンギンは5m、ゾウアザラシは25m以内接近禁止」「上陸時は、陸地に座らない・寝転ばない・膝をつかない・ものを置かない」「何も持って帰らない、何も置いて帰らない」」など、クルーから南極でのルールについての説明がありました。その他、南極到着後の特別なアクティビティについての説明、南極に生息している生き物についての解説など、ここでしか聞けない興味深いセッションが盛りだくさん。今回の航海は日本人クルーが三人も乗船していらしたので、船内の公用語である英語とフランス語で行われるセッションを同時通訳してくださり、ストレスフリーでした。

南極到着前の夜、船長主催のパーティーが行われました。みなさん、ドレスアップされて煌びやか。欧米の方々の中には、女性はロングドレス、男性はタキシードというカップルも何組もいました。私は、浴衣を着ました。いろいろな国の方々から、「kimonoでしょう?素敵ね」「日本に行ったことありますよ」などと話しかけてもらい、会話の糸口になりました。着物という世界に誇れる伝統的民族衣装があってよかった!

初めての氷山

乗船して三日目の午後、初めての氷山を見ました。南極大陸からはまだかなり離れているのですが、海の上に大きな氷が浮かんでいます。生まれて初めて見る氷山に興奮していると、クルーが「まだまだ小さいですよ。これからもっとすごいものが見られます」。何百年も南極に降り積もった雪が氷となり、さらに長い年月をかけて海上に押し出され、棚氷から切り離され、海に漂い始める・・・そんな氷山が目の前に浮かんでいるのを見ると、「自然」と「時間」の両面から地球そのものを感じます。畏敬の念を抱かざるを得ませんでした。

いよいよ「南極地域」と呼ばれる南緯60度以南に突入しました。強風だったり氷の状態があまり良くなかったりで、なかなか下船して氷上に降り立つことができませんでした。その間は、スタッフや乗船している科学者の方々が「デッキでの野鳥観察会」や「ペンギンについて」など様々なセッションを催してくださり、退屈することはありません。生物学から環境学など幅広い分野の研究者が無料で乗船しており、長期にわたる実地研究をしてもらうことが、ポナン社にとっての社会貢献と位置付けているそう。

乗船して5日目、いよいよ下船の機会がやってきました!登山用の防水ズボンとパルカ(防寒用上着。船から支給)、帽子や手袋、そして万が一にも海水に落ちた時のためにライフジャケットを着けて、いよいよ下船です。氷の上に立つと、「ああ、とうとう南極まで来たのだな」と胸がいっぱいになりました。聞こえるのは風の音ぐらい。船からは平らに見えていた氷も、実際はかなり凸凹があります。自然の造形物ですから当然のことですよね。防寒用のアウター「パルカ」がとても温かいので、寒さはそれほど感じません。外気温はちょうど0度ぐらいでしょうか。遠くには高い山々も見えます。南極は、“大陸”だということを改めて感じます。そして、シャルコー号が砕氷船だからこそできることの一つは、船首に行って、突端にタッチできること。通常のクルーズ船ではここまで氷に取り囲まれてしまうと脱出が困難になってしまいますが、シャルコーは大丈夫です。


次回の遥かなる「南極への旅」その3では、いよいよ南極の生き物たちに遭遇!来月公開します。

Text /トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です