ワールドクラスのラグジュアリーホテルブランドをほぼ網羅しているマカオ。ワクワクするラインナップのなかから、「どのホテルに泊まろうかしら……」と迷うのも楽しい時間。「ホテルクルーズ後編」では、中国らしい絢爛豪華さを誇る老舗から、スタイリッシュなライフスタイルホテル、地元の人愛され続けるクラシックホテルをご紹介します。
【煌びやかな空間に圧倒される「ウイン・パレス」】
第1回の「冬旅におすすめの理由」でご紹介した華麗な噴水ショーを楽しめるのが、「ウィン・パレス(Wynn Palace)」。噴水ショーが催される巨大な人工湖の上にゴンドラが行き交い、ミシュランレストランやスパがあることでも知られています。ロビーで迎えてくれるのが、季節の花をふんだんに使ったアート作品。音楽に合わせて動くものもあり、その美しさにうっとり。(TOP 画像)
ホテル館内のいたるところに芸術作品が展示されていて、いわば入館無料のミュージアム。客室はピーコックブルー、サンライズイエロー、サンセットオレンジの3色を基調に、花のモチーフやゴールドを取り入れたインテリアが華やかです。もとは中国資本のホテルのため、アメニティにもチャイニーズスタイルのテイストが。ミニバーのスナックにもつい手が伸びてしまいます。
宇宙旅行の気分を体験できるのが、館内施設の「イルミナリウム(幻影空間:Illuminarium)」。その名のとおり、イルミネーションとプラネタリウムのコラボレーション、といえばわかりやすいでしょうか。中国の航空宇宙開発の歴史をたどりながら、最先端のビジュアルとオーディオ、触覚技術を駆使し、本当に宇宙空間に投げ出されたような不思議な体験ができます。子どもたちに大人気のアトラクションですが、大人が体験しても十分楽しい。ホテル宿泊と入館料がセットになったパッケージを利用するとお得です。
●ウィン・パレス(Wynn Palade)
https://www.wynnresortsmacau.com/ja/wynn-palace
【モダン建築に魅了される、スタイリッシュ&ウェルネス・ホテル「Wマカオ・スタジオ・シティ」】
シャンパンゴールドのきらびやかな外観が目を引くのが、2023年9月に開業した「Wマカオ・スタジオ・シティ(W Macau Studio City)」。Wホテルのアイコンであるロゴが輝く建築デザインを手掛けたのは、ザハ・ハディト建築事務所。そう、実現が叶わなかった新国立競技場の設計デザインで一気に名前が知られるようになった、女性建築家の事務所です。
ハリウッド全盛期の世界観を表したという館内は、近未来的でファッショナブルという表現がぴったり。モダンな広東料理を提供するレストラン「ディーバ(Diva)」、映画スタジオをイメージしたバー、ビュッフェレストランやミクソロジーバーなど、他のホテルとは一線を画したデザインです。
ウェルネスをコンセプトのひとつに掲げているWホテルらしく、最新のフィットネス機器が置かれたジムでは、おしゃれにエクササイズを楽しめそう。6室のトリートメントルームとプールを備えたスパで、美に磨きをかけるのもいいですね。
●Wマカオ・スタジオ・シティ(W Macau Studio City)
https://www.marriott.com/en-us/hotels/mfmwh-w-macau-studio-city/
【8年間の眠りから覚めて蘇った、伝説のクラシックホテル「新中央ホテル」】
これまでで紹介したのは、統合型リゾート建設のために開発されたコタイ地区のホテル。ホテルクルーズの最後に、半島側のクラシックホテルを1軒ご紹介します。2024年春、大規模なリノベーションを終えて再オープンしたのが、「新中央ホテル(新中央酒店:Hotel Central)」です。
ホテルがあるのは、世界文化遺産に登録されている歴史市街地区の中心。ホテルの歴史は、約1世紀前までさかのぼります。1928年、当時のマカオで最高層の建物として誕生し、初めてエレベーターが設置されたのもここ。マカオ随一の社交場として、多くの人で賑わった伝説のホテルです。老朽化が進み休館したままでしたが、地元マカオのディベロッパーによる再生プロジェクトで、8年の時を経て蘇りました。
客室は、建物の5階から10階までのフロアに114室。5・6階が1920年代、7・8階が1930年代、9・10階が1940年代をイメージし、フロアごとに異なる雰囲気のインテリアに仕上がっています。
マカオ歴史市街地区をぐるりと360度見渡せる、パノラマビューの屋上展望台も自慢。世界文化遺産に登録されている「聖ポール天主堂跡」まで徒歩数分というロケーションにありながら、比較的リーズナブルな宿泊料金も魅力です。「ノスタルジックなマカオの旅を体験したい」という人に、ぜひおすすめしたいホテルです。
●新中央ホテル(新中央酒店:Hotel Central)
≪まとめ≫
今回ご紹介したホテルにすべて滞在するのは難しいけれど、ロビーやカフェ、レストランは誰でも利用できます。コンパクトシティのマカオなら、1日に4~5軒のハシゴだって可能。ホテルクルーズを楽しむ旅も、マカオならではの過ごし方です。その魅力を知ったら、きっと何度も通いたくなりますよ。
協力/マカオ政府観光局 https://www.macaotourism.gov.mo/ja/
Text /永田さち子
ライター・編集者。医学雑誌、スキー雑誌の編集を経てフリーランスに。旅行書、雑誌を中心に旅、グルメ、料理、健康コラムなどを執筆。ハワイに関する著書に、『ハワイのいいものほしいもの』『おひとりハワイの遊び方』『ハワイを歩いて楽しむ本』(実業之日本社)、『50歳からのHawaiiひとり時間』(産業編集センター)ほかがある。旅行情報サイト『Risvel(リスヴェル)』にコラムを連載中。http://www.risvel.com/column_list.php?cnid=6