シカゴの摩天楼は川から見るがよし。薄暮の頃は、さらなり。

ー 旅行を中心に執筆する長野尚子さんが古巣シカゴの様子をレポートしてくれました。

全米最大のトラベル商談会「IPW」が中西部シカゴで開催され(6月16~18日)、日本メディアの一員として出席しました。過去に約15年間シカゴ郊外で暮らしていた私ですが、訪れる度ごとに新たな魅力を発見するのがシカゴという街。特に建築は素晴らしく、シカゴ川からボートで摩天楼を鑑賞する「シカゴ建築リバークルーズ」は何度でも体験してみたい人気のアトラクション。その見どころをご紹介します。

摩天楼発祥の地」シカゴの高層建築を、様々な言語解説付きで楽しむことができる「シカゴ建築センター・建築リバークルーズ」。リバーウォークにあるクルーズ船「シカゴ・ファーストレディー(Chicago’s First Lady Cruises)」の乗り場からは毎日多くの便が出ていますが、今回体験したのは午後7時半から9時まで90分の「建築ツアー」。

(写真左上から時計回りに)

まずシカゴ川をミシガン湖と逆方向(上流)へ進むと、右手に見えてくるのがネオ・ゴシック様式の「トリビューンタワー(1925)」、ゴシック様式の「ザ・リグリー・ビルディング(1924)」。

そして、ひときわ輝く「トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー(2009)」の横には、近代建築三大巨匠の一人、ミース・フアン・デル・ローエによる漆黒の「330 ノース・ワバッシュ(旧IBMビル)(1973)」。

さらに、シカゴの名物ビルとして数々の映画やドラマにも登場する”トウモロコシビル”「マリーナ・シティー(1967)」、威風堂々たるアール・デコ様式の「マーチャンダイズ・マートビル(1930)」と続く街並みは、さながら建築のテーマパークのよう。

一方、左手には「77 ウェスト・ワッカー(1992)」、「111 ウェスト・ワッカー(2014)」、湾曲した緑色のガラスのファサードが美しい「333 ワッカー・ドライブ(1983)」の新旧ビルが、対岸のビル群を映し出すさまは圧巻。

シカゴ川の上流と下流の支流が合流する地点でボートは折り返し、次第に暮れゆく街中をミシガン湖へと向かいます。

その折り返し点では、列車の進路の上空の権利を利用したユニークな形の「150 ノース・リバーサイド(2017)」や、地下鉄のトンネルの上にそびえる「200ノース・リバーサイド(2017)」などの個性的なビルが独特な存在感を放っています。

19~21世紀に建てられたビル群が何の違和感もなく共存し、鉄道の線路までをも建物の一部にしてしまう様に、シカゴ建築の懐の深さを感じます。ビルの裏側やビル地下の船着き場などの景色を見ることができるのも、ボートツアーならでは。

また今回のイブニングツアーでは、デイツアーとはまた異なる表情を味わうことができました。往路で見たビルが薄暮の街並みに浮かび上がる様もなんとも幻想的。6月は「LGBTQ月間」ということもあり、ビルのネオンもレインボーに彩られ、ミシガン湖から見るシカゴのスカイラインは、えも言われぬ美しさでした。

建築好きな方にこそ、来て体験してもらいたい街シカゴ。

まず水上からメインのビル群を把握した後、地上のウォーキングツアーに参加してみるとシカゴ建築の理解が一層深まりお勧めです。建築クルーズは11月23日まで毎日運行しています。(詳細は下のサイトからご確認ください。)

ボートの運航会社である「シカゴ・ファーストレディー」は、“幽霊伝説”のあるビルをめぐるクリーピー・クルーズ(Creepy Cruise)や、3D眼鏡をかけてミシガン湖の花火を楽しめる花火クルーズ(Fireworks Cruise)、ペット(ワンコ)と一緒にミシガン湖を巡るケーナイン・クルーズ(K9 Cruise)など、ユニークなクルーズも催行しています。

シカゴ建築&ツアーについての詳細は下記を参照

「シカゴ建築センター」(Chicago Architecture Center

111 E. Wacker Drive, Chicago IL 60601
TEL:(312)922-3432

https://www.architecture.org/

上記のCACが主催するシカゴの建築が見放題のイベント

オープンハウス・シカゴ」(2025101819日)

https://www.architecture.org/open-house-chicago

その他、シカゴ川クルーズについては下記を参照

「シカゴ・ファーストレディー(Chicago’s First Lady Cruises)」

112 E. Wacker Dr, Chicago, IL 60601
TEL : (847)358-1330

https://firstlady.com/

Text /長野 尚子  

フリーライター、編集者。(株)リクルートの制作マネージャー&ディレクターを経て、早期退職。アメリカ(バークレー)へ単身“人生の武者修行”に出る。07年よりシカゴへ。シカゴのアート&音楽情報サイト「シカゴ侍(www.Chicagosamurai.com」編集長。四国徳島とシカゴの架け橋になるべく活動中。著書に『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。http://www.shokochicago.com/ 日本旅行作家協会会員。


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