鈴木春信から鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重まで、六大絵師の代表作をはじめとする粒よりのコレクションがある渋谷区の「山種美術館」では、【特別展 江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで 特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵】を9月28日(日)まで開催しています。本展では、江戸時代に活躍した人気絵師たちが勢ぞろいし、浮世絵と江戸絵画の名作が一堂に会します。
岩佐又兵衛《官女観菊図》【重要文化財】や椿椿山《久能山真景図》【重要文化財】(いずれも山種美術館蔵)をはじめ、俵屋宗達、池大雅、伊藤若冲などのビッグネームが手がけた優品の数々も展示されています。
また、浮世絵専門の美術館として名高い太田記念美術館の協力のもと、歌川国芳の戯画をはじめ、見ていてワクワクする楽しい浮世絵を選りすぐって展示しています。

山種美術館(前期展示-8/31)
上の絵は、都座「花菖蒲文禄曾我」の舞台に取材したもの。借金の取り立てにきた場面を描いています。背景の黒い部分は、雲母摺(きらずり)といい、鉱物の一種である雲母の粉を用いて、画面に光沢を出す摺り方です。山種美術館の浮世絵は、アクリル板でとても近くで見ることができますので、摺りの技法や、彫り師の技量に任されていた髪の生え際の彫り(毛割)の繊細さなどにも注目していただきたいです。

山種美術館(前期展示-8/31)
ゴッホが模写していることでも有名な浮世絵。隅田川にかかる大橋を舞台に、突然の夕立に見舞われた人々の様子を描いています。雨の線が平行ではなく、入り組んで描かれています。山種美術館には、歌川広重の《東海道五拾三次》が全て揃っており、前期と後期で全て閲覧することが可能です。この浮世絵シリーズは人気作であったため、摺られた枚数も膨大で、同じ図柄でも摺りのヴァリエーションが多様です。こちらの所蔵の浮世絵は、初摺ですので、他の美術館が所蔵しているものと摺りの違いも楽しむことができます。

近江八景は、中国の洞庭湖周辺の景勝地を詩に詠んだ瀟湘八景になぞらえ、琵琶湖南岸の八つの名所を和歌にしたものです。早くから浮世絵の画題に取り入れられ、広重も数種のシリーズを手がけています。
江戸の人気の個性あふれるスター絵師たちによる夢の競演を山種美術館でお楽しみください!
また館内の「Cafe椿」では、青山の老舗菓匠「菊家」に特別にオーダーした名画をモチーフにした和菓子を提供しています。 美しい和菓子で、江戸の浮世絵の余韻に浸るひとときを過ごすことができます。

【特別展】江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで 特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵
会期:2025年8月9日(土)~9月28日(日) ※浮世絵は前・後期で展示替え(前期: 8/9-8/31、後期: 9/2-9/28)
休館日:月曜日[9/15(月・祝)は開館、9/16(火)は休館]
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料:一般1400円、夏の学割 大学生・高校生500円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)
会場:山種美術館 (〒150-0012東京都渋谷区広尾3-12-36)
公式HP:https://www.yamatane-museum.jp/
Text / 酒・食・旅・文筆業 磯部らん

コミュニケーションやマナーに関するビジネス本を多数出版。とくに発展途上国 が好きで、アマゾン川でピラニア釣り、南インドにドーサを食べになど、好きなこ とをしに海外をひとり旅する。日本酒利き酒師。http://isoberan.com