京都駅ビルのあちこちにアート作品が散りばめられ、駅がまるごとアート空間となる芸術祭が始まりました。

京都の玄関口・京都駅ビルを会場に様々なジャンルを超えた26組のアーティスト作品のマッシュアップ(掛け合わせ)を楽しむ「第1回京都駅ビル芸術祭(ゲイジュツ ノ エキ 2025)が10月14日(火)から開催されています。
現代アートや伝統工芸、音楽、デジタルパフォーマンスなどがマッシュアップしたアートを気軽にオープンなスペースで楽しむことができます。

駅ビル4階烏丸小路広場に展示されたこの作品は、木工職人の中川周士さんによる「木桶の茶室」。釘や接着剤を一切使わず木桶の技術だけで組み上げられています。
近くまで寄ると木の良い香りがしました。
茶室のお庭としてビル壁面に絵画が。こちらは妙心寺の塔頭 桂春院が所蔵する狩野山雪筆の障壁画『松に月図』と国の史跡名勝『真如の庭』という2つの名作を高精細デジタル技術でマッシュアップさせた作品です。
さらに広場から望む京都タワーが「借景」として加わることで、古都の美意識と現代都市の風景が一体となる、この場所でしか体験できない唯一無二のアート空間を楽しむことができます。

駅ビル4Fの八条口側にある南広場では、ランタン作家の三上真輝さんの作品『鳥獣戯画、京にカエル』が展示されています。
立体的な鳥獣戯画はとても可愛らしく、この作品の主人公であるカエルさんが今にも飛び跳ねてきそうです。ランタン作品なので夜も楽しめそうですね。
普段は佐賀県嬉野市の和多屋別荘に展示されているそうで、彼らが新幹線に乗って九州から京都へやって来る映像作品が公開中です!
この芸術祭では食欲の秋も楽しめます。駅前広場や西口広場には5つの名店が出店。期間中だけの特別メニューもあり注目です。
フォションホテル京都のブースは、日本画家・諌山宝樹さんとイラストレーター・Omochiさんとのマッシュアップ作品が目印。

フォションの「F」の焼き印入りバンズで国産牛パティを挟んだハンバーガーはとってもジューシー。生アップルパイはこのイベント用に作られたメニューでその場でカスタードクリームを生実演で絞ってのご提供になるそうです。ホテルグルメを駅で体験できる貴重な機会です。

京都タワーをバックにたたずむキッチンカーはオハヨー乳業の「BRULEE(ブリュレ) CAR」。国産の乳原料をたっぷり使用した濃厚なミルクアイスの表面を一瞬の加熱でパリパリ食感に焼き上げるため、目を守るサングラスをかけてひとつひとつ職人さんが丁寧に焼き上げてくれます。
こんがりとキャラメリゼした焼き目が濃厚な冷たいアイスを引き立ててとても印象に残るお味でした。

ミシュランに9年連続で選ばれた麺料理店「麺屋 猪一」も出展。世界一堅い食品といわれる鰹節をわずか0.01ミリの透けるほど薄く削り、昆布水とで出した上品なお出汁をぜひ味わってみてください。
この芸術祭は、京都駅ビルおよび連携サテライト会場(総本山仁和寺、妙心寺塔頭桂春院)で11月3日(月・祝)まで開かれています。
期間中、金剛流能楽師の宇髙竜成さんと立命館大学交響楽団コラボステージや立命館大学神社仏閣ボランティアガイドによるツアーのほか、数珠作りのワークショップ、また総本山仁和寺や妙心寺塔頭桂春院の特別ツアーも開催されます。有料、予約が必要なものもあるので詳細は公式サイトでご確認ください。(グルメ店も各店により営業時間が異なります)
第1回京都駅ビル芸術祭(ゲイジュツ ノ エキ 2025)
開催期間:2025年10月14日(火)~11月3日(月・祝)
開催場所:京都駅ビル全体、および連携サテライト会場(総本山仁和寺、妙心寺塔頭桂春院)
公式HP: https://kyotostation-gne.jp/
Text /倉松知さと

関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを担当後、京都・歴史ライターへ転向。
歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、京都新聞などでも執筆中。
主に京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。国際京都学協会会員。最新活動は京菓子・山水會25周年記念展覧会トークイベント司会。