シカゴ、シドニーに続いて世界で3番目、アジアでは初のパーク ハイアットが「パーク ハイアット 東京」として東京西新宿にオープンしたのは1994年のこと。当時の東京、否、日本全国には、まだ外資系のホテルは数が少なく、そして丹下健三氏設計の3つのタワーを持つ高層ビルの最上階にホテルがあるという事で大きな話題になりました。「バーのエレベーターが開くと、本物の竹が植わっているのよ。」「ニューヨーク グリルでデートしたいよね~」と友達と盛り上がったものでした。パークハイアットの鮮烈な登場は、その後の東京のホテルシーンに大きな影響を与えたのは違いありません。
約30年が経ち、ビル全体のリノベーションのタイミングもあり、昨年5月からクローズとなっていた「パーク ハイアット 東京」。この12月9日に、いよいよリニューアルオープンとなりました。ひと足お先に内覧会に行ってきました。

エントランスから41階に上がりエレベーターの扉が開くと、そこは「ピーク ラウンジ &バー」。あの竹の植栽は稈(かん)の部分は一旦切り、リノベーション期間中に根っこの部分だけを九州で保存。リノベーション終了後に、再び東京に運ばれて移植されたそうです。ラウンジとバーの部分は天然素材の質感や自然光の取り込み方に変化があり、今のライフスタイルにより合う空間に進化しています。

一方、52階の「ニューヨーク グリル & バー」は、一見、あまり変わりがないように感じます。実はこのエリアはスケルトンレベルまで解体。床材や壁材、エアダクトなどを新調。そしてテーブルやチェアーなどは以前と同じ型のもので新調したそうです。アイコニックな壁の上方の絵もクリーニングをしたことにより、30年前のオープン時の輝きを取り戻しました。

ニューヨーク グリルへ向かうエレベーター手前のライブラリーもそのままの様子ですが、棚や壁など全て新しくなっています。なんと、棚に置いてある本の一冊一冊の順番も、開業時にデザインをしたジョン・モーフォードが指示した通りに再び置いたそうです。何も変わっていないように見えて、変えるべきところのみ変える。そのコンセプトを象徴している部分です。

客室も拝見しました。一番部屋数が多い55平米のデラックス、そして85平米のパーク スイートと見学しました。バスルームやウオークインクローゼット、そしてお化粧するのに便利なパウダーコーナーなど、より居住性が増し、長期滞在のゲストにも居心地よく過ごせる仕様となっています。ミニバーやコーヒーなどセットされている棚は、黒っぽい外観と、扉を開けると内側はパーク ハイアットのテーマカラーである薄い緑色で統一されていて、とてもオシャレ。

デザインを担当したフランスのデザイン事務所「ジュアン マンク」のパトリック・ジュアン氏とサンジット・マンク氏がデザインコンセプトをこんな言葉で語ってくださいました。
「全て残すわけでもなく、全てを変えることでもなく。過去との調和で今後30年を見据えてデザインをしました」
「上空から街を見下ろす。その時、自分の中には静けさがある。高い山に登って、海を眺めるようなものだ。こういう気持ちはトレンドと関係ありません。」
今回のリニューアルは、「Refinement(刷新)」と「Restoration(復元)」の二本柱。変わったものと、変わらないもの。ぜひご自身で体験してください。

パーク ハイアット 東京 https://www.hyatt.com/park-hyatt/ja-JP/tyoph-park-hyatt-tokyo
Text /トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、年間200日以上は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国、はじめ訪れた国は50カ国以上。北極・南極点へも。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。