(リード)幾何学的な抽象絵画などで知られる国際的アーティスト、サラ・モリスの日本初の大規模個展が大阪中之島美術館で開かれています。

NY在住で、アート界を牽引する国際的アーティスト、サラ・モリスの展覧会『取引権限』(Transactional Authority)が大阪市北区の大阪中之島美術館で始まりました。
開催前日に行われたプレス発表会にはご本人が登場。
「日本でこのような個展を開催できて大変光栄です。」という言葉に続き、「『取引権限』は、私たちが日々どのような関係に携わっているかについて考えてもらうためのタイトルです。」とメッセージを送りました。

図式的なグリッドを用いた幾何学的な抽象絵画で知られるサラ・モリス。この展覧会は彼女の初期の作品から近年の代表作まで一堂に集めた日本初の大規模回顧展で、主要な絵画約40点、映像作品17点、また新作の壁画などみどころ満載です。

中でも本展のために制作された大型壁画『スノーデン』(2026年)は、プレス発表前日に完成というギリギリまで取り組んだ大作です。高さ約6メートル、幅約19メートルもあり、タイトルからあのエドワード・スノーデンを連想する人もいれば、白いドットから季節柄「雪」を思い浮かべる人もいるでしょう。そんな色んな想像をかき立てるモリス最新作です。

過去に大阪を中心に撮影した映像作品もあるモリス氏。今回、大阪ゆかりの絵画作品も楽しめます。
『金剛組』(2023年)は大阪市天王寺区に本社があり、世界最古ともいわれる創業578年の建設会社の外観を題材にした作品です。神社仏閣の伝統的な建築を支える技術集団ですが、日本人でもこの会社を知っている人は限られるのではないでしょうか。
建築好きなモリス氏が金剛組にたどり着くのはさすがだと思いました。
世界中の都市を作品に反映させるモリス氏。住民ではなく外から見たからこそ見えるモリス氏による大阪、関西の景色にはハッとさせられるものがありました。

ミュージアムショップのスタッフの方からスペシャルな情報をいただきました。展覧会図録に写真のような判子が押されています。これはモリス氏本人が押したもの。限定100冊です。
判子に刻まれた名前は展覧会直前の今年1月半ばに他界したアメリカのラッパーでありレコードプロデューサーのジョン・フォルテ氏。
直にモリス氏にこの判子についてうかがうと「(彼は)close friend(親しい友人)だった」と話してくれました。図録に追悼の意を表するにはもう間に合わず、結果、この判子をモリス氏が図録に直接押すという形になったそうです。
彼女が自分自身で押した判子入りの図録はモリスファンにはたまらないですね。
図録は2Fのミュージアムショップで扱っています。
5階のモリス展を出る時、スタッフの方から「モリスさんのアイデアで、入り口、出口を今回は決めずにどちらから入っても良いようになっています。」といわれました。ミュージアムショップといい、出入り口といい、モリス氏の意向が隅々まで行き届いていて、スタッフみんなが「モリス愛」を抱くとても素敵な美術館、展覧会という印象が残りました。
4月5日(日)まで。是非お運びください。
サラ・モリス 取引権限 https://nakka-art.jp/exhibition-post/sarahmorris-2026/
会期:2026年1月31日(土)~4月5日(日)
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
電話番号:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、2月23日は開館)、2月24日
料金:一般 1800円 / 高校・大学生 1200円 / 中学生以下 無料
Text /倉松知さと

関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを担当後、京都・歴史ライターへ転向。
歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、京都新聞などでも執筆中。
主に京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。国際京都学協会会員。最新活動は京菓子・山水會25周年記念展覧会トークイベント司会。