「青は藍より出でて、藍より青し」(『荀子』勧学編)との故事で知られる藍は、太古の昔より広くアジアの人々の生活に密接にかかわってきた植物。この藍が今、日本で再び大きな注目を集めています。きっかけは2020年の東京オリンピック、パラリンピックの公式エンブレムにジャパン・ブルーの藍色が使用されたこと。
この藍の生産量において全国一のシェアを誇るのが徳島県。江戸時代には“阿波25万石、藍50万石”といわれたほど、藍の本場として隆盛を極めていました。ここで作られた藍染料「蒅(すくも)」は阿波藍(Awa-ai)と呼ばれ、現在も伝統的手法で藍師さんの手により生産が続けられています。
そんな「藍」の魅力について広く知ってもらおうという「藍サミット2019 in 徳島」が2月9日、徳島市内で開催されました。藍を使った衣・食・住の関連事業者や研究グループなど220名が参加し、会場ブースでは商品の展示即売も行われました。
知っているようで知らなかった藍の魅力についてのおさらいです。
藍の魅力・その1)殺菌、防虫・防臭効果抜群
戦国時代、鎧の裏に必ず藍が使われていたという例にもあるように、藍は殺菌、防虫、防臭効果抜群!衣服はもちろん建材や革製品にも活用され、大いにその効果を発揮しているほか、多方面の用途への可能性も秘めている優れものなんです。
藍の魅力・その2)食べてもよし
藍のお茶、藍ういろう、藍ビスコッティ―、藍クッキー、藍飴、藍カレー、などなど。ブルーベリーの4倍以上の力を持つポリフェノール、食物繊維やミネラルまでたっぷりと摂取することができる藍は、食用はもちろん、化粧品や医薬関連品にも採りいれられています。
藍の魅力・その3)日本人の心をひとつにする色
葛飾北斎の浮世絵にも描かれているように、古くから日本人は必ず藍色の衣服を身に着けていました。黒に次いで強い色(色褪せない)でもあり、粘り強さや力強さを象徴する藍色は、まさに日本のサムライの色。「東京オリンピックの色」にぴったり。
藍についてのパネルディスカッション。東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムをはじめ、「藍とくしま」のロゴマークデザインなどを手掛けた野老(ところ)朝雄氏は、「藍をブームで終わらせることなく、次世代に伝えていく方法を考えるべき。たとえば、自分たちで染めた小さな藍染めの布をつなぎ合わせて学校で掲揚してはどうでしょう」と提案。
衣類に、食材に、住まいのインテリアにと、オールマイティーな藍を是非、暮らしの中に少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。
【藍や徳島を身近に体感できる場所】
<徳島県内>
「技の館」
藍染め体験ならここ!生地の持ち込みやロウケツ染めもOK。
住所:徳島県板野郡上板町泉谷原東32-4
電話:088-637-6555
営業時間:9:00~17:00(体験受付15:30まで)定休日:月曜日
「藍住町歴史館・藍の館」
住所:徳島県板野郡藍住町徳命字前須西172
電話:088-692-6317 定休日:毎週火曜
「美馬市観光交流センター・藍染工房」
住所:徳島県美馬市脇町大字脇町45
電話:090-3188-3711(美馬市地域おこし協力隊)※要予約
営業時間:9:00~17:00(体験受付15:00まで) 定休日:毎月第二水曜日
「徳島県物産観光交流プラザ・あるでよ徳島」
藍染製品など特産物の販売
住所:徳島市新町橋2丁目20阿波踊り会館1階
電話:088-622-8231
営業時間:9:00~21:00 定休日:12月28日~1月1日
<東京>
「Turn Table」(ターンテーブル)
徳島の「食」をテーマとした情報発信と交流の拠点。ホステルには藍を基調とした部屋も用意されている。
住所:東京都渋谷区神泉町10-3
電話:03-3461-7733(レストラン)
<台湾>
「卓也小屋」(Zhuo Ye Cottage)
藍の栽培・収穫から様々な藍染料の製作、商品デザインと加工、商品販売を行っているレジャーファーム。園内には多機能会議場、天文観測台、生態池、湖畔小屋、草木染工房、手作りショップ、有機野菜園、星空シアター、宿泊施設などがある。
住所:苗栗県三義郷雙潭村13鄰崩山下1-2号
電話:(03)787-9198
Text /長野尚子
フリーライター、編集者、週末ジャズ・シンガー。(株)リクルートの制作マネージャー&ディレクターを経て、早期退職。アメリカ(バークレー)へ単身“人生の武者修行”に出る。07年よりシカゴでの生活を経て、現在は日本から世界へ発信。著書に『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。facebookのコミュニティ「Chicago Samuraiシカゴ侍」管理人。「阿波踊りシカゴ」リーダー。http://www.shokochicago.com/