こんな時だからこそ──。
「写真という表現媒体を通じて社会のために何かできることはないか?」という思いから組織されたという団体<NPO 東京画>が立ち上げたプロジェクト「東京好奇心 2018-2020」。16の国と地域を拠点に活躍する写真家たち100人の「好奇心」から生まれた写真作品の展覧会が、2018年のパリ、2019年のベルリンを経て、ついに今回東京に凱旋、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムにてスタートしました。
サラ・ムーン、ナヴィッド・バラティ、エバレット・ケネディ=ブラウン、櫛田正義、森山大道、立木義浩、クー・ポンチャン、土田ヒロミ、瀧本幹也など錚々たる写真家たちが、それぞれ独自の視点で常に変化し続けてきた東京を、そしてそこで暮らす人々、時代を超えて輝く美を表現しています。その200点に及ぶ作品を、「IDENTITTY」「DIVERSITY」「HERE&NOW」「TIMELESSNESS」というキーワードをもとに読み解いていこうというもの。
スタートした2018年の時点では誰も予想できなかった現在の世界。今だからこそ、この企画が大きく心を揺さぶります。
特に「TIMELESSNESS」では、戦争の悲惨さ、その中で命という時計を止められてしまった人々、戦後の復興を遂げていく街や人々の様子などが描かれていて、現在のコロナ渦を経た世界の未来へと思いがはせられます。
写真という「時の一瞬」を切り取ったアートの中に、人間の営みや歴史、自然、私たちが大切にしてきたもの、そして自分自身を見出し、考えさせられます。
まだまだ気が抜けない状況が続いているものの、少しずつ街に活気が戻ってきた東京。芸術の秋に、ぜひ。
東京好奇心 2020 渋谷 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_curiosity/
会期:2020年10月20日〜11月12日
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は17:30まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 500円
Text/善福寺ユウコ
出版社勤務。小学生の頃から筋金入りのロック好きで専門は英国インディーズ。資格をとらない単なるオタクと自分を称しながら、特に旅行、街歩き、ワイン&ビール、食関係、映画、英国ドラマ、ロンドンに愛を注ぐ毎日。