ユネスコ世界遺産:「長崎と天草地方潜伏キリシタン関連遺産」を訪ねて上五島へ①

2018年6月30 日「長崎と天草地方潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録が決定したニュースは、まだ記憶に新しいと思います。トラベルアクティビスト真里さんが現地を訪れてレポートしてくれました。

潜伏キリシタンについては「隠れキリシタン」として、中学・高校での日本史の授業に登場したり、遠藤周作の小説「沈黙」や一昨年マーティン・スコセッシ監督によるその映画化で、知っているという方も多いのでは?

私が訪ねたのは、その潜伏キリシタンの歴史の舞台の一つ、150もの島々がある長崎県五島列島の中で北東に位置する中通島(なかどおりじま)。上五島とも呼ばれており、偶然にも十字の形をしている島です。長崎港もしくは佐世保港からジェットフォイル・高速船で1時間15分、福岡港から深夜発・早朝到着のフェリーで6時間。キリシタンが「隠れる」場所ですから、アクセスがよいという訳にはいきませんね。

人口が2万人弱の上五島には29もの教会がありますが、それぞれ特徴があって、いくつ訪問しても飽きません。入江の水面に映る姿美しい中ノ浦教会。上五島の信仰の中心でもある赤レンガ作りの青砂ヶ浦天主堂。島の特産品・椿をモチーフしたステンドグラスがある福見教会(写真上2点)。教会内に隠れキリシタンの様々な資料が展示してあるところもあります。たとえば、家紋の中に密かに十字の紋章を入れ込んで、自分の家は「隠れ」だと表しているもの。「踏み絵」もありました。

やはり見逃せないのが、世界遺産に登録された頭ヶ島(かしらがしま)天主堂です。信徒が近隣の砂岩を切り出して建てた、西日本では珍しい石造りの教会です。今では中通島から海にかかる橋を渡れば簡単にたどり着ける頭ケ島ですが、禁教時代には中通島からさらに離れた小島だったのですから、隠れキリシタンたちが幕府の目を逃れ、辺境の地へ追いやられていったのだと実感します。

しばし、そんな禁教の江戸時代に思いをはせる旅。次回は、この旅でぜひ体験してみたかった、隠れキリシタンが潜んでいたといわれる外海に面した岬にある「キリシタン洞窟」についてをお届けします。

Text/トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

 

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