スーパーマーケットでEUからのワインやチーズ、精肉やオイルなどを買った時にこの赤いマークと青いマークがあることに気づくことがあるかも。これらはEU加盟国の3,350以上の登録・保護された製品につけられていて、赤はPDO (原産地呼称保護)の、青はPGI(地理的表示保護)の認証なのです。
EUは、これらの認証で特定の地理的領域に根ざした伝統食材の高い品質や味を保証しているのです。ワイン好きな方ならフランスのAOC (原産地呼称統制制度)やイタリアのDOCG(保証つき原産地呼称統制)は、知ってるよという方も多いと思うのですが、それら各国制度と並列して1992年に制定されたものです。
EUの支援を受けたイタリアの3つの食肉加工品組合にが日本市場へのキャンペーン「Ariget -EU(アリガテウ、本物のヨーロッパのデリ肉)」を始めるにあたって、ガラディナーが開催されました。料理は、イタリア北西部ピエモンテ州出身のアンドレア・フェレーロ「シャングリ・ラ東京」総料理長が担当。
写真は、その1品目に出たモルタデッラ。モルタデッラ・ボローニャ(地理的保護表示)のもので、古代ローマ時代に遡る伝統的な作り方による豚肉のソーセージ。香りがよく、味わい深いのと白い脂身部分がまったくひつこくなく、下にしかれたアーティチョークととてもマッチして、そのおいしさにびっくり。
2品目のサラミのラビオリは、包み込まれているサラミがそれ自体も味わえるように添えてありました。こちらは、サラミーニ・イタリアーニ・アッラ・カッチャトーレ(原産地呼称保護)。豚肉・塩・胡椒のみというシンプルな材料で、一口食べると肉の凝縮された旨みが広がります。昔、カッチャトーレ(狩猟人)が狩りに行く際にエネルギー源として、持ち歩いていたという歴史を持っています。
3品目は、コテキーノ・モデナのパイ包みとポテトのピュレと梨にザンポーネ・モデナの組み合わせ。コテキーノ・モデナとザンポーネ・モデナ(地理的保護表示)は、豚の横紋筋、脂肪、皮、塩、胡椒を混ぜ合わせたもの。肉の味がものすごくたっているのですが、脂の味は皮部分からのもので、脂肪分の少ない部位を使う、思ったよりカロリーは低いそう。
食肉加工品と言えば、前菜に食べるものというイメージが合ったのですが、メインとして充実して味わえました。これらの食材は、日本にも輸入されていて、「Ariget -EU」では2019年1月から日本国内のおよそ600の飲食店で、イタリア産のこれら原産地呼称保護と地理的表示保護の食材を使ったメニューを展開するそう。楽しみです!
日本では、農林水産省が地理的表示保護の認証を行っていて、水面と富士山をモチーフに赤い日輪の中に「日本 地理的表示」と書かれたGIマークで表示しています。
本物の製品、すなわちおいしい製品を選ぶ目安として、気を払ってチェックしたいですね。
POD 原産地呼称保護:特定の地理的領域で受け継がれたノウハウを使い、その地域で取れた原料を用いて生産・加工・包装された農産物、食品、飲料が対象。これらの製品の評判や特徴は、原産地域に密接に関連している。
PGI 地理的表示保護:製品の品質と評判が特定の地理的領域と密接に関連した農産物、食品、飲料を対象としており、当該地域にて生産や加工または包装された製品であることを示しているが、原料は必ずしもその地域とは限らない。
*上記説明は、「駐日欧州連合代表部」の資料を参照しています。イタリア語では原産地呼称保護はDOP、地理的表示保護はIGPになります。
Text/W LIFE 編集部