京都の味を代表する老舗67店で構成する「百味会」が5年に1度開く「百味展」。その70周年記念の会が東山区の建仁寺で開かれました。
京料理や和菓子、お酒、調味料、お茶などの京都の名だたる老舗67店が加盟する「百味会(ひゃくみかい)」は、戦後まもなく昭和24(1949)年に結成されました。ひとつの名物につき1店舗という原則で、結成以来、一切の追加入会を認めず今に至ります。
ということは、70年以上の老舗ばかり。中には江戸時代より以前から何百年も続く老舗も加盟しています。
逆に、今、かなり有名なお店でも、昭和24年の時点でまだ無かったり、加入を認められなかったお店はこの中には無い、ということ。
百味会がいかに選ばれしお店で構成されているかが認識できます。
そんな錚々たる名店が5年に1度、全67店が一堂に会すとあって、会場には多くの人々が詰めかけていました。70周年百味展のテーマは「つながる」。
百聞は一見にしかず。美しい京菓子の展示をご覧下さい。
まずは、創業1421年。「亀屋陸奥」の華やかな西本願寺のお供物。
次は西陣の老舗「塩芳軒」の銘菓「聚楽(じゅらく)」。豊臣秀吉が築いた聚楽第跡にお店があるのに因んだ名前。天正という元号が刻まれしっとりした餡が人気。秋らしいお干菓子や工芸菓子も美しい。
こちら「千本玉寿軒」は、西陣に店を構え、先日は将棋のタイトル戦「竜王戦」第二局で広瀬竜王と豊島名人が、いわゆる「将棋めし」としての「おやつ」で口にした銘菓「西陣風味」を作ったお店。
京都市役所前、寺町御池の「亀屋良永」の銘菓「御池煎餅」。棟方志功によるパッケージデザインも印象的。
祇園の「鍵善良房」さんの銘菓「菊寿糖」は彩り華やか。繊細な木型から打ち出されたお干菓子は見事です。
「二條若狭屋」銘菓「家喜芋(やきいも)」やくず湯の「不老泉」はこれからの季節、口にしたくなる逸品ばかり。
「亀屋良長」は、四条堀川にお店を構えます。銘菓「烏羽玉(うばだま)」はバリエーション豊かに現代も進化し続けています。
百味会70周年記念の百味展。次回は京料理の数々をお伝えします。
Text /倉松知さと
関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを担当後、京都・歴史ライターへ転向。
歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、雑誌で歴史エッセイを連載中。
京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。