甘口ワインはデザートワインなんてもう呼べない ボルドー甘口の芸術に酔う

甘口ワインといえば、デザートワインを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は多味多様。お料理にぴったりあって、それでペアリングも出来たりします。ボルドーから甘口ワインの8つのAOP(原産地呼称)の生産者が団体来日。甘口ワインの楽しみ方を学ぶ会に参加しました。

ボルドーのガロンヌ川を挟んで南側にあるこれら8つのAOPは、8万4000hl、 900万本の甘口ワイン(甘口と極甘の2種類)を生産しており、40%を輸出。日本は5番目の輸出先です。ボルドーの南側は、朝は霧が多くて湿度が高く。午後は風通しよく乾くので、甘口ワインを造るよい菌が活発に活動する気候です。 収穫は手摘みのみで9月末〜11月半ばまで続きますが、生産高が少なくブドウ1株からワイン1本しか造れないのだそう。

ペアリングを含む、セミナーの講師を務めるのは、銀座ロオジエのソムリエ 井黒 卓氏で、第一回ボルドー・ボルドーシューペリオール・ソムリエコンクール 優勝者でもあります。

「甘口ワインは、アペリティフとして楽しむことが多いですが、食事にも合います。特にアジアのお料理や和食とよくマッチングします。なぜかというと、香辛料、甘味、香ばしさ など多種多様な味が含まれる食事には、ボルドーの甘口ワインにはスパイスを和らげたり、甘みを酸味を柔らかくする効果があるからです」と井黒さん。

緩急のある甘さのワインのペアリングには「甘さが弱いものから強いものへがセオリーですが、爽やかに始まったら、終わりも爽やかにというのがよいかなと思います」「ペアリングには五味のバランスを考えますが、現場は2つのCといって、 柑橘系には柑橘の味という風に似通った風味を合わすComplimentと異なるものを合わせるContrastを組み合わせます。 Contrast は、チャレンジャブルですが記憶に残ります」と、お話がとても参考になります。

まず1本目、「シャトー・ロレット」は、爽やかな酸味がクリームチーズと浅く漬けたべったら大根漬け、そして山葵を漬けたのは甘味がとても合います。私は、爽やかさの中にバタリーな感じもしました。「甘口のワインは、ぜひアペリティフで味わってほしい」と井黒さん。カクテルにするというアイデアも。

2本目、「シャトー・ドゥ・マルサン」はアロマさわやか 海からの風が造ったアロマさわやかなプルミエコートドボルドー最高級の”カルディアック”をびんちょうマグロと。 

3本目、「シャトー・レトゥレル」。『神の雫』にも登場したカルディアック。エリゼ宮ディナーにも採用されました。環境保護の観点から減農薬で栽培しており、樹齢40年。オレンジシトロン系ですが、甘味が強くなるとマンゴーのような香りも。香ばしい帆立の燻製には、しっかりした甘口が合います。

4本目、「シャトーシガラ・ラボー・No5」1855年にプルミエクラッセ入りしたシャトーがづくり出すアロマが複雑ワインで、酸化防止剤は入っていません。時間がたつと色と味が変わるので飲む直前に抜栓。あんずやキンモクセイの花のような香りがここちよいワインです。新鮮な雲丹をのせた鶏肉と合わせて。

5本目、「シャトー・ユラダン」このセミヨンは、発酵熟成で、フルーツいうよりきのこやラノリンという土っぽい複雑なアロマです。これは土壌からくる特徴で、どっしりしていてまぐろや雲丹ではなく、酸味あるマヨネーズとか合いそう。

6本目、「シャトー・ルーピアック・ゴティエ」は、果実感のある爽やかさ。色は薄いのですが以外と甘く、しかし後味には爽やかさもあるワイン。 井黒さんは「これを最後に持って来たのは、全部の料理に合うからです。最後を重いワインではなく、レモンやミラベルなどの爽やかさとあんぽ柿などフルーツ、ハチミツを感じるワインで」と。最初に話された「爽やかではじめて爽やかで終る」というのに納得。

また、印象に残ったのは「甘いものに甘いものを合わすのではなく、スパイシーなブラックペッパーやうまみのあるものと合わす」というテクニック。「鴨、鳩などの肉とソーテルヌ・ギヨー・サンプルが合うと思う」とおっしゃってました。

甘口のワインが「食事の後のスイートな一杯というだけでなく、いろいろなテイストがあって、ポテンシャルを秘めていること」や「こんなに日本食に合う」というのにも驚かされたセミナーでした。

Text/W LIFE 編集部

 

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