『日本書記』編纂から1300年 特別展「出雲と大和」へ

2020 年1月15日から東京国立博物館で始まった【日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」】のオープニングレセプション・内覧会に行ってきました!

「ヤマタノオロチ」や「イザナギノミコトとイザナミノミコト」「因幡の白うさぎ」など、日本の神話の多くは舞台が出雲地方。その後の時代、天皇が統治する中心地は大和地方。“出雲には大きな政治勢力はなかったのか”“大和はなぜ神話の舞台ではないのか”など、不思議に思ったことはありませんか?

本展覧会は、『日本書紀』編纂からちょうど1300年を記念して開催されています。『日本書紀』は、奈良時代に成立した日本最古の歴史書。最初の二巻は神話の時代について、三巻〜三十巻は神武天皇から持統天皇までの歴史が書かれています。

会場冒頭にあるのが出雲大社から出土した巨大な柱。東京で揃っての公開は初という「宇豆柱(うづばしら)」「心御柱(しんのみはしら)」です。平成12 ~13年に、出雲大社の地下からこの大きな柱が出土しました。3本の巨大な杉の木を括り、直径3mほどのひとつの大きな柱とし社殿の基礎としたようです。計算によると古代の出雲大社の社殿の高さはなんと48mにもなるとか。現在の奈良・大仏殿が49mですから、古代出雲にあった社殿としては驚くべき大きさです。

出雲地方・荒神谷(こうじんだに)遺跡から大量に出土し国宝に指定されている銅剣358本のうち168本、加茂岩倉(かもいわくら)遺跡から出土した大小の銅鐸(どうたく)約30点なども東京にやってきています。ずらりと展示されている様子は壮観。同じ大きさにきっちり揃った剣が大量に出土していることを鑑みると、弥生時代の出雲には統制のとれた高い文化があったのでしょう。銅鐸には、水が流れるような文様(水流文)が描かれていたり、鹿やウミガメのような生き物が描かれていたりします。素朴なタッチではありますが、現代でも通じるデザイン性・可愛らしさを感じます。

「法隆寺金堂壁画 複製陶板」

展示の後半からは、大和を中心とする時代に入ります。私が心を奪われたのは、奈良県橿原市から出土したササン朝ペルシャのガラス碗。白く透けたガラスに金色の細工が施されています。正倉院に修蔵されていてもおかしくない品のはず。このような品を副葬品として埋葬された人物は、さぞ高貴な方に違いないですね。

大和朝廷成立後から飛鳥時代までの仏像なども出展されています。この時代には唐の影響で「鎮護国家=仏教の力で国を平安に治める」という考えが広まり、多くの寺が建立され、人々のなかに仏教が広がっていきました。その頃に制作された唐招提寺・四天王像のうち「多聞天立像」「広目天立像」が展示されています。広くスペースを取ってあるので、その力強い姿は360度ぐるりと、後ろからも拝観できます。

『日本書紀』では、出雲大社に鎮座するオオクニヌシノミコトは「幽=人知を超えたもの」。一方、大和の地は「顕=天皇が司る現実の地」とされています。どちらも日本の始まりの歴史の一部です。「幽」と「顕」がどう関わってどう繋がっていったのか。この展覧会を通じて古代日本に想いを馳せてみたひと時でした。

東京国立博物館 

日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 2020 年3月8日まで。

https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971

Text/トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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