器が割れたり、欠けた器を漆などで接着しながら金などの金属粉で装飾する伝統技法の「金継ぎ」。芸術的に新たな価値を生み出すような金継ぎ陶磁器もあるほどですが、実は初めてでもやり方を習えば金継ぎはできます。
色鮮やかな九谷焼が有名な金沢、その温泉地である山代温泉にある「星野リゾート 界 加賀(以下、界 加賀)」では、金継ぎを今に伝える取り組みの一環として、2021 年 2 月より「金継ぎに触れるプログラム」を開始しています。
界 加賀では、夕朝食の器はもちろんのこと、客室の茶器やあちこちにオリジナルで製作をお願いしたものや作家ものの九谷焼を使用しています。「こんなところにも九谷焼が!」といった九谷焼の探索がちょっとした楽しみになるほど。
これらの九谷焼は、どれも貴重で高価な器。これまで欠けや割れが生じた時には、スタッフ自らの手によって金継ぎで修復する活動を続けてきています。元輪島塗りの職人だったスタッフが金継ぎの技術を持っていたことから、お互いに学び合い、今では200を超える館内の器を修復してきたそう。
「金継ぎに触れるプログラム」は、宿泊ゲストにもこの技術の仕組みや文化背景を、少しでも触れてもらえたらということで始めたそうで、3つのプログラムがあります。
まずは、会席料理使用される器の中で、金継ぎの器を用いるときに、金継ぎ文化についての解説を行う「金継ぎ語り」。北大路魯山人は、九谷焼を通じて器に開眼し、豊かな加賀の食材との出会いから料理への造詣を深めたと言われています。季節の会席や年に一度の冬の贅沢である「活蟹づくしタグ付き蟹会席」(2021年3月10日まで)で使われる金継ぎの器に注目 。
2つ目は、施設内の江戸時代に建てられた茶室を、3密回避でひとりずつに貸切で提供。金継ぎされた九谷焼の器で石川県特産の加賀棒茶を飲む「独服」を味わう「金継ぎの器での独服体験」(当日受付、一人1,500円、加賀棒茶 2 種、干菓子と主菓子付き)。
そして、3つ目が九谷焼のかけらを使ってアクセサリー作りに挑戦できるゲスト向けの「金継ぎ体験ワークショップ」です。材料に使用する九谷焼のかけらは、これまで界 加賀の館内装飾や料理の器も制作されている作家の方々に提供いただいた破片。日頃から金継ぎを行うスタッフが初めての人にもわかるように金継ぎの手順を教えてくれます。好きな形や図柄、色の九谷焼のかけら同士を組み合わせ、世界にひとつだけのピアスやイヤリングなど金継ぎアイテムをつくることができます(毎日最大4名×3回、当日予約、一人3,000円)。
星野リゾート 界 加賀 https://kai-ryokan.jp/kaga/
所在地:〒922-0242 石川県加賀市山代温泉 18-47
TEL: 0570-073-011 (界予約センター 10:00〜18:00)