古代エジプトとオランダの結びつき 圧巻の並び立つミイラの棺を渋谷で観る 

世界最古の国立博物館の一つといわれているオランダのライデン国立古代博物館には約25,000点にも及ぶ古代エジプト遺物の膨大なコレクションが収蔵されています。そこから選りすぐりの200点以上が来日して、【ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展―美しき棺のメッセージー】が渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。内覧会に行ってきましたので、レポートします。

この展覧会へ行く前に、「古代エジプトの遺物がなぜオランダに?」とちょっと不思議に思っていました。フランスのルーヴル美術館には古代エジプトの大きなコレクションがあるのは知っていましたが、それは1798年のナポレオンのエジプト遠征によってエジプトのピラミッドやミイラなどが世界に広く知られるようになったから。「オランダの博物館と古代エジプトの結びつきは?」と今ひとつピンと来ていませんでした。この展覧会で知ったのですが、ナポレオン遠征の100年も前からすでにオランダの外交官や商人がエジプトを訪れ遺物収集を行っていたそうです。世界の海上覇権・商業派遣を握っていたオランダだからこその理由です。

今回の見どころは、12点のミイラの棺が立ち並んでいるコーナー。しかも年代の古い順に、棺を立てた状態でずらりと並んでいます。順番に鑑賞していくと、紀元前1000年前後の古い時代の棺の方が胸の前で組んだ腕がはっきり造られていたり、頭部の部分が青色に全面的に彩色が施してあったります。また棺全体に絵が多く描かれているのも古い時代の特徴です。一方、紀元前700~300年頃へと時代が下ってくると、組んだ腕は造られなくなり、棺に描かれた絵が少ないかわりにヒエログリフが多く書かれるようになってきます。これまでに世界中のあちらこちらの美術館・博物館で古代エジプトのミイラや棺を観たことがありますが、時代順にずらりと並んだものを一度に観たことは初めてかもしれません。

私が特に気に入った展示は、“動物の神々“の像が展示されているエリア。青銅や石灰岩でできたコブラやヒヒなど動物の姿の神々の像がいくつも展示されています。すらっとした細身の猫の像は、美しく、気品があるお顔。そういえば、猫が人間に飼われるようになったのは古代エジプト時代からですよね。私が一番気に入った動物の神様は、イクニューモン(エジプトマングース)。両手をひょこっと前に出して立ち上がっている姿は、愛嬌があって可愛らしい。でも、マングースですから、人間に害を及ぼすヘビと戦い倒すことができるので、聖獣と讃えられているのです。さまざまな生き物を神として捉えるのは、日本人の”八百万の神“の考え方とも相通ずるところがあり、興味深いです。

音声ガイドのナビゲーターは俳優・西島秀俊さん。お仕事で2度エジプトにいらしたことがあるそう。音声ガイドでは、作品の紹介だけでなく、ご自身のエジプトへの旅の思い出を語ってくださるスペシャルトラックもあります。必聴ですね!

コロナ禍の中、企画されていた海外の美術館・博物館からの展覧会は中止になっているものがほとんどです。作品の搬送に職員が随行できないので、やむをえません。こんな時に、当展覧会で、海外の博物館の収蔵品を鑑賞できたことは本当に嬉しいこと。海外の博物館のコレクションに接する貴重な機会ですから、ぜひ渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアムへ!

会期2021年06月27日(日)まで
会場Bunkamura ザ・ミュージアム
住所東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F 
時間10:00〜18:00(最終入館時間 17:30)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
*緊急事態宣言の発令等により、開館状況は変更になる可能性があります。来館前にご確認ください。
休館日4月25日(日)〜5月11日(火)、5月18日(火)、6月8日(火)
入館料一般 1,800円、大学・高校生 1,100円、中学・小学生 800円(6月12日(土)からはオンラインによる入場予約が必要)
TEL050-5541-8600 (ハローダイヤル)
URL【本展公式サイト】ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展―美しき棺のメッセージー
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_leidenegypt/

Text /トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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