2021年8月21日(土)から始まった「バンクシーって誰?展」(寺田倉庫G1ビル)をレポートします。
観終わって、「あー楽しかった」「バンクシーってすごい!」とシンプルに心から感じました。 Top画像©NTV
バンクシー、2018年に、少女と赤い風船を描いた作品が高額落札されるや、額に仕込まれたシュレッダーで突如断裁、世界中で報道され、大きな話題になりました。日本でも、バンクシーの作品と思われるネズミの絵が発見されると、小池百合子都知事がSNSで発信して注目されました。しかし、創作活動の全貌やバンクシーが誰なのか?などわかっていないことも多く、謎に包まれた存在です。
バンクシーは、1990年代にイギリスで活動を始め、神出鬼没のストリート・アーティストとして、ロンドン、ニューヨーク、パレスチナと、世界のあらゆる場所に現れては、観る人の心に刺さるグラフィティを描いています。グラフィティとは、スプレーやフェルトペンなどを使い、壁などに描かれたアート。街なかの壁に勝手に描くので、グラフィティが消されたり、上書きされたり、壁自体が撤去されたり、さまざまな理由で失われることが少なくありません。
今回は、そんなバンクシーのすでになくなってしまったものも含め、バンクシーの代表作を実際のスケールで体験できる空間を再現した展示になっています。まるで映画のセットやテーマパークのような美術展、自分がニューヨークの街中やガザ(パレスチナ)の戦場跡にいるような感覚になります。これまでたくさん美術展を観てきましたが、こんな体験は初めて。バンクシーをより身近に感じ、その作品の理解が深まります。
イスラエル軍との戦争で、投石ではなく、花束を曲げようとするパレスチナの青年を描いたり、子どもがテレビ漬けになる悪影響への警笛を鳴らしたり、コロナ禍の医療従事者に感謝を込めて作品を送ったり、移民や人権問題、消費社会への警笛など、政治的・社会的なテーマを表現する作品は、今を生きる私たちに大切なことを気づかせてもくれます。
チンパンジーが「Keep it real」という看板を胸に下げて立つ作品が展示されています。「Keep it real」、「自分以外の誰かのふりをした偽物になるなよ」「何者でもなく、自分自身であれ」。バンクシーが誰なのか? それは謎ですが、すべての人がそれぞれのバンクシーであり得るという、バンクシーのメッセージと感じることができます。中村倫也さんの音声ガイドもとてもよかったです。写真もいくつかの作品を除いて、すべて撮影OK。「バンクシーって誰?展」、かなりおすすめです!
バンクシーって誰?展 概要
会期:2021年8月21日(土)~12月5日(日)
休館日:10月5日(火)、12日(火)、19日(火)
開館時間:11:00~20:00(金、土、祝前日は21:00まで)
※最終入場は閉館時間の30分前まで
会場:寺田倉庫G1ビル(東京・天王洲)
入場料(税込)
平日:一般 2,000円 / 大学・高校生 1,800円 / 中学・小学生 1,300円
土日祝(日時指定):一般 2,200円 / 大学・高校生 2,000円 / 中学・小学生 1,500円
*コロナの感染状況などによって開館時間などに変更が生じる場合がありますので、詳細はHPから事前に確認ください。
Text / 糸藤友子
リクルート→ベネッセ→ミズノを経て、50歳で脳科学ベンチャーへ。母の死をキッカケに健康寿命の延伸をミッションと決める。「人生は1回きりの旅である」から、いろいろな人と出会い、様々な体験をして、豊かに生きたいと願う。ベンチャーでは、脳を計りながら鍛える“最新”脳トレサービスを立ち上げ中。【Active Brain CLUB】https://www.active-brain-club.com/ 【ストレスマネージャー】https://www.neu-active-brain.com/stress-manager/