クリエイター 庵野秀明の過去・現在・未来を見る

「庵野秀明展」が10月1日に国立新美術館で開幕しました。ひと足お先に内覧してきましたので、ご報告します。

25年間続いた『エヴァンゲリオン』シリーズの監督として知られる庵野秀明氏。今年,その最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開されました。興行収入は100億円を超え、その制作過程はNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で4年間に渡って密着取材され、75分間の特別拡大スペシャルが放映されました。ほぼ出来上がっていたストーリーを全部潰して作り直しするシーンに衝撃を受けた私。番組を観た感想は、「私だったらとても一緒に働けない。心が折れる」。「鬼才」,そんな言葉がぴったりです。そして、その鬼才と一緒に作品を作り上げていくチームメンバーの情熱にも感激しました。こんな記憶も新しい中での「庵野秀明展」は期待に胸躍ります。

「庵野秀明をつくったもの、庵野秀明がつくったもの、そして,これからつくるもの」がこの展覧会のサブタイトル。「過去」「現在」「未来」と三つに分けて、庵野監督の半生を辿ります。

「過去」のパートは、庵野監督が少年時代に没入した『ウルトラマン』『仮面ライダー』『宇宙戦艦ヤマト』など特撮で使用したモデル、漫画、アニメなどの資料が展示されています。ウルトラマンに襲いかかる怪獣に何度も壊されそうになった東京タワーの模型、ウルトラマンのスーツ、仮面ライダーの頭部など、昭和世代の私は懐かしさが込み上げてきます。縦3メートル×横15メートルの巨大LEDスクリーンには、『マジンガーZ』『ど根性ガエル』『キューティーハニー』など懐かしい昭和のアニメが流れています。庵野監督がその後さまざまな映像作品を世に送り出すベースになっているのがこれらのアニメなのだなあ、そしてそういえば私も好きだったなあと感慨深い気持ちになりました。庵野監督にご生家から持ってきた中学時代の油絵が展示してありました。中学生とは思えない素晴らしい画力の力作。

提供 庵野秀明展実行委員会

それから私が長時間見入ってしまったのが、会場内のスクリーンに上映されていた監督の大学時代の自主制作映画です。腕からビームを出す特殊効果は当時としては高いクオリティ、爆発のシーンは迫力満点、カメラワークが素晴らしいのでミニチュアのセットの中で暴れまくる人間は特撮そのもの。今のように特殊効果や編集が簡単にできないアナログ機器の時代ですから、作品を作り上げるのは大変だったと思います。庵野監督、学生の頃から映像に対するその才能が現れていたのですね。

次のパートは、「現在」。無名だったアマチュア時代から制作に参加した『風の谷のナウシカ』『火垂るの墓』『超時空要塞マクロス』、もちろん監督作品『エヴァンゲリオン』シリーズや『ふしぎの海のナディア』などにまつわる原画・セル画・台本などが展示されています。ファンにとっては垂涎ものです。「TVアニメーションシリーズ 新世紀 エヴァンゲリオン(仮題)企画書」と書かれている冊子に目が止まりました。その後25年も続くシリーズの最初の企画書がこれか…と胸が熱くなりました。「仮題」と書かれているということは、全く違うタイトルになる可能性もあったのかなと想像してしまいました。

会場中程に巨大なミニチュアセットが組まれています。これは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に出てくる街を立体的に再現したもので、ミニチュアを写真や映像で撮影し、時にはドローンで空撮もし、それをもとに最終的にアニメに落とし込んでいくために作られたもの。中途半端にアニメを作らない、徹底して取り組むという庵野監督の姿勢の表れです。アニメの本編に取り掛かる前に、ここまでやるんだと感銘を受けました。

最後は「未来」。「僕らがいなくなってもアニメや特撮が残るようにしたい」という思いで庵野監督が立ち上げたATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)をはじめ未来に向けたプロジェクトを紹介しています。そして、現在庵野監督が手がけている作品をチラ見せ。次回作は『シン・ウルトラマン』。公開日調整中だそうで、すでに出来上がっている場面の一部が会場内で上映されています。斎藤工さんと西島秀俊さんが出演ということで、お二方のファンの私は絶対観なければ!そしてその次は『シン・仮面ライダー』。『仮面ライダー』生誕50周年記念作だそう。

『エヴァンゲリオン』シリーズが終わっても,さらにパワフルに進んでいく庵野監督に圧倒される展覧会です。

庵野秀明展 開催概要

会期:2021年10月1日(金)~12月19日(日) 
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)
休館日:毎週火曜日
※ただし11月23日(火・祝)は開館
開館時間:10:00-18:00 
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
観覧料(税込):当日券 一般2,100円、大学生1,400円、高校生1,000円
※混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入。詳細は展覧会ホームページを参照。
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

https://www.annohideakiten.jp/

Text /トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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